真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第二百九十話

 

 

 

正座から解放された俺は一刀、雪蓮、孫権、甘寧、祭さんを連れて真桜の工房へと来ていた。

 

 

「随分変わった武器ばかりだな」

「これは槍と鉄球が一体化してるのね」

「此方は随分と無骨な刀なのだな。」

「これは鎧か?奇怪な形をしてあるが……」

「全部、俺が設計を書いて真桜に作ってもらった物だ」

「副長がおらん間も大事に保管してたんですわ。それにまだまだありまっせ」

「ローチンに斬月にワイルドタイガーのヒーロースーツじゃないですか。アニメとか漫画の武器鎧の博覧会みたいになってますけど」

 

 

甘寧、雪蓮、孫権、祭さんの順にコメントが溢れ、俺が自慢げに言うと真桜は大事に保管してくれていた事を告げ、最後に一刀からのツッコミが入った。

 

 

「前に居た時に思いつく限り、設計図は書いておいたんだよ。前の戦の時に使っていたのもほんの一部だからな」

「あのふざけた武装の数々はこれで一部だと言うのか?」

 

 

そう、以前この世界に居た時に真桜には俺のアイデアを覚えてる限り教えていたのだ。でも、俺が覚えてる範囲でだが無かった物が幾つかある。俺が現代に戻ってから開発を続けてたんだな。

 

 

「因みにコレが最新作ですわ」

「お、いいなコレ。体が治ったら試してみるか」

「気でフォトンブラッドの代わりをするつもりですか。まだ失敗しなさそうだから良いですけど」

 

 

真桜が自信満々に持ってきたのは仮面ライダーファイズの剣であるファイズエッジ。相変わらずクオリティが高い物が出来てんな。一刀からは失敗して自爆しないなら安心と言われるあたり自爆が当たり前になってんなぁ。

 

 

「ねぇ、純一……」

「模擬戦ならしないからな?」

 

 

そんな話をしていたらレヴァンティンを持った雪蓮がワクワクした表情で俺を見ていた。嫌な予感がした俺は先に断りを入れた。つーか、雪蓮がレヴァンティン持つの妙に似合ってんな。髪の色も同じだし。

 

 

「ぶー、ぶー!まだ何も言ってないじゃない!」

「そんな顔で剣持ってれば予想出来るっての。体が治ってからなら兎も角、今は無理だって」

 

 

雪蓮は不満そうにしていたが俺はまだ一応安静にしていなければならないのだ。すると雪蓮はスッと俺に体を寄せてきた。

 

 

「ねぇ……駄目?お願い……」

「う……」

 

 

雪蓮は胸を俺の腕に押し付けてきた。ふ……甘いな。俺がこんな色仕掛けにハマるとでも?

 

 

「純一さん、明らかに籠絡されかかってるじゃないですか。鼻の下、めっちゃ伸びてますよ」

「やはり斬るか」

「いや、伸びるだろこんな事されれば。それと甘寧はそれをしまってくれ」

 

 

鼻の下が伸びている事を一刀に指摘され甘寧は草薙の剣を引き抜きながらギンっと目を光らせていた。いや、お前も似合うなオイ。

 

 

「ふくちょー……」

「んな、顔するなって」

 

 

すると真桜は俺の服の袖を軽く引っ張っていた。不安そうに俺を見上げていて、俺は少し乱暴に頭を撫でた。

 

 

「雪蓮、今も言ったが当分は模擬戦とか修行はしないから諦めてくれ。体が治ったら付き合うからさ」

「ぶー……仕方ないわね……」

「くくっ……策殿なりの迫り方じゃったんじゃろ。体が治ったら付き合ってやると良い。無論、ワシも待っているがの」

 

 

俺の言葉に雪蓮は不満そうにしてから武器を数点手にしながら工房を出ていった。祭さんは実に面白そうに、その後を追って行った。孫権や甘寧も俺と雪蓮のやり取りに茫然としていたが慌てて後を追った。

前に祭さんから呉の人達は恋愛に疎いと聞いていたけど、今のでもアウトか?そして空気を察してか一刀も工房から出て行った。

 

 

「真桜、この工房を改めて見ればわかるけど、頑張ってたんだな。ん、これは?」

「あ、副長、待ってや!」

 

 

さっきも思ったが、俺がいなくなってからも開発を続けてたんだろう。残した設計図から作り続けていた事は想像に難くない。タイバニのヒーロースーツは俺が居た時には作ってなかったし。そんな事を思いながら奥の方に隠す様に何かがあった。傷をつけない様に引っ張り出すと真桜が慌て初めて……

 

 

「服?これまたお洒落なデザインのだな」

「あ、そ、その……副長が帰って来たら着せて見せたろかと思っ……て……」

 

 

出て来た服は白いワイシャツ風のシャツにスカートにネクタイにニーソックスと一式揃っていた。そして目の前の真桜は顔を真っ赤にしながら両手の人差し指を突き合わせてモジモジとしていた。

 

 

「めちゃくちゃ見てみたいんだが」

「で、でもウチ……こんな可愛いのやっぱ似合わへんから……」

 

 

普段からこう『女の子』してれば……と僅かに思ってしまった俺も悪いとは思ったけど沙和のプロデュースに真桜も巻き込むか。

 

 

「いや、普通に似合いそうだから着て欲しいんだが」

「あ……その……心の準備が……」

 

 

是非とも着て欲しいのだが真桜は中々、頷いてくれない。でも、後一歩だとは思うから……

 

 

「だったら俺が着替えさせてやろう」

「ア、アカン!自分で着替えるわ!その手もやらしいねん!」

 

 

俺が手をワキワキと動かしながら近寄ると真桜は胸を隠しながら後退り自分で着替えると叫んだ。拒みながらも真桜は笑っていた。うん、俺達の会話ってこうじゃなきゃな。バカみたいな会話を気兼ねなくするのが俺と真桜の間柄って感じだし。

それは兎も角、真桜のお洒落着が楽しみです。

 





『ローチン』
るろうに剣心の登場キャラ、魚沼宇水の使用する武器。
槍と鉄球が一体化している武器。


『斬月』
BLEACHの主人公黒崎一護の斬魄刀。
鍔の無い大刀の形をしている。 柄の部分に長い白い布が巻かれており、鞘の役割も果たしていた。


『ワイルドタイガーのヒーロースーツ』
TIGER & BUNNYの主人公、鏑木・T・虎徹のヒーロースーツ。
黒い全身のインナースーツに白と蛍光グリーンの外部装甲で構成されているスーツ。虎徹のNEXT能力ハンドレッドパワーに耐え切れる耐久性を持つ。


『ファイズエッジ』
仮面ライダーファイズの武装の一つ。
オートバジン(バイク)の左ハンドルを引き抜き使用する刀型武装。ミッションメモリーを差し込んでフォトンブラッドのエネルギーを流し込むと赤い刀身が現れる。


『レヴァンティン』
魔法少女リリカルなのはシリーズのキャラ、シグナムの剣型デバイス。
片刃の長刀で片手、両手持ちのどちらにも対応している。刀の状態で使用する事が殆どだが刀身が分離してチェーンで繋がれたムチの様にもなる。
また鞘と合体させる事で弓矢形態にもなる。


『草薙の剣』
NARUTOのキャラ、うちはサスケが使用している刀。柄と鞘が白く、中央に黒い線が入ってる。

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