真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第二十五話

 

 

 

 

何故か突入してきた荀彧や小屋の外で呆然としている一刀達。いや、どんな状況コレ?

 

 

「なんやなんや、皆で覗きかいな」

「お前は取り合えず湯に浸かってろ。色々と見えるから」 

 

 

一刀も居るし、俺は真桜を湯船に肩まで浸からせる。

 

 

「で……純一、アナタが作っていたのはコレなの?」

「ああ。これぞ天の国で昔から使われていた『五右衛門風呂』って奴だ」

 

 

大将の疑問に答えたが皆さんの視線がキツめです。俺、何かしましたかね?

 

 

「ほう、風呂なのかコレは?」

「ああ、釜戸の下で薪を燃やして湯を沸かしてるんだ。底の所が鉄板になっていて熱を伝える役割を果たしてる」

 

 

興味深そうに秋蘭が真桜が入ってる五右衛門風呂の観察を始める。

 

 

「釜戸で湯を沸かすのなら熱いのではないか?それに底が鉄板なら尚更だ」

「鉄板の上に乗るための木で作った中蓋があるんだよ。じゃないと火傷するから」

 

 

春蘭の疑問も尤もだ。それを知らずに入って火傷をした人も多いらしい。

 

 

「なら、この水瓶はなんですか?足し湯の為ですか?」

「足し湯と温度調節の為の水だよ。五右衛門風呂は沸くまでが時間が掛かるけど沸いたら一気に熱くなるから水を足して調整しないとダメなんだ。因みに回りが鉄板で固められてるから余熱で中々、冷めないから暖かいのは長続き。更に温熱効果で体の芯から暖まるぞ」

 

 

栄華が指摘したのは釜戸の近くに置いておいた水瓶。現代の五右衛門風呂なら水道の水でも足せば良いが今はそうもいかない。となれば水瓶で水の確保が必要だったのだ。

 

 

「って言うかなんで『五右衛門風呂』って名前なのよ」

「確か……石川五右衛門が釜茹の刑にされたのが由来なんでしたっけ?」

「そりゃ俗説って事らしいけどな」

 

 

荀彧は名前が気になった様子。一刀よ、それは俗説らしいぞ?まあ、釜茹=五右衛門のイメージは根強いが。後は何でも斬れる刀を持つ御仁か。

 

 

「その五右衛門とやらは何をしたのだ?釜茹の刑なぞ余程の重罪なのだろう?」

「石川五右衛門は所謂『義賊』って奴でな。手下や仲間を集めて、頭となり悪事を繰り返したんだが相手は権力者のみだった。当時の政権が嫌われていた事もあり、庶民の英雄的存在になっていたらしい」

 

 

春蘭は五右衛門風呂よりも石川五右衛門の存在そのものが気になったらしい。まあ、聞かれても俺もうろ覚えなんだが。

 

 

「天の国にもそんな者が居たのね。どの国でも変わらないのかしら」

「まあ義賊とか大泥棒とか色々と説はあるがな」

 

 

大将の言葉に五右衛門の辞世の句を思い出す。

『石川や 浜の真砂は尽くるとも世に盗人の種は尽くまじ』

この言葉はどの世界でも通じるな……やめとこ堂々巡りになりそうだ。

 

 

「ふ、ふくちょ~……」

 

 

なんて考え事をしていたら真桜の声が……あ、やべ。

 

 

「熱い~……」

「すまん、大丈夫か?」

 

 

話に夢中になっていて五右衛門風呂に入ってる真桜を忘れてた!すっかり茹で上がってるよ。

 

 

「大将、俺と一刀は外に出るから後は任せた。そこの戸棚に手拭いと湯のみが入ってるから使ってくれ」

「わかったからアナタ達は早く出なさい」

「さっさっと行きなさいよ変態!」

 

 

俺は大将に真桜の後の事を頼んだのだが邪魔だと言わんばかりに外に追い出された。荀彧、地味に痛いから脛を蹴るな。

外に出た俺と一刀はちょっとブレイク。

俺が煙管を吸い始めると一刀が口を開く。

 

 

「五右衛門風呂を作るってスゴいですね」

「持ってた知識を動員したに過ぎねーよ。お前こそ、町の改善案の草案見たけどアレは『割れ窓理論』だろ?」

 

 

一刀は俺をスゴいと言ったが俺から見ればキチンと持っている知識を有効利用する一刀がスゴい。俺には向かない職業なだけに頑張れと言いたいんだからな?

 

 

「北郷、秋月。もう中に入っても大丈夫だぞ」

 

 

なんて話していたら秋蘭が声を掛けてくる。一先ず、大丈夫になったみたいだな。

中に入ると未だに熱いのか真桜は団扇をパタパタと扇いでいた。服も上のビキニと短パンだけと中々に扇情的な感じだ。

 

 

「真桜さんから見せてもらった資料や設計図から見ると量産は可能な範囲内ですね」

「そうね……これだけのお風呂が作れるなら普及しない手はないわ」

 

 

大将と栄華は既に五右衛門風呂の量産まで視野に入れてる。流石としか言いようがないな。

 

 

「ふむ……これなら鍛練の後でも気軽に風呂に入れるのか」

「それもあるけど毎日入れるってのが大きいわね……」

 

 

春蘭、荀彧は興味深そうに五右衛門風呂を観察してる。これは色々と上手くいったな。

 

 

「ところで秋月。この風呂に注意点はあるのか?」

「ん、ああ……さっきの真桜を見てわかる通り熱くなりやすいから水を足して適温にしたりとかしないとだな。後、中蓋が無いと普通に火傷確定」

 

 

秋蘭の疑問に答えた俺だが確かに危険も多い。いきなり普及させると不味いかもしれないな。

 

 

「ふむ……なら純一。この五右衛門風呂の沸かし方から入り方、注意点を纏めた資料の作成を命じるわ。まずは城の中での利用。馴染み次第、民にも五右衛門風呂の提供をするわ」

「となると……暫くはこの試作品のみの稼働だな」

 

 

大将の言葉に同意しつつ俺は五右衛門風呂を見た。頑張って作ったが当分はこれ一台な訳だ。

 

 

「まあ、ええやん。副長の考えが通ったんやで。ウチも頑張った甲斐があるっちゅー訳や」

「そうだな。それと真桜、髪はちゃんと拭け」

 

 

嬉しそうに話しかける真桜だがまだ髪が濡れていた。俺は溜め息を吐くと手拭いで真桜の髪を拭いてやる。つか、真桜って髪を下ろすと印象変わるな。普段から髪留めで纏めてるから新鮮だ。

 

 

「ちょ、副長!子供やないんやから……」

「手伝って貰ったお礼の続き……かな?」

 

 

最初は嫌がった真桜だが、俺の言葉に大人しくなった。なんか……懐かしいなこの感覚。そんな事を思いながら真桜の髪を手拭い越しに撫でていたのだが気が付けば真桜はジト目で俺を見ていた。

 

 

「………どうした?」

「いやな……副長。妙に手慣れてへん?」

「…………へぇ」

 

 

俺が質問すると真桜はジト目のまま俺に聞いてくる。大将も面白い話題を見つけたって顔しないで。

 

 

「昔……ちょっとな」

「そ……なら今は止めとくわ」

 

 

俺はあの娘の事を思い出したがすぐに頭の片隅に追いやった。

ん……ちょっと待て大将。「今は」って事は後々聞く気満々ですかい?

 

 

「…………ふん」

 

 

荀彧は荀彧でそっぽ向くし……

 

 

 

因みにこの後だが大将や春蘭達も順番に五右衛門風呂に入っていった。狭いだなんだと文句をつけられたが、しっかりと湯に浸かっていったらしいので満足はしたのだろう。

因みに湯に浸かっていったと言っても俺は中に居た訳じゃない。秋蘭と真桜にある程度の注意点を任せて俺と一刀は報告書作りに勤しんでいたからだ。

荀彧には『華琳様のお風呂を覗こうだなんて私がさせないわよ!』と強く言われて追い出されたってのもあるけど、俺一応制作者なのにこの扱いは解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後々だが秋蘭から「桂花も気持ち良さそうに五右衛門風呂に入っていたぞ」と教えられた。情報感謝です。








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