真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第二十七話

 

 

 

 

◇◆side一刀◇◆

 

 

俺達の目の前には三メートル程の巨大な熊が居た。もしかして噂の怪しい人影ってこの熊の事なのか!?

 

 

「こりゃあ……クマったね……」

 

 

純一さんが冷や汗と苦笑いをしながらボケるがツッコミを入れる余裕は誰にもない。

 

 

「熊程度なら私が……あ、あれ?」

「凪?」

 

 

凪が勢い良く立ち上がろうとしたがペタんと座り込んでしまう。あ、凪はさっきの蛇騒動で腰が抜けてるんだった。って事は桂花もだよな。真桜と沙和に支えられてる桂花も動けそうにない。

 

 

「ぐるるるるるる……」

「仕方ない……俺が何とかするか」

「じゅ、純一さんが!?」

 

 

熊の唸り声にビビった俺だけど純一さんが一歩前に出た。そして、構えを取った……そっか純一さんにはソレがあった!

 

 

「かめはめ……波ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 

純一さんの手から放たれた、かめはめ波は熊に直撃した。したのだが……

 

 

「え……嘘。倒れない?」

「副長の気を浴びてあの程度の損傷……あの熊は相当強い筈です!」

 

 

純一さんのかめはめ波の直撃した筈の熊はケロッとしていた。気を使える凪がかめはめ波の威力から、あの熊はかなりの強さだと判断していた。

 

 

「ふ、ふくちょー!私達が戦うの!」

「そやで副長はウチ等の代わりに桂花を守ってや!」

 

 

純一さんの代わりに私達が戦うと沙和と真桜が出てくるけど純一さんは首を横に振るう。

 

 

「ダメだ……お前達は荀彧の護衛に付け」

「ちょ、なんでなん!?ウチ等は気は使えへんけど総合的な戦闘なら……」

 

 

真桜の言葉を遮ると純一さんは上着を脱ぎ始めた。

 

 

「一刀は魏にとって天の御遣い。そして荀彧は魏の筆頭軍師だ。どちらも失う訳にはいかん。それに……俺はお前達よりも年上で男だ。少しばかりの見栄も張りたくなるんだよ」

「え、ちょっと……」

 

 

純一さんは脱いだ上着を桂花に投げ渡す。

 

 

「預かっていてくれ……じゃないとボロボロになっちまうから……よ!」

「な、この気の使い方……まさかっ!?」

 

 

戸惑う桂花を置いておき純一さんは力を溜める様なポーズを取る。何かに気づいた凪が隣で凄く慌ててた。

 

 

「隊長、副長を止めてください!副長は自身の気を爆発させるつもりです!」

「なんやそれ!?」

 

 

凪の慌てた様子を見た真桜が沙和と一緒に桂花を連れてくるが、ただ事ではなさそうな事態に焦っていた。

 

 

「我々、気を使える人間は自身の内部に気を張り巡らせて強化する事ができる……だが」

「あ、ふくちょー!?」

 

 

凪の説明の途中だったが純一さんは熊に向かって行ってしまう。沙和が気づいたが既に遅かった。

 

 

「体内に凝縮された気を高めて爆発させる……これは破壊力は通常の数倍もの力にもなりますけど……威力が高すぎて肉体が崩壊する程の……大規模な爆発を起こします」

 

 

凪が説明する中、純一さんは熊の虚をつくと熊の背中に張り付いて必死にしがみついている。熊は『離れろコイツっ!』と言わんばかりに暴れ始めた。

ちょ……ちょっと待ったこのシチュエーションだとこの後の展開はマズい!

 

 

「副長は我々を助ける為に……自身を犠牲にする気なのでは!?」

「な……ふざけんじゃないわよ!」

 

 

 

凪の解説で事態は飲み込めたがそれを認めてはならない。桂花も今の説明で現状を理解して叫んだ。俺も夢中で叫んだ!今止めないと大変な事になる。

 

 

「止めてください純一さん!」

「じゃあなお前等……死ぬんじゃねーぞ」

 

 

俺の制止の声に振り返りながら笑みを浮かべた純一さん。そして純一さんの体から気が溢れ出して光を放つ。その光が最大限に到達した時、純一さんはクマを道連れに大爆発を起こした。

 

 

「じゅ……純一さぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!」

「副長っ!!」

 

 

俺と凪は同時に純一さんの名を呼んだ。激しい爆風と砂塵が舞う中で純一さんの安否は分からない。

少し離れた位置では真桜や沙和に支えられて立っていた桂花が膝から崩れ落ちて呆然と爆発した地点を見つめていた。良く見れば真桜も桂花同様に呆然としていた。沙和は唖然として口をポカンと開けて動けなくなっていた。

先程の凪の解説通りなら純一さんの体は木っ端微塵に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……ビックリさせやがって」

「ってアンタが残るんかい!?」

 

 

煙が晴れて姿を現したのは何故か無事だった純一さん。俺は大声でツッコミを入れた。なんとなくドラゴンボール的な話かと思ったけど純一さんがナッパなのは違うでしょ!?

 

 

「いやー……流石に死ぬかと思った」

「なんで、無事なのとか……色々とツッコミを入れたいんですけど」

 

 

ハッハッハッと笑う純一さん。いや、アナタは餃子やアバン先生のしたメガンテみたいな自爆をしたのでは?

なんて思ったら桂花がユラリと立ち上がった。あれ、桂花も凪と同じで腰が抜けてたんじゃ?

 

 

「……させ……な…わ……この……」

「あ、ゴメン荀彧、聞き取れなかった」

 

 

桂花は何かをボソボソと喋ったのだが俺も聞き取れなかった。純一さんが耳を傾けようと体を前屈みにしようとした瞬間だった。

 

 

「心配させんじゃないわよ、この馬鹿!」

「ぐふぉ!?」

 

 

桂花は叫びと共に純一さんのボディーに見事なボディーブローを叩き込んだ。それと同時に純一さんが悲鳴を上げると、そのまま桂花を押し倒す様な体勢で倒れた。

 

 

「ち、ちょっと馬鹿!何すんのよ秋月!………秋月?」

「………………」

 

 

桂花を押し倒した純一さんに抗議する桂花だが返事がない。微動だにしない純一さんに流石の桂花も異常を感じた様だ。

 

 

「あの……副長は先程の気の放出で限界だったのでは?そこに桂花様がトドメを刺した形になったのではないでしょうか?」

 

 

凪の言葉にその場にいた全員が納得してしまった。さっき妙に明るい態度をしていたのも、それを悟らせない為の演技だったのかな?

 

 

 

「もう……最悪よ」

 

 

 

純一さんに下敷きにされながら呟いた桂花。でも言葉にいつもの勢いはなく、どちらかと言えば『しょうがないんだから……』と言ってるようにも見えた。

 




『さよなら天さん』
ドラゴンボールで餃子が使った技。相手の背中に張り付き、自爆する。天津飯を助けるためにナッパ相手に使用。

『メガンテ』
ドラゴンクエストシリーズに登場する自爆呪文。自らの命と引き換えに魔力的な爆発で敵を道連れにする呪文。敵では主に『はくだん岩』が使用してプレイヤーを悩ませる存在となっている。







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