真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

164 / 306
第百六十四話

大会は順当に進み今回は大河VS季衣。チビッ子二人の戦いなので、さぞ微笑ましい戦いが……なんて思った俺が馬鹿だった。

 

 

「でりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「まだまだッスよ!」

 

 

豪速球で放たれた季衣の鉄球を大河が避け、鉄球は遥か後方へと飛んでいく。その鉄球を季衣が引き戻そうとした瞬間に大河が間合いを詰めて季衣の懐に飛び込み拳を振るう。

一撃を貰った季衣は鉄球を引き戻すと再度振るう。今度は直撃するかと思われた大河だが両手を組んで頭の上で気を込め始め……

 

 

「魔閃光っ!」

「は、跳ね返し……うひゃ!?」

 

 

大河は魔閃光で季衣の鉄球を弾き返した。そして弾き返した鉄球を季衣が慌てて避けた瞬間に飛び蹴りを放つ。先程から大河優勢の戦いが続いていた。

 

 

「まだ行くッスよ!魔閃光!」

「何度も食らうかぁっ!」

 

 

畳み掛ける様に大河が魔閃光を放つが、季衣も流石に察知し魔閃光を避けると、先程までの大振りからチェーンを短めに持ったまま大河を押し潰そうと縦に投げ付ける。

 

 

「おっと……」

「逃がすかぁ!」

 

 

横に避けた大河だが、季衣はそのまま鉄球の軌道を強引に変えて横に薙ぎ払う。

ハッキリ言って子供の戦いと言うには苛烈すぎる。リアルに悟天とトランクスの試合を見ている気分だ。

 

 

「大河も気功波の扱いが巧みになりましたね」

「定軍山での戦いの時にコツを掴んだみたいでな……」

 

 

試合が終わった凪が俺の近くに来て大河の気の扱いに感心してる。定軍山で俺を助けた際に放った魔閃光。あれでコツを掴んだのか大河は気功波を使えるようになった。まあ、まだ気の総量が少ないからなのか一日三発が限界だが。

 

 

「そこまで!」

 

 

なんて思いながら大河VS季衣の戦いを観戦していたのだが、大将から『待った』が掛かる。なぜ戦いを止めたのかと問われ、大将は周囲を見渡せとその場に居た者に声をかける。周囲を見渡してみるとひび割れた外壁。折れた木。穴の空いた地面。これ等は大河と季衣の戦いにより被害だった。思えば大河は気を駆使して戦い、季衣の武器は鉄球。しかも互いに身軽だから攻撃を避ければ周囲に被害が及ぶ。これ以上城の庭を壊滅させないためにも戦いは引き分けとなった。不満顔の二人に『ならば勝敗はじゃんけんで』と意見が出たので、じゃんけんをした結果、勝者は大河となった。

 

さて次は秋蘭VS華雄なのだが……

 

 

「ふっ……流石だな。姉者が認めただけの事はある」

「かつての私だと思うな。今の私は秋月の補佐であり、血風連の指南役でもあるのだぞ」

 

 

ハッキリ言って世界が違いすぎた。弓で華雄を射ようと複数の矢を同時に放ち、間合いを詰めさせない様にする秋蘭に対して、華雄は手にした金剛爆斧を旋回させて矢を弾く。そんな矢の雨を弾きながら華雄が間合いを詰めると、秋蘭は弓で近接戦闘を仕掛けたかと思えば弓を大きく引いて華雄に向ける。まさかの至近距離での零距離射に焦った華雄だが、なんと放たれた矢を直接掴んだ。

 

 

「避けられないなら受け止めるまでだ」

「まったく……出鱈目だな」

 

 

ドヤ顔の華雄に苦笑いの秋蘭。出鱈目はお互い様だと思うのは俺だけではあるまい。この後、矢を射る秋蘭に負けじと矢を弾く華雄の戦いは続いたのだが、先程と同じく大将から『待った』が入る。理由は先程と若干違い、流れ弾の量が多く観客が危ないからとの事だった。

 

 

「大将……確かに危なかったかもだけど観客は大半が魏の兵士とかだろ?大丈夫なんじゃ……」

「あら、流れた矢が桂花や月達に当たっても良いの?」

「危険と判断します。即刻中止を」

 

 

俺が疑問を口にしたら反論できない答えが返ってきたので速攻で頭を下げた。この後、大河達同様にじゃんけんが行われて勝者は秋蘭になった。この直後、少し華雄に睨まれたけど後で鍛練に付き合うから勘弁してくれ。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。