真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百六十二話

 

 

俺は訓練場である物に着替えをしてから大河を待っていた。

 

 

「純一さん……本気ですか」

「マジもマジ。これから本気で大河と戦う」

 

 

そう、周囲の人間から現在の大河の話を聞き回り、俺が下した結論は『もう、こうなったら戦ってストレス発散させてやろう大作戦』となった。その事は一刀にも既に説明済みである。

 

 

「大河の為に動くのは良いんですけど、作戦名はどうにかならなかったんですか?もう失敗する前フリにしか聞こえないんですけど。それと、その格好にも不安が漂うんですが」

「何処に不安がある?エリートサイヤ人の由緒正しきスタイルだ」

 

 

一刀は作戦名と俺の格好に不安を抱えていた。作戦名は兎も角、内容自体は真面目だ。格好に関しては……まあ、いつもの道着でも構わないんだが、服屋の親父の所に挨拶に行ったら四年前に出した案を作り直してくれたのだ。地球に来た初期のエリートサイヤ人風の戦闘服を纏って髪も少し、逆立ててみた。そんな訳で戦闘服を身に纏い、腕を組んで雰囲気を出しながら大河を待つ。

 

 

「それで大河は亀仙流の道着を着てくるんですよね?」

「ああ、道着を着て来る様に伝えたからな。今回は警備隊の訓練として正式に呼んだから逃げる事は許さない状況にした」

 

 

大河は俺と一刀が帰ってきてから俺達を避けている節がある。ならば逃げる事が叶わない状況にして真っ向勝負と行こうじゃないか。

すると訓練場がザワザワとし始める。視線を移せば亀仙流の道着を着た大河が歩いて来た。

あの頃よりも背が高くなり、体もガッシリとしている、顔付きは多少男らしくなったものの、まだ女の子を思わせる顔立ちが大河らしいと笑みが溢れそうになる。それ以上に龐統と一緒に来たのが微笑ましい感じになる。

 

 

 

「純一さん……華琳達の時も思ったんですけど、女の子たちは変わらな過ぎじゃありませんか?大河は成長したのに、女性陣はあの頃と変わらな……」

「その辺で止めておけ、一刀。後が怖くなるから」

 

 

大河は四年という月日が感じられたのに一緒に来た龐統が成長が見受けられないから尚更そう感じてしまう。少なくとも四年前は同じくらいの身長だったのに、今は身長差が凄まじい。

あまり考えるのは止めよ。この思考が大将にバレると物理的に火傷しそうだ。それよりも今は大河だ。

 

 

「久しぶりだな、大河。来てくれないんじゃないかと不安だったぞ」

「……師匠」

 

 

俺が声を掛けると大河は俯き気味に俺を呼ぶ。前の活発な印象がまるで失われている。こりゃ別人だと思うほどの状態だ。

 

 

「色々と言いたい事はあるが……構えろ!」

「え……はっ!」

「大河さん!」

 

 

俺は叫ぶと同時に大河に殴り掛かる。龐統は驚きながら大河の名を叫ぶが大河はアッサリと俺の拳を見切って受け止めやがった。ギリギリと力比べになる。やっぱ、あの頃よりも力が増してるな。対して大河の方が驚いた顔をしている。

 

 

「強くなったな……だが、これなら!」

「くっ……はぁっ!」

 

 

俺は大河の手首を掴むと投げ飛ばす。投げ飛ばされた大河は体勢を一瞬で立て直す。身のこなしも、あの頃以上だ。俺は間髪入れずに気弾を大河に撃ち放ったのだが大河はアッサリと弾き飛ばした。なんか思った以上に実力差があるんだけど。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

「師匠……手加減してるッスか?」

 

 

俺が連続で気弾を連続で放ったら大河は俺の背後に回り込んでいた。めちゃくちゃ強くなってんな、おい!?

 

 

「ふんっ!って痛だだだだっ!」

「っと」

 

 

裏拳を放ったら受け止められた上に関節を極められた。なんか天津飯に負けてるサイボーグ桃白白みたいだ。

 

 

「あ、その……師匠?」

「大河……この通り、お前は既に俺よりも強い……」

 

 

スッと手を離し動揺している大河。うん、話に聞いていた通り、大河は既に俺よりも遥かに強い。他の将が言うには俺への尊敬が強過ぎるから自分に自信が無い上に実力を出し切れていないと言うのが見解だ。ならば実力を出せる様にしてやろう!

 

 

「だが、師匠としては認められないんでな……だから!」

「なっ!」

 

 

俺は脚に気を込めて飛び上がる。訓練場の壁も利用して高めに飛び上がった。

 

 

「今のお前なら避ける事は可能だろう!だが、避けたら龐統に当たるぞ!」

「な、やめて下さい!?師匠!」

 

 

俺が腕に気を込めて気功波を放とうとしている事に気づいた大河は焦っているが俺は止める気は無い。対応してみせろ!

 

 

「訓練場、諸共に塵になれぇぇぇっ!」

「くっ……か、め、は、め」

 

 

俺がギャリック砲を放とうとすると大河は腰を落として構えた。そう、それが正解だ。

 

 

「ギャリック砲っ!」

「波ぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

俺の放ったギャリック砲と大河のかめはめ波が激突する。しかし、拮抗したのは一瞬で俺のギャリック砲は大河のかめはめ波に飲み込まれ、俺に迫って来る。いや、もうちょっと互角の戦いになるかと思ってたんだけど……ヤベェ!?

 

 

「押され……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

止まる事無く、迫って来るかめはめ波に俺は何も出来なかった。空中で避ける事も叶わず、俺は大河のかめはめ波をモロに食らう事となった。

 

 

 




『ベジータ』
ドラゴンボールの登場人物。
初期はドラゴンボール強奪と地球を破壊しに来た悟空の敵して登場し、後半ではライバルであると同時に仲間となった。サイヤ人の王子で自他共に認めるサイヤ人のエリート。

『戦闘服』
ドラゴンボールでフリーザ軍が着ている戦闘用のジャケット。見た目に反して柔軟性が高く、耐久性も高い。兵士によって多少差はあるが凡そ同じデザイン。


『ドドリアランチャー』
ドラゴンボールの登場人物ドドリアの必殺技。
高い破壊力のエネルギー波を放った後に連続エネルギー波を叩き込む技。原作ではベジータ相手に使用したが、アッサリ見切られて敗北した。


『サイボーグ桃白白』
ドラゴンボールの登場人物。
悟空に敗れて死亡したかと思われた桃白白が全財産を使い、サイボーグ化した姿。以前よりも遥かに強くなったのだが天津飯はそれ以上に強くなっていた為に軽くあしらわれた上に自信のスーパーどどん波を声だけで消され、完全敗北した。


『かめはめ波V Sギャリック砲』
悟空とベジータの最初の戦いの際に予想外のダメージを負ったベジータが怒りに身を任せ、地球を破壊しようとギャリック砲を放ち、悟空はかめはめ波で対応した。実力は拮抗していたのだが悟空が界王拳を四倍に引き上げた為に拮抗が崩れ、ベジータは敗北した。


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