真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第四十九話

魏の陣営に戻る途中で不安気にしていた陳宮を保護。呂布の説明もあり、共に行く事となった。一緒に連れていた犬の張々とセキトも何事もなく付いてきてくれた。なんか凄い人懐っこいな。

そして魏の陣営に到着し、いざ大将に董卓達の事を説明しようと思った矢先だった。

 

 

「ちょ、副長!なんで怪我してるんですか!?皆、集合!副長を医療用の天幕に押し込むぞ!」

「「おーっ!」」

 

 

警備隊の面々に見付かるなり担ぎ上げられて運ばれた。いや、なんでやねん!

 

 

「曹操様からのご命令です。怪我して帰ってきたら問答無用で治療させろと」

「どんだけ予想済みなんだよ覇王様!?」

 

 

つーか、俺が怪我をして戻る事を前提に話を進めてやがったな!?

 

 

「あいや、ちょっと待った!俺は大将に……」

「あ、純一さん。俺が華琳に話をしますから治療を受けてください」

 

 

裏切った一刀!ブルータスお前もか!?

 

 

「隊長の許可も得た!進めー!」

「待て……ああ、もう!一刀、そっちは任せたからな!」

 

 

不安は残るが治療を受けない事にはコイツ等も納得しそうにないし……一先ず治療を受けてから大将の所に行くか。

俺は警備隊の面々に担がれながら、そんな事を思っていた。

うん、甘い考えだったよね……

 

 

 

「ギャアアアアァァァァァッ!痛い、痛い!ギブ、ギブ!ノオォォォォォっ!?」

「大人しくしてください副長!」

 

 

いや、大人しく出来るわけ無いって!さっき小刀を止めた際に右手がズタズタになったけど実は気を通して痛みを紛らわせていたんだけど治療の為に気を止める様に言われた。そして気を止めると激痛が!更に斬れた部分の縫合や駄目になった皮の切除。麻酔ほぼゼロだから激痛!警備隊の面々に体を押さえられてなけりゃ大暴れしてるわ!

 

 

「やめろジョッカー!ぶっとばすぞ!」

「副長に治療を受けさせないと我々が曹操様にぶっとばされます!」「後生ですから治療を!」

 

 

俺の叫びに警備隊の面々は俺の体を押さえつけながら叫ぶ。うん、理由も使命も分かるけど痛いんじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

そうだ、この治療が終わったら波紋の呼吸を覚えよう!あの複雑骨折を数秒で治すビックリ医療を!

 

暫くして地獄の苦しみのような時間が終わった。うん、今思えば酒でも飲んで痛みを誤魔化しておけばよかったよ。

「副長、お疲れ様でした」「お大事に」と言い残して去っていく警備隊の面々。お前ら許昌に戻ったら覚えとけよ。めんどくさいシフトにしてやる。

 

 

「はぁー……超痛ぇ……」

「副長、その程度で済んだと思ってください。下手をすれば指を切り落とさねばならなかったかもしれないのですよ?」

 

 

包帯でグルグル巻きの右手を見ながら呟いた。俺の呟きに軍医は説明をしてくれたが俺はやはりアホな事をしたと思った。でも刃を止められなかったら董卓は死んで賈駆達の心に深い傷を残しただろう。軍医から痛み止めの飲み薬を貰って口にした。

 

 

「当分、動かさないで下さい。縫合は済みましたが激しい動きや衝撃を与えれば傷が開きますよ」

「あいよー」

 

 

軽くグーパーと手を開いたり握ったり。普通に痛いがなんとか動かせる。つーか、現状で俺両手が駄目になってる……ま、でも……

 

 

「秋月さん!」

「秋月!」

 

 

医療用の天幕に慌てた様子で入ってきた董卓と賈駆。

 

 

「どうだった?」

「少し……込み入った事情は出来ましたけど………私も詠ちゃんも……」

「……温情を貰えたわよ」

 

 

 

二人は涙を流しそうになっている。何があったか聞くのは後だけど……

 

 

 

「そっか……よかったよ」

「……はい」

「……グスッ」

 

 

二人を抱き寄せて頭を撫でる。右手と左腕に痛みは走るが……この子達を救えたのなら、この痛みも悪くないと思えた。

 

 

 

 

 

 

 

この後、天幕に入ってきた呂布、陳宮、荀彧に見られて大変な事になった。呂布は「恋も……」と言って抱きついてきた。陳宮は「恋殿になにをするのです!」と俺の足を蹴ってきた。荀彧は「最っ低……」って超睨んできてるし……

 




『波紋の呼吸』
特殊な呼吸法により、体を流れる血液の流れをコントロールして血液に波紋を起こし、『波紋疾走』と呼ばれる力を生み出す。その力は『太陽の力』とも言われている。
用途としては治癒に使ったり、普通の攻撃では倒せない吸血鬼や屍生人を浄化させることができる。 

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