真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第六十三話

先日の様々な騒動から一転。今は街の警邏に出ている。

しかし、油断はできない。なんせ大将の予想では袁紹は次に蜀に攻め入り、その後に魏に来ると予想してるのだ。

 

 

「その前に……華雄隊と俺自身を鍛えないとな……」

 

 

拳をグッと握る。街を……国を守る………それに……桂花や華雄、真桜、月、詠……っとイカンイカン……この間から気が緩んでるな。

でもなぁ……そろそろ、俺も我慢つーか………理性の限界と言うか。

この間の桂花の時は特にヤバかった。桂花が酔い潰れて寝なかったら最後まで行ってたぞ。

俺は煙管に火を灯して、そのまま街を行く。

 

 

「やれやれ……この世界に来てから目まぐるしいな」

 

 

俺は思う……なんで、この世界に来たんだろう……来てしまったんだろうと。

もう現代には帰れないのだろうか?いつかは帰れるのだろうか?

ずっと考えないようにしていた疑問が頭に過る。

 

もしも……もしもだが、俺がこの世界から現代に帰れないのだとすれば……俺はもっと自由に生きているだろう。

だが、怖いのはこの世界で大切な者が出来てから別れねばならない時だ。

 

 

「……愛美の時はツラかったなぁ……」

 

 

前の彼女と別れた時は悲しくなり、ツラかったが涙は流さなかった。だが今はどうだろう?

やるべき仕事も、親しい人も……愛しい者も……現代に居た時と同じくらいに出来てしまっている。

これで現代に帰る日が来ると思うと……ツラい。でも現代には俺の両親や友人達が居る。どちらかを選べなどとは残酷な選択だ。

 

 

「胡蝶の夢……か。笑えないな」

 

 

俺は右手に気を集中して気弾を作る。こんな事は当然の事ながら現代では出来なかったが今は出来る。

子供の頃、誰もが憧れた『かめはめ波』の習得や使ってみたいと思っていた技の数々を実際に使えるのは本当に夢の様だ。

いや、今朝も『爆砕点穴』を失敗した俺が言うこっちゃないが……普通に突き指したわ。

だが俺の技の習得具合を見ても異常とも言える。本当に夢の中の出来事みたいに。

今のこの俺は夢の中なのか?もしも、この夢から覚めたら桂花達との事は単なる夢の中の話なのか?

あまり良い考えとは言えない思考が頭の中をグルグルと回る。

一刀は大将に『今』を考えなさいと言われたらしい。確かに先の事を考えて、今が駄目になるなら目の前の事を全力で生きろって事だろう。

 

 

「でも………いつかは、答えが出るんだよなぁ……」

 

 

フゥーと紫煙を吐く。空に消えていく煙みたいに俺の悩みも消えてくれれば良いのに。

 

 

「あ、純一さん!」

「ん……おお、一刀。そっちも警邏か?」

「お疲れさまです、副長」

 

 

凪を共にしている一刀が俺を見つけて歩み寄ってくる。

 

 

「お疲れさん。一刀、なんか疲れた顔してんな、なんかあったか?」

「あ、あはは……」

「春蘭が……いえ、何も言わないでください」

 

 

俺の問いに苦笑いの凪に一瞬何かを言いかけて口を閉ざす一刀。

春蘭か……何をしたんだか。なんやかんやで一刀に文句が多いけど何かと信頼してる節はある。

 

 

「愛されてるねぇ……一刀」

「……む」

 

 

俺の発言にムッとした顔の凪。お前さんも含めて一刀は非常に愛されてるよ。

 

 

「愛って……なんなんでしょうね」

 

 

疲れきった顔で俺に問いかける一刀。大将に何か無茶振りをされたか春蘭に追いかけ回らせたからだな、この顔は。

だが若者の悩みを聞くのも大人の勤め。答えをやろう。

 

 

「愛は……躊躇わない事だろ」

「誰も、そんな宇宙刑事的な返しは望んでませんよ」




『爆砕点穴』
らんま1/2の響良牙の必殺技。
岩や地面の「ツボ」を押し、爆破するように砕いてしまう。 
土木技であり、北斗神拳とは違って人体には無害だが爆破した岩などの石つぶてで攻撃が可能





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