真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第二十二話

 

 

 

 

壁に足跡を付けた俺は荀彧や栄華にめちゃくちゃ怒られた。的を破壊するのは仕方ないにしても壁を破壊するなと……俺だって壊したくて壊してる訳じゃないんだがな。

どうにも新技開発をすると何かしら壊れるな。俺の気のコントロールが悪いってのもあるのだろう。

 

凪に聞いたのだが俺は一度に込める気の量が多いらしい。

例えば俺の気の総量を100としよう。俺がかめはめ波を放つ際に10の気を込めればいいのに、俺は40近い気を込めてるらしい。はっきり言えば過剰に気を注ぎ込んで威力がハネ上がり、尚且つ気の無駄遣いと化してるらしい。なんとなくアニメや漫画とかだと気を込める動作が妙に力が入ってる描写があるから、それの影響かもしれない。

因みに壁は仮修理で穴埋めしといた。なんか新技開発と共に俺の工事スキルもアップしている気がする。

 

さて、それは兎も角として説教の次の日。俺は城の片隅で許可を貰った物を作成に取り掛かっていた。一応、昨日の夜に設計図を書いたが……ぶっちゃけ、うろ覚えでしかも素人知識なので上手く行くかは分からないが今回の一件が成功すれば色々とやれる事の幅が増えそうだ。頑張らねば。

 

まず地面に棒で線を引く。ある程度、スペースを確保できなければ後々、大変になるからだ。次にサイズ……取り敢えず一人分は確保出来ればいいか。試作段階の物だし、万が一失敗しても廃材利用だから工賃も安く済むし。

 

 

「あ、副長。仕事サボって何してるん?」

「普段から仕事サボってる奴に言われたかねーよ。そしてコレは仕事の一貫だ」

 

 

通り掛かった真桜に野次を入れられた。これも仕事だってのに。

 

 

「なんやコレ……?釜戸なんか作って何する気なん?」

 

 

真桜は俺が作業していた物の設計図を見て首を傾げた。アッサリと釜戸と見抜く当たり流石だ。

 

 

「ちょーっと試したい事があってな。ま、楽しみにしてろ」

「……な、なあ副長?ウチも手伝っても……ええかな?」

 

 

俺が真桜から設計図を取り返すと真桜は自身の頬をかきながらそう告げてきた。ふむ……真桜なら工作も得意だし、何より完成したら物を試して貰うのも悪くない。

 

 

「よし。なら真桜にも手伝って貰おうかな」

「んんぅ……よっしゃー!」

 

 

俺の言葉に嬉しかったのか真桜は握り拳を空に向けて叫ぶ。

そんなに嬉しかったのか?

 

 

「天の知識を使った物なんてワクワクする事、目の前でやられて我慢なんか出来へんよ!それに……」

「そりゃ結構。なら真桜には釜戸の土台から作って貰おうかな」

 

 

目がキラキラしてる真桜。本当にカラクリ好きなんだな。なんか語尾が小さくなって聞こえなかったけど、まあいいか。真桜に先程の設計図を渡すと真剣な眼差しで目を通した後にニカッと笑った。

 

 

「任せとき!ウチに掛かればこんなん、あっと言う間に完成や!」

「マジで速攻で出来そうだな。なら俺も次の作業に入るか」

 

 

釜戸作成を真桜に任せた俺は次の作業に入る。木の板を何枚も組み合わせて……

 

 

「うーん……ここをこうすりゃもっと良くなるわなぁ……なぁ、副長?設計図を通りやなくても大丈夫?」

「ん、改造するのか?」

 

 

俺は俺の作業を開始しようと思ったら真桜が設計図を片手に俺に訪ねる。

 

 

「いやな、ここを……こうしたら……」

「あー……そこな。耐久性の問題が……」

 

 

俺と真桜は設計図とにらめっこをしながら改善案を出していた。流石本職と言いたくなるが本職は警備隊である事を忘れてはいけない。

 

 

「ふむ……なら今日は此処までにするか。真桜、その設計図を預けるから改善案出してくれるか?後、こっちは小屋の設計図な」

「え、ちょっ……ウチの案で大丈夫なん!?」

 

 

俺が設計図を渡すと真桜は慌てた様子で俺に聞き返す。新人時代に、いきなり仕事を任された俺もこんな感じだった気がするな……

 

 

「真桜はさっきも改善案出してくれたろ。その感じで十分だ」

 

 

俺は煙管に火を灯しながら真桜に指示を出す。俺の素人な設計よりも良いものを書き上げそうだ。

 

 

「……ほな、任された!早速手直しや!」

「それはいいけど真桜……徹夜はするなよ」

 

 

気を良くした真桜は即座に行動に移そうとしたが俺の言葉に足を止めた。そのままギギギッと首だけを此方に回す。

 

 

「なんで……わかったん?」

「玩具を貰った子供みたいに、はしゃいでれば分かるっての。設計図は任せたけど明日の警邏に影響が出るのも目に見えたし……」

 

 

俺は煙管を真桜に向けて突き出す。真桜は煙の出る煙管を見てキョトンとしている。

 

 

「睡眠不足は良い仕事の敵だ。それに、美容にもよくない」

「……ぷっ……アハハッ!副長、気障すぎるわ!」

 

 

俺の好きな台詞の一つだが元ネタを知らない筈の真桜に爆笑された。キザと言われりゃそりゃそうか。

 

 

「アハハ……ハーっ……笑ったわ。でも……嬉しいわ。ウチの事そんな風に言うてくれて」

「……なら笑うなよな……ったく」

 

 

爆笑を終えた真桜は先程の爆笑とは違う……何て言うか恥じらう乙女な笑い方をして俺はドキッとした。思わず真桜に背を向けてフゥーと煙を吐く。ヤバいなんか耳まで熱い。

 

 

「副長……この設計図、預からせて貰うわ。ほな、また明日!」

「おう、任せたわ」

 

 

そのまま真桜は俺と顔を会わせずに立ち去ってしまう。

 

 

 

「か……はぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 

俺は座り込んで煙管を吸いながら白い溜め息を再び吐く。

 

 

「何やってんだかねー……俺も……」

 

 

消えていく紫煙をボンヤリと見上げながら俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side真桜◇◆

 

 

アカン、アカン、アカン、アカン、アカン、アカァァァァァァァァァッン!

 

熱い、顔がめっちゃ熱いわ!なんやねんさっきの副長!ウチは副長から預かった設計図を胸に抱きながら自分の部屋まで全力疾走していた。思い出すのは先程の事。

 

最初はただの興味本意やった。副長が城の片隅でなんか作ってたから冷やかしに行っただけやのに……副長は真面目な顔付きで何かを作っとった。ウチの冷やかしの言葉にも皮肉で返してきたのは、いつもの事やけど天の国の物を作ってると気付いた時にはウチは自然と口が開いてた。

 

 

「天の知識を使った物なんてワクワクする事、目の前でやられて我慢なんか出来へんよ!それに……副長とも……一緒に居れるし」

「そりゃ結構。なら真桜には釜戸の土台から作って貰おうかな」

 

 

ウチの最後の言葉は副長には聞こえてなかったんやろうか?全然普通の態度や。ちょっと悔しい思いもしたけど副長の手伝いをやらせて貰えるのは嬉しかった。

その後、釜戸や小屋の設計図の手直しを頼まれた。基本的な部分は変えずに細かい部分を変えて欲しいと頼まれた。

ヤバい……超嬉しいわ。こんな楽しそうなのを仕事として出来るなんて最高や!今日は徹夜やな!

 

 

「……ほな、任された!早速手直しや!」

「それはいいけど真桜……徹夜はするなよ」

 

 

ウチは速攻で部屋に籠ろうと走ろうとした矢先に副長に呼び止められた。副長、なんでウチの考え分かったん!?

 

 

「なんで……わかったん?」

「玩具を貰った子供みたいに、はしゃいでれば分かるっての。設計図は任せたけど明日の警邏に影響が出るのも目に見えたし……」

 

 

副長は煙管をウチに向けて突き出す。煙管の先から出る煙と副長を思わず見つめてまう。

 

 

「睡眠不足は良い仕事の敵だ。それに、美容にもよくない」

「……ぷっ……アハハッ!副長、気障すぎるわ!」

 

 

偉く真面目な顔で気障なことを言う副長。アカン、なんか笑いのツボに入った!

 

 

「アハハ……ハーっ……笑ったわ。でも……嬉しいわ………ウチの事そんな風に言うてくれて」

「……なら笑うなよな……ったく」

 

 

一頻り笑うとウチは副長の言った言葉を思わず考えてしまう。ウチは沙和みたいにお洒落をしてる訳やないけど一応は女の子やからそれなりに気は使っとる。副長はそんなウチの事を見てくれてたんやな。そんな事を思うと妙に副長の言葉が嬉しくなってまうわ。

副長は照れなのかウチに背を向けてまう。あ、背中……意外と広いんやなぁ……って、アカン、さっきのを見た後やと副長の一挙一動に注目してまう。なんか顔が熱い!

 

 

「副長……この設計図、預からせて貰うわ。ほな、また明日!」

「おう、任せたわ」

 

 

ウチは副長の顔も見んと逃げるようにその場を後にした。

 

 

「はぁー……はぁー……」

 

 

自室に戻ったウチは部屋の鍵を閉めるとそのままズルズルと扉に背を預けたまま座り込んでしまう。

なんなんやろう……いつものウチやったら、さっきの副長も笑い飛ばして弄りに行ってたんやけど……

 

 

「あーっもう!こんなんウチらしくないわ!」

 

 

ウチは今の思考から逃げる為に副長から預かってた設計図を広げた。今はこれに没頭しよう、うん。ウチは設計図を広げた。

あ……これ。副長の煙草や臭いやな。設計図の紙に染み付いてるわ。

 

 

「~~~~~~~っ!」

 

 

 

ウチは頭を抱えながら先程からの思考から逃げる様に部屋に備え付けの布団に転がった。

ウチ……ホンマにどうしたんやろ……








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