真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百六十三話

 

 

 

 

見事に負けた……俺のギャリック砲と大河のかめはめ波。拮抗したのは一瞬で押し負けたギャリック砲とかめはめ波が同時に襲ってきた。いやー……流石に半端ない威力になってた。その半端ない破壊力の気功波を食らった俺はと言うと……

 

 

「あー……こりゃ死ぬかな……」

 

 

上空から落下中である。大河のかめはめ波に押し出され、遥か空の彼方まで吹っ飛ばされた俺はかめはめ波の威力が収まった辺りで体が動かず、自由落下をしていた。

この世界に帰還した時の高さに比べればマシだが、普通に死ぬ高さだわ。

 

 

「純一さん!」

「師匠!」

 

 

下から一刀や大河の叫びが聞こえる。声から焦りが伝わるが体が動かないんだよ。

 

 

「馬鹿っ!早く何とかしなさいよっ!」

「副長、その高さは死んでまうで!」

 

 

詠と真桜の声が聞こえる。でも、力尽きてる状態だと対処のしようもない。

 

 

「秋月さん!」

「受け止めるぞ!」

 

 

下には斗詩と華雄が落下中の俺を受け止めようと必死になっている。

 

 

「………」

 

 

そして恋がアバンストラッシュを放とうと方天戟を逆手に構えて体を引き絞ってる。いや、ちょっと待て!?

次の瞬間、恋が放ったアバンストラッシュが俺の体に直撃し、吹っ飛ばれ外壁に叩き付けられ地面への激突は回避された。

 

 

「が……は……ゲフッ」

 

 

この痛みなら地面に激突した方がダメージ少なかったのではと思ってしまう。俺が放った技を軽々超えてくるな、この世界の住人は……あー、意識が遠のく。

 

 

 

 

 

◆◇side詠◆◇

 

 

 

 

大河の目を覚まさせると戦う事になった秋月と大河。本人も言っていたけど大河は既に秋月よりも強い。でも、あの日消えてしまった秋月の影を追い続けた大河はそれを認めようとしなかった。だから秋月は実際に戦って大河に己の強さを認めさせようとした。結果は成功と言えたのだろうけど秋月は体を張り過ぎた。ボロボロになり、身動きが取れない状態で落下してきた。華雄や斗詩が受け止めようとした所で恋が以前、使っていた、あばんすとらっしゅと言う技で地面に激突する前の秋月を吹っ飛ばして訓練場の外壁に叩き付けた。確かに地面への激突は防いだけど素直に落下した方が良かったんじゃ無いかしら?

 

 

「し、師匠……詠さん!?」

「待ちなさい、大河」

 

 

僕は秋月の所へ行こうとする大河を引き止める。改めて背が伸びたわね、こいつ。前は僕よりも低かったのに……

 

 

「今回の秋月の怪我の原因はアンタよ。ずっと秋月の幻影を追っていたアンタを魏の皆は心配していたの。でも、アンタは頑なに心を開こうとしなかった……秋月が帰ってきても後ろめたさから避けてたでしょ?だから、秋月はアンタと戦ったのよ。『もう、俺の後を追って無理をするな』ってね。今の秋月の怪我に責任を感じるなら悩むのも……秋月の幻影を追うのは止めなさい。本人が居るんだから幻影に惑わされてちゃ本末転倒よ」

「は……押忍!」

 

 

僕の言葉に大河は返事をして秋月の方へ走って行く。返事が『はい』から『押忍』に戻った辺り、少しは以前の大河になったのかしら?

僕はそんな事を思いながら……運ばれて行く秋月を見て、ため息を溢した。

 

本当に帰ってきてから心配ばかりさせるんだから……

 


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