真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第七十六話

 

 

 

俺は大河、稟と並んで劉備達を安全な街道へと案内していた。先程の会合もあってか、とてつもなく空気は重いが。

しても、まあ……さっきの大将は怖かった。「少し、頭冷やそうか」と言われてブッ飛ばされるかと思うほどに。

 

 

「私達の案内はここまでです」

「郭嘉さん、ありがとうございます」

 

 

っと……考え事をしてる間に国境まで来ていたらしい。気付けば劉備が稟に頭を下げていた。

 

 

「お気になさらず。私は華琳様の命でここにいるのですから」

 

 

礼を言う劉備にツンケンな態度だ。稟からしてみれば劉備は受け入れがたい存在って事ね。

 

 

「秋月殿……秋月殿も曹操殿の言う事に賛成だったのですか?」

 

 

等と劉備と稟を観察していたら関羽が俺に話し掛けてきた。しかも答え辛い質問を……って、さっきまで話していた劉備と稟も此方を見てる……まいったな。

 

 

「んー……劉備さんや」

「は、はいっ!」

 

 

俺が劉備に話し掛けてると劉備は少し顔を赤くして俺と向き合う。はて、何故赤くなる?

 

 

「むかーし、むかし。ある所に一人の王が居ました。勇猛果敢で民に慕われる王だ」

「あ、あの……」

 

 

俺の突然の語りに関羽が話しかけてくるが今は無視。

 

 

「その王はある理由から遠征を決めました。五万の兵を連れて隣国と戦いをしたのです。しかし長きに渡る旅に食料を失ってしまいます」

 

 

俺の話に何事かと劉備陣営の武将や軍師も集まってくる。

 

 

「食料の無い軍は少しずつ飢えて倒れる者が増えていきます。王の前で一人……また一人と……」

 

 

劉備陣営所か稟や大河まで超真面目に聞いてるし。でも此処で話を止めるのは……無理だな。んじゃ続行。

 

 

「王は苦しむ兵に涙を流し、自分の食べる食事を目の前の数人の兵に渡しました。キミはこの王を……どう思う?」

「わ、私は……立派な王様だと思います。自分の食事を分け与えて優しい王様だなって……」

 

 

俺の問いに正直に答えた劉備。この問いは、とある漫画の一文にある物だ。そして劉備が出した答えはその物語の主人公が出した答えと同じ。

 

 

「そっか……それがキミの答えなんだな」

「ま、待ってください!私は間違ってたんですか!?」

 

 

劉備は慌てた様子で俺に聞いてくる。さっき大将に言われた事が相当、響いてるらしい。

 

 

「間違いかどうかは……自分で考えなきゃな。ウチの大将に言われた事や今までの自分のしてきた事を悩んで考えて……答えを出すしかない」

「は、はい……」

 

 

俺が答えを出す気がないのを察したのか劉備は俯いてしまう。いや、なんか俺が泣かせた的な雰囲気が回りに立ち込めてるんだけど……まさかとは思うけど大将はこの状態の劉備のフォローを俺に任せるつもりだったのか?いや、そりゃねーか。

 

 

「真実ってのは問い掛ける事にこそ、その意味もあれば価値もある……さっきの王の話もこの言葉も天の国の物語や言葉だ。キミは関羽や張飛、孔明を導く存在なんだろ?民のためにも……道はキミが決めなきゃな」

「うぅ……はい」

 

 

俺に出来るフォローは此処までだな。これ以上、肩入れするとマズい気がするし。俺は俯く劉備の頭を撫でたい衝動に駆られたがなんとか耐えた。

なんて言うか……劉備の最初の印象はヒマワリみたいな娘だった。明るくて笑顔が似合う、平和を望む娘。

だが大将の話の後や今を見ると危なっかしい印象も有る。このまま悪い方向に進まなきゃ良いんだが……

 

 

「さて……帰るぞ大河、稟」

「はいッス!」

「純一殿……先程の劉備の頭を撫でようと手が動いてませんでしたか?」

 

 

元気に返事をした大河に俺の事をキッチリ観察していた稟。土下座しますから桂花達には言わないで、後が大変そうになるから。

さて、早く魏に戻って袁紹と袁術の軍を相手をしなきゃなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに魏に戻った後、稟が劉備達の事を大将に報告して、それ経由で桂花に話が届きました。お陰で今も桂花の態度はツンツン状態です。解せぬ。




『少し、頭冷やそうか』
魔法少女リリカルなのはStrikerS、第8話で言うことを聞いてくれない生徒(ティアナ)に対して、なのはが指先から放った魔法弾。
「管理局の白い悪魔」が「白い魔王」にクラスチェンジした瞬間。







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