目を覚ませば天幕の天井と……不安そうな顔で俺を見る桂花の顔。
「秋月ぃぃぃぃぃっ!」
「と、うわっ!?」
その直後に桂花が寝ていた俺に飛び込んできた。咄嗟に受け止めたけど危なかった。
「良かった……ずっと目を覚まさなかったから……」
「そっか、またやっちまったな……ん、ずっと?」
涙声の桂花に謝罪する。俺は心配をかけずにはいられないのかな……ん、ちょっと待て。桂花の言葉に疑問が湧き上がる。
「ずっと……俺はどれくらい寝てたんだ?」
「3日程だ。その間に赤壁から建業へ移動中だ。秋月は馬車の荷台で運んだがな」
俺の疑問に答えてくれたのは同じく天幕に居た華雄だった。俺は桂花の髪をサラサラと撫でる。
「またこのパターンか……どんだけ気絶してんだよ俺は」
「それだけ秋月が無理をしてるという事だろう。他の皆も心配していたぞ」
俺が右手で顔を押さえると、華雄は優しげに言ってくれた。うん、優しさが身に染みる。
「すぴー……」
「あらま、寝ちまったか」
「私や真桜達は交代で看病に来ていたが桂花はそうはいかんからな。仕事を終えた後に様子は見に来ていたみたいだが」
流石に寝不足になったか。その最中で俺が起きて、安心して緊張の糸が切れたかな。
「一刀達は?」
「お前が倒れてから代わりを勤めていたぞ。ああ、だが北郷はお前と同じく体調を崩していたな。北郷は一日ほどで回復していたがな」
一刀も体調不良とな……妙だよな。前の定軍山の時も一刀は俺と同じくタイミングで体調崩してたし。
「そっか、んじゃ一刀達は俺の代わりに仕事を……む」
「どうした秋月、何かあったか?」
俺が口を閉じた事に華雄が首を傾げた。
「この場のおっぱい濃度がおかしい」
「もう一度聞くぞ、何があった?」
俺の言葉に、華雄は本気で心配そうな顔をしている。俺は周囲の気配を探った。
「……そこか!」
「うひゃっ!なんでバレたん!?」
俺は天幕の一部を捲る。そこには真桜が隠れていた。
「お前の気配の消し方は完璧だった……だが、お前の存在感のある、おっぱいが俺に位置を把握させたんだ」
「くっ……自慢の生意気おっぱいが仇となったんやな」
俺の発言に真桜は悔しそうにしていた。うん、ノリが良い。
「秋月……私もそう、小さくは無い筈と思うんだが……いや、以前孫策から貧乳と言われた私は……」
「華雄、胸を揉みながら悔しそうにするな」
華雄は自分の胸を揉みながら言うけど、そんな重要視せんでも良いから。
「そんなら副長は、大きいおっぱい嫌いなん?」
「それとこれとは話が別だ」
「いつになく真面目な顔付きだな秋月」
真桜の質問に真面目な顔で答える。それはそうとして……
「それは兎も角、真桜だけか?他の皆は?」
「ああ、隊長なら春蘭様や霞姉さんと前衛に出とるでウチ等は副長の事や軍の立て直しがあるから後衛やけど、これから前衛と合流予定や」
なら、呉との決戦前に目が覚めた形になるか……体調が悪いなんて言ってらんないな。
因みに、おっぱいの辺りの話を実は起きていた桂花にバッチリ聞かれていたので、後で土下座する羽目になった。