真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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難産でした……次回はスッキリ描きたい……


第八十五話

 

 

 

 

◆◇side顔良◆◇

 

 

袁紹軍が倒され、麗羽様や文ちゃんとはぐれて曹操様の所で保護されて数日。

私は曹操様の治める国と麗羽様の治めていた国の違いを見せつけられた気分になっていた。

 

曹操様の薦めで暫く、この国のあり方を見学する事になったけど……税が安く、国益が安定してる。民に笑顔が溢れ、皆さん生き生きとしていた。

麗羽様と曹操様で生きざまが違うと分かっていたけど、ここまで国に差が出るなんて思ってなかった。

 

そして、ある日。私はこの国の警備隊副長、秋月純一さんのお仕事を手伝う事になった。以前、麗羽様の発案した反董卓連合の時に会った不思議な人。その後も何度か会う機会があって、その度に目が離せなくなる人だった。

今日の彼の仕事は街の巡回だと聞いていたのだけど……街に出てから民に気さくに話し掛けられていた彼を見て信じられなかった。街の警備隊とは犯罪者が居ないかを見張る役目なのでは?と思っていたから。

 

 

「っと……そうだ副長殿。向こうの区画の方なんだが……なんかガラの悪そうな奴等が最近、住み着いてたぜ」

「副長さん、新作の小物を作ったんですが」

「この間、教えてくれた天の国の服を……」

 

 

それからも彼は街の人や商人から話し掛けられ、その一つ一つを聞き逃さずに聞いていた。思ったけど、これって街の警備の巡回なのかな?何故、こんな事をするのかと聞いてみたら彼は『人との繋がり』を大事にしたいと答えた。

私も麗羽様の代わりに街の警備案とか出してたけど根本から違う物だった。

その後も街の巡回をしながら街の人達の相談を受けて予定していた時間よりも少し遅れて城に戻った。

 

 

「ま、俺の一日はこんな感じかな。今日は巡回を主軸にしたけど事務仕事は別にしてるから」

「今日のも十分事務仕事……いえ、なんでもないです。今日はありがとうございました。明日は北郷さんの方に付いていってみます」

 

 

秋月さんは今日はただの巡回だと言ったけど今日のも十分に事務仕事だったと思う。街の人達の声を聞いてそれを改善案に盛り込んで、部下に指示を出して……

 

 

「私がしてきたのって……何だったんだろう……」

 

 

私は秋月さんの傍を離れると、ポツリと呟いた。その言葉に答えてくれる人は此処にはいない。麗羽や文ちゃんの代わりに田豊ちゃんと頑張って政治や軍備を頑張っていたけど……この国を見てしまうと自分の何もかもが否定された気分だった。

 

次の日になり、警備隊の北郷一刀さんと楽進さんと一緒に巡回に出たけどやはり秋月さんと同じで民との触れ合いを大事にしてる。

そのやり方は曹操様の方針かと聞けばそうではなく隊長と副長の方針ですと楽進さんから返答が来た。その言葉に私は益々分からなくなってしまう。

曹操様からは、この国に留まって見識を広めなさいと言われたけど、秋月さんと接していると……

 

 

「行くぞ、シャイニングフィン……痛ったー!?」

「師匠ーっ!?」

 

 

秋月さんの悲鳴と高順君の叫びが聞こえる。彼が本当にわからなくなるけど……目が離せないのは決まりかな?


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