真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百五十九話

 

 

久し振りの桂花とのキス。耐性無くなったかなー。目の前の猫耳軍師様は分かりやすく真っ赤だわ。

 

 

「も、もう……煙草臭いんだから……」

 

 

自分の唇に指を這わせながら呟く桂花。天然に誘うような仕草をするのは相変わらずか。

出来たら、このままめくるめく夜を……と行きたい所だが……

 

 

「覗き見とは感心せんな。あれから四年も経過して覗き癖でも出来たか?」

「ふふ、桂花が素直になれたか少々心配になってしまったのでな」

 

 

俺が城壁の陰から覗き見していた人物に声を掛けると、その人物が出て来た。秋蘭はクスクスと楽しそうに言う。酔っているのか、顔が赤くテンションが微妙に高い。秋蘭って静かに飲むけど、一定のラインを越えると質が悪い酔い方するんだよなぁ。秋蘭って酔っていても冷静だから軽く酔っているのか泥酔してるのか判断しにくい。

 

 

「見ての通りだよ。出来たら、このまま熱い夜を過ごそうかと思ったんだがな」

「それは止めておいた方が良かろう。他の娘達の嫉妬に焼かれてしまうだろうからな」

「アンタ達……あのねぇ……」

 

 

俺の冗談に軽口で返す秋蘭。うん、相変わらず判断しづらい。桂花はそんな俺と秋蘭に呆れている。

 

 

「秋蘭は一刀と過ごさなくて良いのか?」

「意地の悪い事を言ってくれるな。今は華琳様にお譲りするさ」

 

 

俺の質問に困った様な笑みを浮かべる秋蘭。ま、大将も顔や態度には出しちゃいないが一刀の帰還を心から喜んでるしな。だが、秋蘭も『今は』って言う辺り後で二人きりの時間は考えているんだろうな。俺は桂花から返して貰った煙管に……と思ったが中身が無いので結局、タバコを吸う事に。火を灯すと秋蘭は懐かしそうに目を細めた。

 

 

「しかし、こうして此処で煙草を吸う秋月を見ると安心するな。おっと、私とした事が桂花の台詞を奪ってしまったか」

「秋蘭……アンタ、酔ってるわね。さっさっと寝ちゃいなさいよ」

 

 

俺に絡んでくる秋蘭に桂花は背中をグイグイ押して部屋に戻そうとする。確かに今の秋蘭は蜀の趙雲みたいな感じだな。趙雲の常に人をからかおうとする姿勢は俺と気が合いそうだ。

 

 

「待て待て、話はそれだけじゃなかったんだ。秋月も気にしていだろうが大河の事だ」

「ああ……姿が見えないんで気にしてたよ。秋蘭が、その話を持ってくる辺り、何かあったのか?」

 

 

秋蘭の発言に気にかかっていた大河の話題を振られる。魏に戻ってから姿が見えないから気になってたんだ。天下一品武道会にも参加してなかったし。そんな事を思いながら、紫煙を吐く。

 

 

「う……私も言おうとは思ってたのよ?」

「愛しい人を前にしたら他の事は後回しになってしまうのは当然だ、仕方あるまい」

 

 

ばつの悪そうな桂花に秋蘭がクックッと笑う。意地が悪いとは思うが、このタイミングで言うって事は割りと重要な事なんだろう。

 

この後、桂花と秋蘭から大河の今を聞いたのだが……なんて言うか……真面目がから回ったな、おい。取り敢えず明日にでも様子を見るとするか。

 


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