真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百七十二話

 

 

喧嘩解禁日に聞いた三国合同訓練。内容としては『部隊を率いての模擬戦』『将の強さを測る天下一品武道会』『隠密機動訓練』と分かれるらしい。既に部隊を率いての模擬戦と天下一品武道会は終わったらしいのだが、隠密機動訓練はこれかららしい。天下一品武道会に参加した俺も隠密機動訓練には参加せよとのお達しだった。

話を聞いていたら警備隊どころか魏の将全員の表情が暗かった。

 

 

「そんなに過酷な訓練なのか?」

「どちらかと言えば罰が酷いので……」

 

 

俺の問いに答えたのは凪。なんでも隠密機動訓練には甘寧と周泰が相手をするらしいのだが……森の中に潜む二人を捕らえる訓練なのだが、逆に捕まってしまうと一週間は洗っても落ちない墨で顔に落書きをされるのだと言う。そして、その内容も本人が気にしている事に対する罵詈雑言なのだとか。メンタルに響く様な事をしおって……

 

 

「ウチ……前に駄乳って書かれたわ……」

「そばかす姫って書かれたのー」

「私の時は「突貫猪」と書かれたな……」

「大根足って……」

「かなり私怨が入った罰だな。明らかに巨乳とかスタイルの良い子を目の敵にしてる」

 

 

各員が過去の落書きを思い出して青い顔をしている。私怨がかなり主張された罰だな、おい。

 

 

「そのパターンで行くと俺と一刀は『種馬兄弟』だろうな」

「まあ……そうなりますよね」

 

 

俺の呟きに一刀も同意する。俺等宛の罵倒で一番に思い付くのは、ソレだって言うのが泣ける。開き直りとも言うが。

 

 

「寧ろ……純一さんの方が危ないんじゃ。相手に甘寧が居るってなると……」

「そうなんだよなぁ……訓練に託けて仕留められかねない」

 

 

隠密訓練で森の中……うん、こっそりと影で始末されかねん。

 

 

「そう言えば……捕まったら罰なのは分かったけど逆に甘寧や周泰を捕まえたらどうなるんだ?」

「いえ……我々が負けた時の罰は決まっていましたが彼女達を捕らえた場合の話は無かったんです。万が一にも捕まる事は無いと言われて……実際、三国の将達は隠密訓練で彼女達を捕まえる事が出来なかったので」

 

 

俺の質問に斗詩が答えてくれる。ふむ……平時の戦闘なら兎も角、隠密なら負けない自信があると言う事か。だが、その考え方は慢心とも言えるし付け居る隙になるな。

 

 

「副長……なんか悪巧みを考えてる顔やな、それ」

「うむ。良からぬ企みをしているな」

「悪餓鬼の顔をしておるな」

 

 

真桜、華雄、祭さんが口々に今の俺の事を口にしてくる。まあ、悪巧みには違いないな。

 

 

「合同訓練の開催日は?」

「三日後ですね。その間に支度を済ませよと華琳様からのお達しも来ています」

「三国から参加する将は当日に顔合わせだから誰が来るかは分からないの。狩る側が思春さんと明命ちゃんなのは変わらないの」

 

 

俺の質問に凪と沙和が答えてくれた。ふむ……三日もあれば間に合うな。あの技を試すにも良い機会だ。合同で参加する将が分からないのは少し痛手だが基本的には自分でどうにかした方が良さそうだな。と、なれば……もう意見の提案は大将や孫策や劉備に申請しておくか。早めに下準備はした方が良い。

 

 

「純一さん?絶対に何か企んでますよね?」

「なぁに……狩られる側の勝ち筋を増やそうかと思ってな。何、そう悪い結果にはならんよ」

 

 

一刀が訝しげに尋ねてくるが、ある意味では楽しい結果になるだろう。そう言った意味では俺の策は大将や孫策辺りなら面白がって了承するだろう。そんな事を思いながら俺は大将の執務室へと向かった。

 


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