真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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機種変してから苦戦しております。暫くは更新ペースが落ちそうです。


第二百六十一話

 

 

 

「はてさて、どうしたものか……」

 

 

うーん、と頭を悩ませながら俺はいつもの城壁で煙草を吸っていた。話を聞く限りだと大河は俺との事が負い目となり、今の状態になっている。そんな中で俺がアイツに対して何をしてやるべきか……

 

 

「俺と一刀に原因があるだけに迂闊な事が出来ん……」

 

 

フゥー、と吐いて紫煙に俺の悩みも消えないかなぁ……と思ってしまう。そう、原因である俺と一刀がお悩み解決となれば色々とややこしい事になる。

 

 

「それに大河が俺と一刀を避けてる節があるからな……」

 

 

どうにも大河は俺と一刀と会わないようにしているみたいだ。見回りとか鍛練とかで接触を避けている。

 

 

「ま……どうするかは、これからだな」

 

 

煙草の火を消してから頭をガリガリと掻きながら自室と向かう。月と詠が待ってるからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side詠◆◇

 

 

 

「はい、秋月さん。お茶です」

「ありがとう、月」

 

 

天の国から帰って来た秋月は久し振りに帰って来た秋月にお茶を出して、秋月は嬉しそうに受け取っている。前は当たり前に見ていた光景が今は凄く懐かしいわね。

 

 

「はぁ……落ち着く。それに美味い、やっぱり月のお茶は最高だ」

「へぅ……そ、そんな事ありませんよ。でも、秋月さんに再び、お茶を出せるのは私も嬉しいです」

 

 

感極まって涙を流しそうになってる秋月と秋月の言葉に嬉しそうに顔を赤くしている月。僕もちょっと泣きそうになった。当たり前の事が当たり前じゃなくなった、あの日から夢見ていた光景に涙腺が緩みそうになる。

 

 

「邪魔するで~」

 

 

僕がそんな風に考えていたら霞が秋月の部屋に入ってくる。何の用事なんだろ。

 

 

「邪魔するんやったら、帰ってや!」

「すんまへん」

 

 

秋月の返事に霞は踵を返す。え、帰るの!?

 

 

「って違うやろ!久し振りなのにノリがええやん、純一!」

「懐かしいなー、霞とのやりとり」

 

 

すぐに部屋に戻って来た霞は笑いながらバンバンと秋月の肩を叩く。懐かしさから秋月が微笑みながら懐かしんでる。コイツら馬鹿ね。

 

 

「それはそうと、聞きたいのって何?聞きたい事があるんやろ?」

「ああ、うん。大河の事なんだわ」

 

 

どうやら、霞は秋月が呼んだらしい。でも、大河の事って何を聞くのかしら?

 

 

「大河の事?なんや弟子の心配かいな?」

「その弟子が俺を避けてるんでな、俺が居なかった頃の事を聞かせて欲しいんだわ。凪とか華雄だと大河寄りの意見になりそうだから霞の中間的な見解が聞きたくてね」

 

 

大河の事を気に掛けていたのね。なんやかんやで秋月と大河って師弟が成り立ってるのよね。

 

 

「ええで聞かせたるわ。主に雛里との恋愛方面の話」

「ぜひ、聞かせてくれ」

 

 

ニヤニヤした調子の霞に面白そうな話だと判断した秋月は真面目な顔付きで聞こうとしてる。よくよく思えば、悪ふざけを常に提案してた秋月と面白い事が好きでノリが良い霞が揃えばそうなるわよね。

 

 

「まったくもう……馬鹿なんだから」

 

 

久し振りに秋月が馬鹿な事を始めたと思ってしまう。

楽しそうに話をする秋月と霞。それをニコニコと見ている月。

 

 

「でも……僕も好きなんだよね」

 

 

きっと月も同じなんだよね。秋月が居るだけで僕達は心の底から笑う事が出来る様になったんだから。

だから……だから、もう何処にも行かないでよね。

 


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