真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百六十九話

◇◆side音々音◇◆

 

 

先日の武道大会から数日。とーさまは暫く休暇を貰ったとの事で表には出てこなかった。と言うか……怪我が酷くて起き上がれないと聞いたのです。流石は恋殿……と言いたいのですが、恋殿はとーさまを傷付けてしまった事を悔やんでおられたのです。

『手加減……失敗した』と恋殿は言っておられたのですが、とーさまだから、あの程度で済んだのだとねねは思うのですぞ。

 

二日程前に真桜がとーさまと仕事をしていたと聞いたので碁を打ったのですが……次の日に真桜が妙に艶々としていたのが気になるのですが……そっちは兎も角、もう体は治ったみたいなのです。その証拠に鍛練場で鍛練に勤しむとーさまが……

 

 

「お、俺のうなぎパイ……じゃなくて科学剣がぁぁぁぁ……」

「すまん……秋月。そんなに脆いとは思わなかったのだ」

 

 

手と膝を着いて嘆くとーさまの姿が……何故か春蘭が慰めているのです。

近くに居た兵士の話では、とーさまは新しく作った剣で稲妻重力落としなる技を試そうとしたらしいのですが、春蘭の剣と重なったと同時にアッサリと折れたらしいのです。あまりの脆さに春蘭が謝ったところ、更にへこんだとか。

 

 

「これが理想と現実の差か……これでは斬艦刀なぞ夢のまた夢……」

「おお、斬艦刀とは新たな技か?」

 

 

とーさまの言葉に春蘭は興味を示したみたいだけど、ねねには何故か、とーさまが失敗する姿しか見えなかったのです。初めて会った時は頼もしいと思ったのに……今は阿呆にしか見えないのです。

 

 

「嘆いていても仕方ない!次だ次!」

「ならば次は私が相手だ!」

 

 

気を取り直したとーさまは二本の細い剣を手にして構え、華雄が楽しそうに斧を構えた。

 

 

「いくぞ、野牛シバラク流×の字斬りぃぃぃぃ……って、また折れた!?」

「だから、そんな細い剣で切り合うからだ!」

 

 

何かの技をしようとした、とーさまなのですが二本の剣は見事に折れたのです。むしろ、あの細い剣で華雄や春蘭の剣や斧を一瞬でも受け止めた方が凄いと思うのですぞ。

 

 

「とー……秋月は無駄が好きみたいなのです」

「違うぞ、ねね。一見無駄に見えるかもしれないが、これが後々役立つかもしれないんだ」

 

 

とーさまはねねの言葉に起き上がって反論するのですが、本当に役に立つならまだしも無駄とわかれば単なる徒労だと思うのです。

 

 

「ま……今の内にやれる事はやっときたいんだよ。これから忙しくなりそうだし」

「確かにこれから呉に向かうとは聞いてるのです……って何故、手を握るのですか?」

 

 

とーさまは折れた剣を片付けるとねねと手を繋いだのです。そのまま、とーさまはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「なに、街にちょっと気になる甘味処が出来たらしいから見に行こうと思ってな。ねねも付き合ってくれ。市場調査だから意見は多い方が良い」

「……仕方ないのです。ねねが付き合ってあげるから感謝するのですぞ」

 

 

本当に困る人なのです。評価を下げたと思った矢先にこういう事をするから離れられなくなるのです。

しかし、こうして手を繋いでると端からは親子に見えるのですぞ。

 

 

「……今は親子で我慢してやるのです」

「ん……ねね?」

「なんでも無いのです」

 

 

ねねの呟きはとーさまに聞こえなかったみたいだけど……我慢してやるのです……『今は』ね

 

 

 





『斬艦刀』
スパロボシリーズに登場する武器でシリーズによって形状は様々だが共通しているのは『艦を一刀両断する巨大刀』である事。


『野牛シバラク流×の字斬り』
魔神英雄伝ワタルの登場人物、剣部シバラクの必殺技。二本の刀を文字通り×の字に構えて敵を十字に切り裂く。戦神丸に乗っている際にも使用される技。


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