真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百四十五話

 

 

宿に到着し……先程の事を思い返す。今の魏の警備隊の有り様は酷いな。凪がしっかりと指導出来ていないのも驚かされた……いや、あれは指導不足と言うよりも……

 

 

「凪……相当疲れていたみたいですね」

「やっぱり、そう思うか?以前よりも少し痩せたようにも見えたが……」

「当然です。凪ちゃんは曹操様よりも貴方達が居なくなった事に心を痛めていたんですから。でも、貴方達の犠牲で成り立った平和を崩したくないと、奮起されていたんですよ。多少の無理を通してね」

 

 

俺と一刀の会話に加わる荀緄さん。お茶を飲みながら、のほほんと言うけど内容は結構ハードだ。

 

 

「その結果があの警備隊って事か。沙和や真桜も手伝ってんだろうけど……立ち直りが遅ければ凪の負担が多くなったんでしょうね……」

「華雄は俺の部下だったが血風連の指南役でもあるからな。警備隊の仕事にまで手が回らなかったんだろう。いや、他の皆も同じ状態なんだろうな。自分の事で手一杯……なんとか平和の維持に努めていた。荀緄さん、俺達をすぐに魏に連れてこなかったのはこれが理由なんだろ?今の魏の現状を一番酷い状態で見せる為に」

「あら、そんな事ないですよ?理由の一つと言うだけです」

 

 

一刀が呟き、俺は荀緄さんに問い掛ける。だが、俺の予想とはちょっと違った。つうか、まだ理由あんのかよ。

 

 

 

「と言うか一刀……良く堪えてくれた。本当は凪の前に出たかったんだろ?」

「………はい。でも、それだと台無しになっちゃいますから……」

 

 

俺の問いに苦々しく答えた一刀。流石の荀緄さんもその様子には堪えたのか少し申し訳なさそうな顔をしていた。

 

 

「まあ、安心しろ。天下一品武道会の後で会えるさ。それよりも、今後はどうするんですか?天下一品武道会は3日後ですよね?」

「その間は皆さんの正体がバレない様にして頂きます。純一さんは天下一品武道会の登録の為に会場に行って貰います。それに天下一品武道会の本選は3日後ですけど、予選は2日後から始まります」

「そんなに参加者が多いんですか?」

 

 

天下一品武道会まで日数があるのでどうするのかと思ったが、2日後には俺は動かなきゃならないらしい。

 

 

「一般枠の参加者が増えましたからね。その間……純一さんは勿論、一刀君も美羽ちゃんも変装して貰います。純一さんは猪頭も良いけど普段は普通の変装をしてもらいますよ?」

「お任せください。紫色のスーツを着て差し歯を使って、カイゼル髭を付けて語尾はザンスにすれば完璧だ」

「純一さん……悪ノリの時は尚更、ノリノリですよね。後、百%バレる変装は止めてください」

 

 

荀緄さんの言葉に俺は更なる変装を提案したが一刀のツッコミが入る。さっきまで凄まじく凹んでいた一刀だけど、鋭いツッコミが入れられるくらいになってくれた。

 

 

「そ、それで妾はどんな変装をすれば良いのじゃ?」

「純一さんは変装慣れしてるから大丈夫なんでしょうけど、俺と美羽は慣れてませんから」

「一刀は伊達メガネをしてカツラだな。美羽は……」

 

 

美羽と一刀はどんな変装をさせるか悩む。一刀は制服じゃなくて市井の服に伊達メガネにヅラで十分だろう。美羽はどうしよう?俺は美羽をジッと見る。

金髪に小柄な体。最近は侍女として働いていたから真面目な性格になった……ふむ。

 

 

「軍服を着させて、小銃を持たせれば……」

「色んな意味で危険ですから止めてください」

 

 

思い付いた結果が金髪の幼女。うん、性格は真逆だね。取り敢えず変装は別のを考えよう。

 




『イヤミ』
「おそ松くん/おそ松さん」の登場人物。
3枚の出っ歯、カイゼル髭、揃えた前髪に顎まで伸ばした長髪を内巻きにした髪形と語尾に「ザンス」を付けるのが特徴の人物。驚くとポーズをとって『シェー!!』と叫ぶ。
「おフランス帰り」を自称するが本人はフランスに行った事がない。


『ターニャ・デグレチャフ』
『幼女戦記』の主人公。
白く透き通った肌を持つ金髪碧眼の幼女。物語開始時点で9歳。元は日本の30代のサラリーマン。
見た目と言動がアンバランスで性格は徹底した合理主義者。部下は道具とみなしており、有能であれば権限を与えて活用するが、無能であれば躊躇なく捨て駒にする等、やる事なす事が過激の一言に尽きる。

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