真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百八十九話

 

 

久々に玉座の間での正座である。玉座には大将が座り、左右に春蘭と秋蘭が控えて下座に一刀、桂花、華雄、斗詩も並んで今回は雪蓮、孫権、甘寧、祭さんも参列している。

 

 

「先に言わせてもらうけど……今回は、って言うか今回も俺は被害者なんだが」

「あの様なものを見せておきながら貴様……」

 

 

俺の一言に下座に居た甘寧が顔を赤くしながら武器を構えた。おいおい、殿中だっての。

 

 

「確かに話を聞く限りじゃと策殿達が秋月の部屋に押し入ったから起きた事じゃろう。事前に尋ねる事を告げておくなり、部屋の前で声を掛けるなりしておけば良かっただけの話じゃな」

「そうですよ、折角……秋月さんと……」

「うっ……」

「それは……そうですが……」

 

 

呉側の祭さんからフォローが入り、斗詩が顔を赤くしながら雪蓮達を非難して甘寧と孫権がたじろいだ。そりゃそうだ、俺と斗詩は甘い時間を潰されたんだから。それでこっちが悪い事にされたんじゃたまったもんじゃない。

それを考えると何故俺は正座をさせられているんだろう?

 

 

「そうね、純一に非があるとは思えないもの。寧ろ、斗詩は逢瀬を邪魔されて可哀想だもの」

「なら何故俺を正座させた?」

 

 

玉座でため息を吐く我等が大将。ああ、このパターンは大将も邪魔をされた経験があるな。だからこそ斗詩に同情してる節がある。

 

 

「随分とお楽しみだったみたいね?」

「そうだな、羨ましい限りだ」

「何を言ってるんですか。桂花ちゃんも華雄さんも私よりも秋月さんと散々一緒に過ごしていたんじゃないですか!私だって……」

 

 

あっちじゃ斗詩が桂花と華雄に絡まれてる。この場には居ないが詠達にも話が通るだろうから後が大変になりそうな気がする。主に俺が。

 

 

「それはそうと雪蓮は俺になんの用事だったんだ?」

「策殿も策殿じゃ。普段から朗らかな癖に土壇場で尻込みしおって。いっそそのまま混じって交われば良かったものを」

「で、出来るわけないでしょ!?」

「何を言ってるのよ祭!」

 

 

あっちはあっちで雪蓮と孫権が祭さんからよくわからん説教を受けていた。そういや赤壁の時に雪蓮達の恋愛話があまり無いって言ってたっけ。だからって上級者向けの発言も如何なものか。雪蓮も孫権も顔真っ赤だよ。

 

 

「雪蓮様も蓮華様も祭様も、あのご様子だから私から説明するが雪蓮様は新たな武器をお求めなのだ。雪蓮様は呉王の座と共に南海覇王を蓮華様に譲られたからご自身の剣がなくてな。それで以前から変わった武器の開発をしていると聞いていたから貴様に話を聞きにきたのだ。それがあんな物を見せられるとは思わなかったがな」

「なんで見られた側が責められてんだよ。武器は確かに色々とあるから構わないけど急に武器を求めるとは何事?」

 

 

甘寧の説明である程度の事情は察したけどなんで急に武器を求めたんだか。今更戦がある訳でもあるまいし。

 

 

「先々代の孫堅様の件があったからだ。あのお方が現れた事で雪蓮様は再び戦いを挑むおつもりなのだろう」

「親子関係が気になる所だがそうなると数打ちの量産された武器じゃ心許ないって事だな。ならば任せろ厳選して武器を提供するぞ。取り敢えず無限刃か三代鬼徹でも用意するか」

「なんで殺傷能力が高くて物騒な刀をチョイスしたんですか」

 

 

孫堅さんに挑む為の刀なら並大抵の物じゃダメだろうから最高の刀をと思ったのだが、一刀からツッコミが入った。

 

 

「なら錆びた刀とかどうだ?修行になるぞ」

「孫策の性格を考えれば修行を投げ出しそうな気がしますけど」

「錆びた刀でどんな修行を施す気だ、貴様」

 

 

孫堅さんとの戦いに備えたいなら修行を兼ねた刀でもと思ったけど一刀の言う通り雪蓮の性格上、明鏡止水の修行は向かないな。そんな事を思いながら俺は雪蓮の武器をどうするかと孫堅さんとまた戦う予感がしていたから自分の修行も考えなきゃなぁ……とぼんやり考えていた。

 





『無限刃』
るろうに剣心のキャラ『志々雄真実』の愛刀。
剣心の愛刀の『逆刃刀・真打』とは兄弟刀となる。
刀をよく見ると刀身がノコギリの様な極めて細かい刃が立ち並んでおり、通常の刀が刃こぼれ等で切れ味が落ちるのに対して無限刃は一定の刃こぼれを予め刻む事で切れ味を保持したまま長期に渡り使用が可能となった。志々雄は無限刃の特徴である刃で火花を起こし、斬った人間の油や火薬を利用して炎と併用した技を編み出している。


『三代鬼鉄』
ONE PIECE序盤でゾロが手に入れた刀。鬼徹一派の三作目になる刀で位列は業物。
鬼徹一派の刀は非常に切れ味に優れた名刀でありながら、いずれも「持ち主を死に至らしめる妖刀」として有名だったから使い手がおらず、刀屋のジャンク品扱いで売っていた。
切れ味は異常な程に鋭く『軽く放り投げただけで刀身が床に根元まで刺さる』『石斧と鍔迫り合いをしようとしたら石斧がなんの抵抗もなく両断される』等、妖刀の名に恥じない異常な切れ味を誇る。


『錆びた刀』
機動武道伝Gガンダムでシュバルツ・ブルーダーが修行の為にドモン・カッシュに与えた刀。刀身は完全に錆びており、切れ味はゼロに等しく鞘から抜くのも困難な代物。シュバルツはこの刀で木を両断し、ドモンに同じ事をしてみせろと修行を促した。修行の末に明鏡止水の境地に到達したドモンは、この錆びた刀でデスアーミーを一刀両断してみせた。

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