真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百話

大将からの指示もあり俺は季衣達の村に行き、ねね、大河と合流する為に馬に揺られていた。

本当にここまで一人なのも久し振りだ。桂花や詠達とは一緒に行動する事が多かったし、大河を弟子にしてからは、いつも一緒だったからなぁ。

 

一人になると、こういう事をよく考えてしまう。と言うかいつも周囲が騒がしいんだよなぁ……トラブルまみれな日々。まあ、若干ToLOVEるも混ざっていたが。

 

 

「………フゥー」

 

 

馬を休める為にも小川の付近で腰を下ろす事にした。馬を木に括り付け、マルボロに火を灯した。もう残り数本となったマルボロに寂しさを感じる。むしろ、よく此処まで保ったとは思うが。

 

思えば、この国にも慣れたよなぁ……最初の頃は戸惑ってばかりだったけど、すっかり生活にも仕事にも自爆するのにも慣れてしまったし。

 

 

「まあ……この世界に来てからバタバタしっぱなしだったから今回のは大将なりの俺への気遣いなんだろうな」

 

 

俺は独り言を言いながらタバコの火を消す。さて、季衣達の村へと行くか。そう……気楽な旅だと思ってたんだ……この時までは。

 

 

「………今は村にいない?」

「はい。村の外れに熊の足跡があったので熊退治に行ってしまいまして」

「季衣達はさっき出たばかりなのです」

 

 

季衣達の村に到着した俺だったが村人達によれば季衣、流琉、大河は熊退治に出掛けてしまったらしい。ねねは軍師ゆえに戦闘に向かないので村で留守番していた。

村人達は季衣、流琉の強さを知っており、大河の事も曹操軍の将という事で信頼されているのか皆が安心しきっていた。

因みに俺の事は季衣、流琉が説明していたらしく村人達からは歓迎された。今夜泊まる事も快く了承してくれたのだが……

 

 

「とーさま?」

「なんか、凄く嫌な予感がする……」

 

 

ねねが俺を見上げながら俺を呼ぶが嫌な予感がしてならなかった。もしも……もしも、あの三日月模様の熊だった場合、季衣達だけじゃ危ないかも知れないのだ。

季衣や流琉、大河の強さは信頼してる。大河は弟子とは言っても俺よりも強いから大丈夫だとは思うが……そんな俺の予想を裏切るのが奴だ。用心に越した事はないよな。そう思った俺は背負っていた荷物を下ろす。

 

 

「ねね、俺も季衣達の後を追う。最悪の結果を考えて村の守りは頼んだぞ」

「ちょ、とーさま!?」

 

 

ねねに後を任せ、荷物を村人に預けた俺は熊が出没したと言われた場所へと急いだ。

 

 

 

そして現場に到着した俺が目撃したのは……満身創痍の季衣、流琉、大河。そして相対する額に三日月模様の馬鹿デカい熊が一頭。

何故、コイツは俺にとって嫌なタイミングで現れるんだ!


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