真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第三十一話

 

 

 

 

 

俺と一刀は街の警備案について話をしていた。とは言っても以前、一刀が書いていた『割れ窓理論』が主なのだが。

 

話は盛り上がっていたのだが凪達が隊長室に来て昼の誘いに来てくれた。意外な事に三人の中で一番グルメなのは凪らしい。ただ好きな物を聞いたら、やたら辛いもののラインナップが多かったが。

まあ、部下からのお誘いは嬉しいもので俺と一刀は揃って昼飯に行く事にした。

凪の勧めで店を決めて注文を頼む。

 

 

「ウチは、麻婆豆腐と炒飯」

「沙和は麻婆茄子と炒飯と……後、餃子も食べるのー」

「麻婆豆腐、麻婆茄子、辣子鶏、回鍋肉、白いご飯で……全部大盛り、唐辛子ビタビタでお願いします」

「えっ!?」

「おいおい……」

 

 

真桜、沙和、凪の順番に注文したのだが凪の所で一刀は驚いて吹き出した。いや、俺も正直驚いて呆れたんだが。頼んだ料理が全部、唐辛子を使った物のオンパレードなのだから。しかも大盛り。

 

 

「あははは、沙和も始めて見た時は『そんなに食べて大丈夫?』って聞いちゃったもん」

「まあ、隊長と副長の気持ちもよう分かるけど、凪やったら大丈夫やで。行きつけの店じゃいつもやっとる事や」

「俺は麻婆豆腐、餃子、白いご飯で」

「あ、俺も白飯と餃子、焼売で」

 

 

俺達の会話に凪は恥ずかしそうに少し俯いていた。まあ女の子だろうがよく食べるのはよい事だ。そういや食べると言えばこの間の……

 

 

「そーいや、この間の副長には驚かされたわ。呂布将軍を餌付けしとったんやから」

「いや、餌付けって訳じゃなかったんだがな」

 

 

真桜の言葉は少し否定した。でも匂いに釣られて来た呂布も呂布だと思うが。

 

 

「でもまさか、あんなポヤンとした子が天下の飛将軍とは思わなかったですよ」

「確かにな。でもまあ……悪い子には見えなかったよ」

「あ、ふくちょーが飛将軍を狙ってたの」

 

 

一刀の言葉に同意した俺だが沙和が茶化してきたのでデコピンを一発。

 

 

「どっちかちゅーたら副長が料理できた方が意外や」

「此処に来る前は一人暮らししてたからな。料理は得意な方だ」

 

 

そろそろ日本食が恋しいしなんか作るか?なんて話している内に注文した料理が来た。様々な料理がテーブルの上に所狭しと置かれていく。

 

 

「おー美味しそうなの」

「せやな」

「ああ」

「それじゃ!」

「食べるかな」

 

 

五人で「いただきます」と言ってから食事開始。

 

 

 

「悪い、凪。酢醤油取ってくれんか?」

「もぐもぐ……んぐっ、ん……はい」

「へへっ。おーきに。副長、沙和、酢醤油いるやろ?」

 

 

真桜は凪から受け取った酢醤油を俺と沙和に渡そうとしている。気が利くな。

 

 

「ありがとう。真桜ちゃんにしては気が利くのー」

「いやな、その餃子、酢醤油つけて食ったら旨いやろなと思うてなぁ」

「もー。素直に頂戴って言えばいいのに。じゃあ、一個あげるの」

「おーきにな」

「凪ちゃんも食べるー?」

「……ん、食べる……」 

 

 

食事をしながら女の子通しでシェアするのは、この時代からなのかと思ってしまう光景だな。つーか凪の食事スピードが凄い早い。

 

 

「……隊長、それ何?」

「ん、麻婆丼だけど?」

 

 

真桜が一刀の食べていた物に気づき怪訝な視線を送ってる。

 

 

「麻婆丼?なんやのそれ?」

「名前通りだよ。丼に盛り付けた白飯に麻婆豆腐をぶっかけた丼物」

 

 

「はぁ!?麻婆豆腐を白ご飯にかけてるて……気持ち悪っ!」

「邪道だよ、邪道~変。なのー」

「もぐもぐ……むぅ……」

 

 

真桜と沙和は真っ向否定。凪は何も言いはしないが、嫌そうに眉を顰めていた。

 

 

「そうか。こっちには麻婆丼は無いんだな。天の世界じゃ当たり前だったんだけどな。食うの楽だし」 

「そーなん?ウチ等からしたら、抵抗あるわ…….」

 

 

三人は一刀の言葉に疑いを掛けている。俺等の常識は一部は完全に通じないんだよな、この世界。

 

 

「なら麻婆丼を食ってみたらどうだ?一刀、一口だけ食わせてみろよ」

「うーん……じゃ、一口だけ」

「隊長。失礼します」

「ん~……そんならウチも!」

 

 

俺の言葉に三人は一刀の丼から差し出した麻婆丼をレンゲで一口分だけ取って食べた。

 

 

「……どうだ?」

「うわわっ!?旨いで、コレ!」

「うん、おいしー。何コレ、びっくりー!」

「……意外」

 

 

一刀は不安そうに聞くが三人には大好評の様だ。

 

 

「白米と麻婆豆腐ってのは別個で食べても旨いし、丼にした時の相性もいい。ついでを言えば辛い麻婆豆腐もご飯と一緒にすると味がまろやかになって食べやすいときた」

「って言うか純一さんもナチュラルに俺の丼を食べさせないでくださいよ」

 

 

解説をする俺に一刀からのツッコミが入った。餃子と焼売を一個ずつやるから勘弁してくれ。

 

 

「今度、沙和もやってみるのー」

「こんな事やったら炒飯やのーて、ウチも白ご飯にしときゃ良かったなー」

「やってみよ」

 

 

凪は一刀同様に自分の白飯に麻婆豆腐をかけて同じように麻婆丼を作り、真桜は白飯を頼まなかった事を後悔していた。沙和は次来たときは麻婆豆腐と白飯は確定だな。

 

 

「真桜、白いご飯が良いなら俺のを食べるか?代わりに炒飯は貰うが」

「ええの!?するする交換するわ!」

 

 

俺の提案に真桜はバッと俺の白飯を取り上げると炒飯を渡してきた。どんだけ麻婆丼、気に入ったんだよ。

そんな時だった。パリンと皿の割れる乾いた音がした。振り返れば店の店主がプルプルと震えてこっちを見ている。

 

 

「あの……何か?」

「そ、それだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

俺が何事かと訪ねたら店主は叫びながら厨房へと駆け込んだ。それと同時に何かを作る音がガシャガシャと聞こえてくる。

 

 

「アハハッ麻婆丼、作ってるんとちゃう?」

「……震えてたのは料理の閃きを得たからか」

 

 

つまりは麻婆丼に感涙して作ってみたくなったと。真桜は俺の白飯で麻婆丼食べてご満悦みたいだし。

 

 

「店主さん、最初から麻婆丼にするつもりなら餡を少し多目にして葱も多目にしてくれ」

「そ、そうか……餡を増やす事で白米と絡みやすくなり、葱を増やす事で豆腐と挽き肉以外の食感を増やす……アンタは神か!?」

 

 

少しアドバイスをしたら感激している店主は俺を『神』と呼び始めた。とんでもねぇ、アタシャ神様だよ…….ってか。とりあえず神様呼びは止めさせた。

その後、食事を済ませた俺達はそれぞれの仕事に戻る事にした。

 

 

「あー……ビールが飲みてぇ……」

 

 

俺は城に戻る最中、煙管に火を灯して食事中に思っていた事を口にした。だって餃子に焼売って完全にビール案件じゃん。現代の味とビールが恋しいわ。








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