真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百六十話

 

 

あの日の騒動から数日後。俺は一刀と街の警邏に出ていた。あれから凄まじいトラブルが……という事もなく意外と平和に過ごしていた。

それと言うのも大将に指摘されて月、詠、華雄、真桜、斗詩、ねねを集めて、この一ヶ月ほどの話をした。そして桂花と両想いになれた事を話した所……

 

 

『桂花さん、素直になられたんですね』

『僕が言うのもなんだけど長かったわね』

『やれやれ、待たされたものだな』

『このまま婆さんになるまで待つかと思ったで』

『桂花ちゃんも意固地になってましたからね』

『やっとなのですか』

 

 

と、各種コメントを貰った。いや、怒るどころか呆れられるとは思わなかった。そして話を聞くとなんと月達は既にこうなる事を予想していたらしく話し合いを定期的にしていたらしい。その中に桂花が加わってなかったのは、未だに素直になれない者を入れる訳にはいかんと満場一致の意見が出たとの事。そして今回の一件で桂花も交えて話し合いが行われるとの事。いつのまに終戦協定が結ばれていたのは定かではないが、少なくとも月達が来てからとかなんだろうなぁ。思えば桂花以外に焼き餅を焼かれる事が少なかったし、その辺りは女性陣で話し合いが行われていたと見るべきか。

 

そして桂花との事を話した後でも桂花が正妻で自分達は側室で構わないと言い出し始めた。本当に良いのかと問えば『一刀と大将の関係に近い』と言われた。あの二人は互いに好きあってるし互いにその存在が一番なのは周知の事実。まあ、大将は否定するだろうが。そして正妻が居たとしても自分達を大切にして愛してくれるなら正妻も側室も関係ないとの見解だった。

 

話を聞き終えた後、正直泣きたくなった。俺は何も考えず過ごしていたに近いというのに女性陣はこんなにも考えていてくれたのだ。いつか絶対に埋め合わせします。

次の日から桂花を交えた話をしたらしいのだが俺は話の内容を知らなかったりする。

 

『女の園の話に参加するな(しないでください)』

 

と言われたからである。ガールズトークに男の参加は認められないってね。

そんな訳で今日は野郎二人で警邏をしてる訳だ。

 

 

「でも、良かったですよ純一さんが無事で。華琳から話を聞いたときに七分割にされるんじゃないかと思いました」

「人をバラバラにされた挙げ句パーツ事に人質にされるセコンド超人みたいに言うな」

 

 

と言いつつも一刀の言い分も尤も何だよなぁ……まあ、一刀も他人事じゃない訳だし。華琳を泣かせたとなれば魏の武将が揃って一刀を八つ裂きに行くだろうし。

 

 

「兎に角、おめでとうございます純一さん」

「ありがとな。とは言ってもまだ結婚やらなんやらは先の話だが」

 

 

そう。両想いで順風満帆に終わるかと言えばそうではなく、今はまだこの事を伏せる事にした。街の噂に上がれば大騒ぎになる上に、荀緄さんの耳に入ると話が飛躍的に飛びそうだからだ。ニコニコと笑顔で今後の話をしに来るだろう、間違いなく。それに今は大陸で戦なんだ。浮かれた話は後にすべきとの判断だ。

 

 

「俺……戦が終わったら結婚するんだ」

「露骨なフラグ立てしないでください」

 

 

なんて馬鹿な会話をしながら街を行く。男同士の語らいってのはこんなもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side桂花◆◇

 

 

 

先日の騒動から私は秋月に対して素直に接する事にした。それは良い。私が素直じゃない天の邪鬼だって事は自覚してた。それでも秋月は私を選んでくれた……そして秋月の話では月達はその事を察していたらしい。そんな中で私を正妻と認めてくれたのは嬉しいけど……

 

 

「側室が正妻に負けてるとは思わへんで」

「同感ね。側室だったとしても正妻以上に愛されれば問題ないわ」

「へぅ……」

 

 

私、月、詠、華雄、真桜、斗詩、ねねで今後の話をしようと集まったのは良いけど、いきなり私に喧嘩売ってんの?

真桜の発言に詠が同意して月はオロオロとしている。

 

 

「甘いな。男は胃袋から攻めろと言うだろう?この場で一番料理の腕前が上なのは私だ」

「むぅ……私だって負けてませんよ」

「ふふん、ねねは秋月と一緒に料理を作った事があるのですぞ!」

 

華雄は料理の腕前を自慢すると斗詩が負けじと反論。ねねも羨ましい一言を発してる。

女同士の会話ってこんなにドロドロとしてたかしら?と思う反面納得している自分も居た。この子達、秋月の事を諦めてないわね。隙あらば正妻の座を奪いかねない雰囲気……というかその気なのかもしれない。私と秋月の話はあくまで内部的な話で民には説明していない。つまり、その間に私以上に秋月の気を引ければ可能性はまだ潰えていない事になる。

 

秋月と両想いになって終わったと……決着がついたと思ったけど違ったわね。此処は私の新たな戦場だわ。そんな事を思いながら私は月達との話に混ざる事にした。

 


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