真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百五十二話

 

 

凪には半ば正体がバレてる状態か……どうするかな。いっそ、正体をこの場でバラしてしまうか?

 

 

「せやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

 

と思ったら速攻で突っ込んできた!考える暇がねぇ!拳を避け、蹴りを受け止める。次々に繰り出される凪の乱撃に正体バラしをどうするか悩む暇もない!

 

 

「まだその皮を脱ぎませんか?なら私が剥がして差し上げましょうか?」

「なっ……とっ!」

 

 

乱撃の最中、凪の手が猪頭に伸ばされたので振り払う。危ないなぁ……プロレスならマスクに触るのはご法度だぜ、凪。一度、距離を置くと凪は泣きそうな顔になっていた。未だに俺が正体を隠しているのが悲しいのだろう。帰ってきたのなら大手を振ってくださいって所か?やれやれ……女の子の涙は弱いな俺は。一刀、荀緄さん……予定は変更させて貰うぞ。

 

 

「地和……審判と解説の為に舞台に上がっているんだろうが下がるか、舞台の下に降りた方が良い。じゃないと……死ぬぜ?」

「え、あ……は、はいっ!」

 

 

俺は地和に歩み寄り、舞台の下に降りる事を告げる。今までも戦いの邪魔にならない様に舞台の端に居た地和だが、俺が掌に気弾を作り上げると、これからどんな戦いが繰り広げられるか察したのか素早く舞台の下に避難した。降りる時にチラチラと俺の方を見ていたから地和も俺が誰なのか疑ってるみたいだ。ま、これから種明かしになるんだけどな。

 

 

「なんのつもりですか?」

「俺の正体を確かめたいんだろ?だったら、この皮を剥いでみろよ?それとも、自分が気の力を教えていた情けない上司の変装を剥ぐ事も出来なくなったか?」

 

 

俺を睨む凪に、俺は指で猪の頭をトントンと突く。その挑発に乗ったのか凪は反論するよりも先に行動に移していた。

 

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「こっからは俺も遠慮はしないぞ!必殺、親父の竜巻投げ!」

 

 

一直線に猪マスクを剥ぎに来た凪の右手を左手で捌く。それと同時に凪の襟首を掴み、足を払いながら投げ飛ばす。投げ飛ばされた凪は宙を舞った。

 

 

「嘗めないでください!」

「おっと、流石に綺麗な受け身だ」

 

 

一瞬で体勢を持ち直した凪は再び、俺に突撃してきた。本来なら、親父の熱き魂もやっておきたかったが、流石に凪の肌に火傷を作りたくないし、煙管も手元に無い。

 

 

「だが、気の力を開放した俺に距離を詰められるかな?必殺!」

 

 

俺は自分の胸の前で球体を掴む様な構えをしながら気弾を生み出し溜める。

 

 

「ゴッドファーザーボム!」

「な、このっ!」

 

 

俺のゴッドファーザーボムを蹴り飛ばした凪。おいおい、折角この日の為の新技がアッサリと破られたよ。ゴッドファーザーボムを蹴り飛ばした凪は、その勢いで一回転したが、体勢を整えて俺に肉薄していた。

 

 

「貰ったぁ!」

「まだまだ……ディバインバスター!」

 

 

凪の右拳を左手で受け止めながらカウンターで右拳のディバインバスターを叩き込もうとしたが、凪は俺の肩に手を置くと逆立ちの要領で飛び上がり避けた。まさかの回避の仕方に呆気に取られた瞬間に膝蹴りが飛んできた。それを避けようとしたが、回避しきれずに僅かに当たってしまう。直撃じゃなかったにしてもダメージがデカい。クラっと意識が飛びそうになるが、なんとか持ちこたえようとする。

 

 

しかし、凪は俺にトドメを刺すつもりだったのか、既に次の行動をしていた。凪は姿勢を低くしたまま、俺の腹にアッパーの様に突き上げる拳を放っていた。俺はなんとか三戦の構えと気を腹に集中してダメージを最小限に止めた。めちゃくちゃ痛い……だが、この体勢は俺の得意技を放つ最適の状態だ。

 

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「え、きゃっ!?」

 

 

俺は凪のこめかみに両手の指を添える。凪は俺の動きに驚いて可愛い悲鳴を上げた。だが、動きを止めたのはNGだったな。俺は指先に気の力を込める。

 

 

「くっくっくっ……俺の正体に気付きながら射程範囲に入るとは愚かな」

「え、あ……ま、まさか?止めてください、副長!」

 

 

俺が何をしようとしているのか理解した凪は慌てた様子で離れようとしたが、俺のロックを簡単に外せると思うなよ?そして凪の叫びに周囲の将や兵士、観客から、ざわつきの声が上がる。未だに猪マスクをしているから俺の正体に気付いた者は居なかった。いや、なんとなくは察していたかもしれないが確信はなかったのだろう。だが、凪が俺を『副長』と叫んだのは会場にいる全員が聞いたんだ。そりゃ正体もバレるわな。

 

 

「凪が俺を副長と呼んで正体もバレてんだ。駄目押しといこうか。メ・ガ・ン・テ!」

「………っ!」

 

 

俺の一言に凪は逃げ道が無いと察したのか気でガードし始めた。うん、良い判断だ。凪がガードしたのを確認した後に俺は自身の気を爆発させた。

 

 

 




『親父の竜巻投げ』
『るろうに剣心』左之助の父である東谷上下ェ門が使用した技。
捻りを加えた投げ技で投げられた相手は竜巻の様に錐揉みしながら宙を舞う事になる。


『親父の熱き魂』
同上。
煙管の燃えカスを相手に吹き付け火傷をさせる技。


『ゴッドファーザーボム』
『海の大陸NOA』テイオーが使用した技。主人公リュークの父であるリューヤから学んだ技。両手で球体を掴むような構えをしてから球体型の気弾を放つ。
技を修得したばかりのテイオーですら木々を薙ぎ倒す程の威力を持ち、本来の使い手であるリューヤは空母に大穴を開けて座礁させる程の破壊力を持つ。


『ディバインバスター(スバル)』
『リリカルなのはStrikerS』でスバル・ナカジマが使用した魔法。高町なのはに憧れたスバルが我流で編み出した近距離砲撃魔法。拳のインパクトと同時に圧縮した魔力砲を叩き込む。


『メガンテ(ダイの大冒険)』
ドラゴンクエストシリーズの呪文。今回はダイの大冒険版。相手の肉体に自身の指先をめり込ませて動きを封じ、自身の命を爆発力に変える呪文。アバン、ポップ等が使用した。


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