真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
<< 前の話 次の話 >>

60 / 201
第六十話

月と詠の説教から解放された俺は城に戻り、自室を目指していた。

 

 

「ったく……手加減なしなんだからよ……」

 

 

俺はゴキッと肩の骨を鳴らす。

月と詠の説教は今までで一番凄かった。まあ、自分達が原因で怪我させといて、それが治ったら元部下が原因で怪我すりゃ当然か。月なんか涙目だったし……あれだな普段は優しい分、怒ると怖いタイプだ。その点、桂花や詠はその場で即座に説教とか当たり散らすタイプだ。

どちらにせよ、説教は確定なのが泣ける。

 

 

「やれやれ……この後は報告書を纏めないとな」

 

 

大将に取り敢えず経過報告とかしなきゃならないから……後は今後の運営から精鋭の抜擢と……あー、頭痛くなりそう。

と……考えながら歩いてたらもう部屋についてたか。

 

 

「ただいまー……っても誰も……」

「おかえり」

 

 

あれ?誰も居ない筈の俺の部屋から返事が帰ってきたぞ。オカシイナー。

 

 

「報告書が上がってきたんだけど……また怪我したんですって?」

 

 

俺の部屋で待ち構えていたのは桂花だった。

桂花は俺の寝台に腰を掛けたまま腕を組み、静かに俺を見ていた。あ、今日は説教で寝れないかも。

 

 

と思ってたんだけどな。

 

 

「ちょっひょ……聞いへるの?」

「ああ、うん。ばっちり聞いてるよ」

 

 

どうしてこうなった?

いや、最初は怪我をした事や自滅した事を罵倒されていたんだけど途中から仕事の話へ。そんで途中から桂花が大将から良い酒を貰ったから飲もうと酒を飲み始める。

そもそも最初は俺を酒に誘うつもりだったらしいが俺が怪我をした為に説教からのスタートとなったのだが……

まあ、それは兎も角……俺も桂花も結構なペースで酒を飲んだ結果、桂花が先に酔っ払いと化した。呂律が回らずに話す姿は可愛いです。

つーか、隙だらけなんだけど。普段では考えられないくらいに距離が近いんですけど。

 

 

「にゃによー……あらひのおしゃ……ひっく……が飲めなひの?」

「俺はまだ飲むけどお前はもう止めとけ」

 

 

こんだけ酔っ払ってても飲もうとする桂花から杯を取り上げる。さっき聞いた話じゃ明日は休みらしいが、それでも飲み過ぎだっての。

 

 

「あぅ……じゃあ、こっひ……」

「え、桂……」

 

 

俺から杯を取り上げられた桂花は座っていた椅子から、なんと俺の膝の上に座った。うわ、すごい柔らかい………じゃなくて、ちょっとお待ちなさい!

 

 

「んー……おいひい……」

「えぇー……いや、桂花さん?」

 

 

更に俺が酒を飲んでいた杯で飲み始める。いや、色々とヤバイんですけど、この状況。あ、髪から良い香りが……って、いやいや。耐えろ、俺!

 

 

「あ、あのな桂花……こうゆう事は……そう、愛しの華琳様にしなさいな」

「いいれひょ……わらひが……あんたを、しゅきでやっへる……んらから……」

 

 

今、呂律が回ってなかったけど俺の事、『好き』って言ったか?まさか……桂花が……あ、ちょっと待って、甘えられて。こんなに密着してると俺も流石に我慢が……

 

 

「あ、あのな……桂花。男ってのは箍が外れやすい。ましてこんな状況じゃ……」

「すー……すー……」

 

 

あいたぁ……寝ちゃったよ。この状況で?

 

 

「はぁ……ま、相当飲んだしな……」

 

 

俺はやれやれと空いた徳利を見ながら溜め息。飲みすぎってのもあるけど、疲れもあるんだろうな。

桂花が酔う前の話が本当なら袁紹が公孫賛の領土を攻めたと言っていた。当然の事ながら公孫賛の軍が耐えられる訳もなく、討ち取られた……と聞いているが真偽の程は定かじゃない。それにこの世界は俺の居た時代の知識との食い違いがある。この辺りは一刀と相談だな

まあ、そんな状勢が変わってきたので桂花も情報集めとかで苦労してたみたいだ。まったく……本当に……

 

 

「わ、軽い……」

 

 

取り敢えず膝の上から桂花をお姫様抱っこの体勢に変える。桂花の軽さに少し驚いた。いや、間違っても重いとか言ったら魏の女性陣に殺されかねないのはわかってるよ。

 

 

「頑張りすぎだよ……桂花……」

「ん……うぅ……」

 

 

俺が桂花を抱き上げたまま、寝台に寝かせると少し寝苦しそうにしていた。

出来る事なら家まで送るべきだが桂花の自宅……と言うか屋敷は城の外にあるのだ。その間を、お姫様抱っこはキツい。いや、桂花は軽いから運ぶのは楽なんだけど後の事を考えると実行は出来ないな。

 

 

「おやすみ……桂花」

「…………ん、んぅ……」

 

 

まるで返事をしたかの様に寝息が聞こえた。

俺は、この間の華雄の時みたいに床で寝るか。

でも、桂花が隣で無防備に寝てるかと思うと……こう……寝付けない。

結局……俺はこの後、眠れるまでの1時間ほど悶々と過ごす事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side桂花◆◇

 

 

 

 

私は秋月と酒を飲んでいた。途中から酔っていたせいで記憶が少し飛んでるけど衣服の乱れが無いからまだ無事な筈。

迂闊だったわ……華琳さまから『良い酒が手に入ったのよ。桂花にも少しあげるわ、純一と飲んできなさい』って言われて私は秋月と飲む事に。

でも、この馬鹿は元華雄隊の指導をして怪我をしたらしい。もう……馬っ鹿じゃないの!?

この間の怪我が治ったばかりで怪我をするんじゃないわよ!

 

私はその事も含めて秋月を怒鳴った。そしていつ頃からか仕事の話をした。袁紹や公孫賛に動きがあった事を。

その途中から記憶が曖昧なんだけど……一番の問題は今よね。

私は今、秋月に横抱きで抱えられている。

どうにも私は飲みすぎで眠ってしまったらしい。目は覚めたけど酔いのせいで体が動かない。それに……私は寝てると思ってる秋月を見ると起きる間は完全に逃してしまっていた。あ、もう……顔、近いのよ!

 

 

「頑張りすぎだよ……桂花……」

「ん……うぅ……」

 

 

馬鹿馬鹿馬鹿!起きてるのよ、気付きなさいよ!って……え……これって秋月の布団?

私、秋月が普段使ってる寝台に寝かされた……まさか、この後は………ま、ままま待って!?まだ心の準備が!?

 

 

「おやすみ……桂花」

「…………ん、んぅ……」

 

 

秋月は私の髪を撫で、『おやすみ』と告げる。え、何もしないの?……このまま、なだれ込むのかと思ったわ。

私がホッとしていると、秋月はそのまま床で寝てしまった。

 

 

 

「何よ……馬鹿……」

 

 

 

私は未だに残る、酔いと眠気に負けて、布団に潜り込む。

すると眠気は倍増したけど胸のドキドキが増して………その後も私は中々、寝付けなかった。

 

 








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。