真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二十一話

 

 

新技特訓をして気絶した次の日になり、状況整理。

拡散エネルギー波の失敗による盛大な自爆をした俺はクレーターの中心で気絶していたらしい。気のコントロールをしたつもりだったが見事に失敗。漫画の登場人物の凄さを日々実感しつつある。『生兵法とは大怪我の基』とはよく言ったものである。

 

一刀は気絶していた俺を見て『ヤムチャみたいだった』等と言っていた。え、そんなポーズで気絶してたの俺?操気弾とかの練習も考えてたけど止めとこ。じゃないと、いつか皆の前で何者かに自爆され『ヤムチャしやがって』を披露する羽目になりそうだ。

 

そんな話は兎も角として本日は普通に警備隊に復帰。予算会議は先伸ばしになった為に今日は通常の勤務だ。

何故かと言われれば俺が寝込んでいた間にまだ会っていなかった魏の将に会った為である。

 

一人目は曹仁、真名を『華侖』

二人目は曹洪、真名を『栄華』

三人目は徐晃、真名を『香風』

 

はい、それぞれ魏の重鎮です。またしても皆が女の子でした。また可愛いんだわこの子等。

 

しかして、やはり癖がある。それと言うのも栄華はとてつもなく厳しい。『魏の金庫番』等と言われる程に財布の紐が固く、昨日も見舞いに来た一刀と共に来たのだが寝込んでいた人間に予算組の話をするとか鬼か。予算は当面の警備隊の動きを見てから判断するとか言われたから暫くは頑張らないとな。因みに俺作成のクレーターは俺自身が埋め直し作業をしたので作業費を請求される事は無かったのは助かった。その後、華琳からの口添えもあったのか渋々ながら真名を許してもらえた

 

華侖と香風に会ったのは俺が魏に来てから直ぐだった。華侖は大将との挨拶を済ませた後に廊下でバッタリとあったのだ。その場に一刀も居たので紹介をして貰い、アッサリと真名を預けられた。真名が本当にこの世界において重要なのか疑いたくなる。本人曰く『華琳姉も春姉も真名を許してるから大丈夫ッス。一刀っちとも仲が良いみたいだし……これから、よろしくッス純兄!』との事だった。『純兄』って呼ばれるのも悪くないな。

これは余談だが華侖は『脱ぐ癖』があるらしく、暑かったり、テンションが上がると兎に角、脱ぎたくなるらしい。それを知らなかった俺は華侖の脱衣シーンを見てしまい、何故か近くに居た荀彧に『見るな馬鹿っ!』の声と共に目潰しを食らった。

 

そして香風。この子は少々ポヤンとした所がある。また一刀を『お兄ちゃん』とか呼んでたし。俺の事は『純一さん』と呼んでくれた。この世界の女の子は……いや、女の武将は露出を高めなきゃならない決まりでもあるのだろうか。香風も割りと際どいよ服装。

 

この三人は前回の黄巾の戦いの時には城待機だったらしい。まあ、城の警護をする将がいないってのはマズいからな。

 

街の警邏は滞りなく終了。それと言うのも真桜、沙和の両名が真面目に仕事をしてくれたのだ。まあ……まだ寄り道をする癖はあるのだが、職務を放り出さず気になる物は店の人にキープしてもらう等の処置をして仕事を続けてる。本当はそれもどうかとは思いつつも俺も買い食いなどはしてるので……まあ、仕方ない。仕事ってのは真面目にやりつつ気を抜く所は抜かねばならない。難しいよね。

 

 

警邏が終わった後に俺は多少の時間が出来たので城の片隅を自由に使わせて貰える様に大将に許可を貰いに行った。最初は渋っていた大将に「天の知識を使った物を試したい」と話したらアッサリと許可と予算が下りた。栄華には「役に立たない物だったら後々、請求の半分は純一さんに回します」と釘を刺されたが許可さえ降りればこっちのものだ。後々、驚かせてやる。

兎も角、許可を貰った俺は城の中に存在する廃材や街に行って安く仕入れられる材木などを購入した。俺が何かを作る事に興味を示した真桜が覗きに来たが今はまだ秘密だ。完成したら真桜にも使わせてやるか。女の子だから喜ぶだろうし。

 

さて、ある程度準備を済ませたがいきなりは作らない。俺の知識がうろ覚えって事もあり大雑把でも設計はしなければならないのだ。これは夜にでもするとしよう。

となれば最早、日課にすると決めた技の開発に取り組むしかあるまい。昨日の『拡散エネルギー波』は失敗したから……今日は打撃系で行くか。

 

俺は城の壁に立て掛けた的に向かい合って気を練る。放出系とは違って身体中に気を張り巡らせる。そして凪が使用している技の様に攻撃力を高めたい場所に気を少し多目に回す。体に気が回って熱くなってきた……足に気を溜め、意を決して技に入る!

俺は的から、ある程度距離を詰める為に走る。そして一定の距離に到達すると跳躍して空中で一回転しながら足を前に出し的に迫る。そう、これぞ全国の少年が憧れた技その二『ライダーキック』

 

 

「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

通常のライダーキックは無理があるのでクウガのマイティキックを使う。これは上手く行った!的に迫る俺はそう確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーんでこうなるかねぇ……」

 

 

俺はその場に座り込んで煙管を吸いながら呟いた。

結果的に技は成功したが威力が高かったのか気で強化された足はそのまま的を貫き壁に足跡がクッキリと出来てしまった。

 

なんだろう……技が成功したのに……こう、スッキリしないと言うか絞まらないなぁ……と感じるのは。

 

俺は現実逃避をしながら大将や荀彧、栄華にどんな言い訳をするべきか頭を悩ませるのだった。




今回出た『栄華』『華侖』『香風』は英雄譚に出てくるキャラです。


『操気弾』
ドラゴンボールでヤムチャが使用した技。バレーボール程の気の塊を操る技。原作と映画で各種一回ずつ使用されたが大した威力ではなかったのか食らった敵は、ほぼノーダメージだった。

『ライダーキック』
仮面ライダーの最も有名な技。真上に飛び上がり怪人目掛けて落下しながら蹴りを放つ。歴代の仮面ライダーになる度に新しいライダーキックが生まれるが初代がその技の先駆けとなった。

『マイティキック』
仮面ライダークウガでクウガがマイティフォーム時に使用する必殺技。 全力で助走を付けて低軌道から飛び蹴り叩き込む技で更にクウガの力も加わり強力なライダーキックとなっている。

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