真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第五十話

反董卓連合の戦いから数週間。拠点を許昌から洛陽に移した魏……ここでもズレてきたな歴史。確か魏の拠点は許昌のままだった筈だけど……まぁ、その事に拘っても意味がない。

俺がやるべき仕事は変わらない。そう街の警備任務だ……さぁ今日も張り切って仕事に……

 

 

「秋月、警邏に行くなら私も行くぞ」

「あ、ああ……行こうか華雄」

 

 

仕事は変わらんが変わった事が幾つかある。一つ目は華雄の事だ。あの日、華雄は大将に自分を将としては扱わずに一兵卒としてほしいと申し出たらしい。華雄は反董卓連合の戦いを深く反省して一から出直したいと考えたとか。だが流石に元将軍を一兵として扱うのは無理がある。しかも華雄を慕う董卓軍兵が不満を出しそうだ。

そこで妥協案が『北郷警備隊副長補佐』と新たに作られた役職に着かせる事。これは現在、両手が駄目になっている俺の代わりに仕事をする為の役職。

と言うのが表向きな理由で大将からは『補佐にしている間に華雄に色々教えなさい。華雄からの話では華雄は武以外はなにもしてこなかったらしいわ。逆を言えばそれ以外を教えれば華雄は今後化けるかもしれない』との事で俺が教育係。

うん、かなり無理がある。万全状態でも抑えられない華雄をどうしろと?

と思っていたのだが華雄は意外にも大人しくなった。落ち着いて行動する事を心がけているみたいで余程、反董卓連合の戦いが後を引いてるのかも知れない。

 

そして他にも変わったと言えば……

 

 

「純一さん、これから警邏ですか?行ってらっしゃいませ」

「怪我するんじゃないわよ」

 

 

月と詠が俺のメイドになった、メイドになった。重要な事なので二度言いました。

これも大将発案なのだが保護すると決めたのは良いがおおっぴらに警護を付けると怪しまれる。かと言って城の中に居ながら何もしないのは変。ならば、この二人に与える仕事は?となり二人は侍女となった。俺の専属となったのも今や俺の補佐となった華雄が一緒にいるから護衛になる。しかも一刀との仕事も多いから警備隊の兵士も動かせると一石二鳥どころか三鳥仕留める結果となった。

ついでを言えば完成したメイド服を月と詠に着させた結果、大将や栄華は自分の侍女にすると言い出したがなんとか止めた。うん、あの可愛さを見たらそうなるのもわかる。余談だがメイド服の完成度から栄華が北郷警備隊お洒落同好会の予算のアップを取り付けてくれた。服の案を考えなきゃなぁ……

 

さてメイドの月と詠の仕事だが、やはり俺の肩代わりが多い。月は俺の身の回りを色々としてくれた。服を着させてくれたり、食事を手伝ってくれたり。詠は筆が持てない俺の代筆を頼んでる。後は草案を考えた時のアドバイスとか。

やはり両手が使えないのは不便だ。今のところ、華雄、月、詠に仕事を任せきりにしてる。男としてはなんとも情けないと思うが少しでも働こうとすると三人揃って止めに来るから無茶もできん。

因みにこの状態を作り上げたのは大将である。やり口が的確だよな。俺に仕事をさせつつ無茶をしようとしたら止める人間を近くに配置させるって……他にも意味はあるのよ。と大将は言っていたが妙に嫌な予感がする。

 

そして恋とねねだが一刀が面倒を見ている。何故かと言われれば、この二人は元々董卓軍でも扱いが難しかったらしく、兵を率いて戦うよりも単独で動く遊撃の方が多かったらしい。まあ、恋のポヤンとした感じでは難しいよな。それをねねが軍師として他の部隊との調整をしていたとか。ともあれ扱いが難しく軍の中に入れるのが難しいとなり、ならば天の御遣いの護衛兼有事の遊撃部隊として扱うとの事だ。

恋も恋で一刀に懐いてるや様子で概ね良好な関係と言えるだろう……ただ、ねねは恋絡みだと暴走しがちだ。この間も『恋殿を餌付けするとは何事ですかー!』と一刀を蹴ったらしい。それに怒ったのは凪や季衣、流琉、香風。理不尽な理由で一刀を傷付けたと、ねねを叱った。更に立場的に今は魏に忠誠心を見せねばならないのに関係にヒビを入れる気かと詠からの説教。極め付けに恋からも『ねね……ダメ……』とポカリと軽く拳骨を食らった。周囲から散々怒られたねねは助け船が無いことに漸く気付いて泣きながらも謝り、態度を少しずつ変えていった。

と言うか泣きながら俺の所に来て『どうしたら良いのか分からないのです!』と言っていたので態度を改めて『ごめんなさい』してきなと言ってやった。後日、それがうまく言った事を俺に告げるとそのままフラりと寝てしまった。なんやかんやで疲れてたのだろう。戦に負けて急に陣営を移動となり、回りは見知らぬ人ばかり。気を張ってたから一刀にもキツく当たってたのかもな。俺は眠ってしまった、ねねを寝台に寝かせて軽く撫でてやる。まったく……寝顔は素直なもんだ。

 

 

「………とーさま」

 

 

寝言を言うねねは可愛がったけど俺はまだそんな歳じゃありません。


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