真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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お待たせしました。


第二百五話

 

 

 

 

◇◆side華琳◇◆

 

 

 

蜀へと進行する途中、立ち寄った街で過ごすこととなり、夜遅くに詠が訪ねてきた。寝る前にお茶を煎れてくれたのだと言うが、詠の瞳からはそれ以外にも要件があるのはありありと伝わってきた。

 

 

「それで、要件は何なの詠?」

「単刀直入に聞くわ……純一と北郷の事よ」

 

 

私が詠に促すと、ある程度予想していた質問が来た。最近、詠は周囲に一刀と純一の話を聞いて回っていた。

それは詠が一刀や純一のここ最近の不調を知っていた事になる。

 

 

「純一と北郷が最近、体調を崩すことが多いのは知ってるわ……純一は自爆が多いけど」

「そうね、純一のは自滅が殆どよ」

 

 

純一は大概が自滅よね……私の予想を越えて様々な結果を産み出す純一は、ある意味一刀以上に予想が出来ない。

 

 

「だとしても……不自然な所が多いわ」

「そうね。だからこそ私は名医と名高い華陀にも二人を診させたわ。その結果、何も異常は見当たらなかったそうよ」

 

 

そう……私も不自然に思ったからこそ大陸一の医師で、大陸中を周りながら医療を行っている五斗米道の華陀を呼び寄せ診察させた。しかし、二人の体には異常は見当たらなかったと華陀は言っていた。

 

 

「異常が無い?それこそ有り得ないわね」

「そうは言っても、この国の最高の医者がそう判断したのよ」

 

 

私の言葉に睨むような視線を送る詠。私も同じ意見よ。でも二人の体調不良の原因は分からないのよ。

 

 

「皆は二人が天の御使いだからとか天の種馬兄弟だからとか楽観視してたけど……僕にはそんな簡単な話には思えなかった」

「だったら詠には分かるの?二人の不調の原因が」

 

 

詠は私の言葉に黙ってしまう。そう……二人の体調不良は同じ時期に起こり、同じ様な症状で倒れている。ただの偶然で済ませるには出来すぎた話だ。

 

 

「話は此処までよ。私も一刀や純一は心配だけど原因がわからないんじゃどうしようもないもの。二人には体調に異常を感じたら報告するように伝えてあるから。それと……心配ならずっと側に居たらいいんじゃないかしら?桂花も純一と一緒に居る時間を増やしてるみたいだしね」

「ば、馬っ鹿じゃないの!?」

 

 

そう言って詠は慌ただしく出ていった。茶化したけど、私も一刀と純一の事は心配。でも現段階では何も出来ないし……何よりも情報が足りない。

まあ、一刀や純一の事だから何があっても笑って過ごすとは思うけど……

次の日。私は昨晩の事を考えながら部屋の外へと出る。凝り固まった考えをしてしまっている時はこうして少し散歩をするのが……

 

 

「カズロットォォォォォッ!!」

「純一さん、なんでブロリー調なんですか!?」

「止めてください副長!うわっ!なんかいつもより気弾の圧縮率が違うんですけど!?」

 

 

私の視界に飛び込んできたのは何故か上半身裸で一刀に複数の気弾を投げ込んでいる純一。それから逃げ惑う一刀に守ろうとする凪。

多分、いつもの悪ふざけなんだろうけど悩んでる私や詠を馬鹿にしている様で……私は拳を握りしめて純一の方へと歩みを進めた。


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