真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百六十六話

 

 

 

俺は今、土下座をしている。誰にしてるかって?そりゃ勿論、我が大将である曹孟徳様にだ。

 

 

「余程、激しかったのねぇ……まさか、桂花を足腰立てなくなるに求めるなんて」

「四年間分、思いの丈を注いでしまいました」

 

 

そう……昨晩、熱い夜を過ごした俺と桂花だったが可愛い桂花を俺は求め過ぎた。詳しくは割愛するが夜から朝までコース。最初はツンツンと言うか素直じゃ無い状態だったが途中から桂花は素直になり、最後には甘々になって最終的には……泣き叫びながら求めてきた。そんな桂花を前に俺が止まれる筈もなく……恋や大河との戦いで枯渇した筈の気が体から溢れて、そのまま行為に及んだ。その結果、桂花の足腰は立たなくなり、当然仕事なんか無理である。そんな訳であれば大将の前で土下座をする運びとなったのだ。

大将はニコニコとしているものの凄まじい圧を感じる。

 

 

「弁明する気はない様ね」

「もう純然たる事実なので」

 

 

だってもう、言い訳のしようもないもの。俺の一言に大将は「ハァ……」と溜息を零す。

 

 

「私も一刀と過ごしたもの……気持ちは分かるわよ。いっそのこと言い訳の一つでも溢してくれたら罰を処する事も考えたけど、潔いんだもの。そんな気も失せたわ。今回の事は多めにみるけど、他の娘の事も気にかけておきなさい。じゃないと……」

「ああ……そりゃ勿論だ。待たせていたのは桂花だけじゃないからな」

 

 

俺は立ち上がり大将と向かい合う。そう……俺を待っていてくれたのは桂花だけじゃない。月も詠も真桜も華雄も斗詩もねねも……皆を待たせていたんだ。

 

 

「そこに祭も加えておきなさい。貴方が帰って来たからって魏に籍を置こうと嘆願書が来たのよ?」

「え……マジ?」

 

 

祭さんも四年前の決戦の時から俺を貰うなんて事は言っていたけど……本気だったのか……

 

 

「本当なら呉に貴方を迎えるつもりだったみたいだけど無理だと判断して魏に来るつもりになったみたいね。今までは人材交流派遣で魏に滞在してたけど本格的に魏の所属に移るつもりの様ね」

「せめて本人から一言、欲しかったよ……あ、そう言えば美羽……袁術は……」

 

 

祭さんの話で思い出した。美羽の今後はどうするんだろう?

 

 

「今、あの娘は月と詠と話をさせてるわ……どうなるかは、それ次第ね」

「なんばしよっとね!?」

 

 

大将の一言に俺は思わず博多の方言が出た。いや、混ぜるな危険だからね!?

 

 

「気になるなら行ってみたら?あの子達は侍女の部屋に居る筈よ」

「取り敢えず行ってくる!」

 

 

俺は玉座の間から侍女の休憩室になってる部屋に走った。美羽は反董卓連合の一件で月、詠、華雄、恋、ねね、霞から恨まれてる。美羽を魏で生活させるなら、気にするべきだったのに後回しにしたのを俺は後悔しながら走り、休憩室に入った。

 

 

「美羽っ!」

「ぴぃっ、主様!?」

「秋月さん!?」

 

 

休憩室ではメイド服に着替えてる途中の美羽。メイド服を着た事の無い美羽の為に月が着替えさせようと手伝っている。美羽と月は休憩室に来た俺を見て固まっている。

 

 

「あ、あれ……?」

「堂々と覗くな馬鹿っ!」

 

 

なんか、思っていた様な状態に固まっていると詠が部屋にあった竹筒を投げ付けられ顔面にヒット!

 

 

「ノックもせずに入ったのは謝るけど……流石に酷くない?」

「正面突破で覗きに来るからでしょ。ほら、出て行きなさいよ」

 

 

痛む鼻を押さえていると詠に背中を押されて廊下に追いやられる。

 

 

「それで、なんで覗きに来たのよ」

「まずは覗き呼ばわりを止めてくれ。いや、見たのも事実だけどさ」

 

 

俺と一緒に廊下に出た詠は腕を組みながら俺に質問してくる。俺は思わず正座をした。なんか、朝からこんなんばっかりな気がしてきた。

 

 

「いや……大将から美羽が月と詠と話をしに行ったと聞いて心配になりまして……その……反董卓連合の……事が……」

「アンタの懸念は尤もよ……でも僕達はもう戻れない。あの子を……美羽を恨んだからって、あの時が戻る訳じゃない。それに反董卓連合があったから月は重圧から解放された。それに袁紹も蜀の所属だし、袁術の……美羽の事だって今更よ」

 

 

詠は俺の言葉に俯きながらも答えてくれた。俺が慌てていたのに詠は……いや、詠も月も受け止めていてくれたんだな。いや、ちょっと待て……大将も大して深刻そうに話して無かったよな……それに今、詠も袁術と言わずに『美羽』と真名で呼んでいた。これって、もしかして……

 

 

「もしかして、俺の早とちり?」

「それほど慌ててたって事でしょ?僕や月の事を心配してくれてたんでしょ?美羽の事もなんだろうけど」

 

 

疑問を投げ掛けると詠は嬉しそうに、それでいて呆れた様子で教えてくれた。成る程、俺が何か言うまでもなく和解は済んでいたって訳ね。

 

 

「美羽がメイド服の格好に着替えてたのは?」

「あれ、華琳から聞いてないの?美羽は僕と月の下でアンタの侍女見習いになる予定なんだけど」

 

 

初耳です。大将め……俺が慌てるのを予測して大事な部分は敢えて言わなかったな……しかし、美羽が侍女見習いか。まあ、荀家に居た時から似た様な事はしてたから問題はないだろう。

 

 

「お待たせしました。お着替え終わりましたよ」

「ぬ、主様……ど、どうかのう?」

 

 

月に連れ添われて現れたメイド服の美羽。

髪をポニーテールに纏めて、動きやすくしてある。更にスカート丈は詠と同じ様に月よりも少し短め。月と詠はそれぞれ白と黒のストッキングを履いているが、美羽は黒のガーターベルト。

 

 

「うん、似合ってるぞ美羽……いだっ!?」

「鼻の下、伸びてるわよ」

 

 

いや、似合い過ぎだろう……うん、セクシーだわ。俺は思わず、サムズアップをしたら詠に尻をつねられた。


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