真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第八十七話

 

 

 

 

この世界に来てから元の世界に帰る事を考えていたが……その手立てが一切見当も付かない。

いつかは帰れると考え、惚れた女にも何も言わなかった。

元の世界に帰る事を諦めた訳じゃないけど、俺ももう少し己の気持ちに素直になっても良いと思い始めてる。

じゃあ惚れた女に告白しに行くかと問われれば今現在は無理な訳で。

 

 

「ですから、この予算は……」

「だとしてもなぁ……」

 

 

現在、俺は魏の金庫番相手に交渉を続けていた。つーか、俺がする交渉じゃない気がするのだが。

警備隊の予算の話をしに来たのだが現在、軍の拡大による影響で警備隊にこれ以上、予算は割けないと言われ、何とか都合をつけてほしいと交渉をしているのだが難航中である。

 

 

「………一息着きましょうか。互いに熱くなりすぎてます」

「ふー……そうだな」

 

 

栄華の提案に俺も乗る事にした。確かに少し熱くなっちまったかな。

しかしまあ……何かを決意すると仕事が入ったり、用事か入ったりとままならないものだ。

 

 

「………何か悩みでもおありですか?」

「……ん、喋っちまってたか?」

 

 

溜息を吐いた俺に栄華がお茶を差し出しながら聞いてくる。口にしちまってたかな?

 

 

「いえ、数日前から様子が違って見えていたので……って何でニヤニヤと私を見るんですか?」

「いやな。俺が悩みを抱えているのは事実だが男嫌いの栄華が俺を見ていてくれたかと思うとな」

 

 

確かに俺はここ数日考え事をしていたが男嫌いを自称していた栄華がそんな風に男である俺を気にしていてくれたとはな。

 

 

「わ、私だけじゃないです!一刀さんや桂花も気にしていたので!」

「そうかい。ありがとな」

 

 

俺は栄華に礼を言うと共に、やはりこの国で生きていく覚悟を決めるべきだと再認識していた。元の国に帰りたい気持ちは未だ、変わらない。でも元の世界と同じくらいに、この世界を好きになり始めてる。

 

 

「巨乳は我等の敵である!!」

「「「敵である!!!」」」

 

 

俺がそんな感傷に浸っていたら外から謎の雄叫びが聞こえた。

 

 

「今のは……桂花か?」

「後半は禀さんや季衣、流琉ですね……」

 

 

真っ昼間から何を叫んでるんだアイツ等は……

 

 

「さて……少しクールダウンした所で……」

「そうですね。でも譲る気はありませんよ?」

 

 

今のは聞かなかった事にして再び、会議を始めようとした所で部屋の戸が開いた。

 

 

「こんにちはーなのー!」

「さ、沙和!副長も栄華様も仕事中なんだぞ!?」

「あはは……お邪魔します」

 

 

元気よく沙和が入ってきたと思ったら凪が紗和に手を引かれて入ってきて、それに続いて一刀が入ってきた。

ってよく見れば凪はいつもの服装ではなく……

 

 

「制服?」

「あー!副長も制服って言ったのー!」

 

 

俺の呟きに沙和が反応を示した。どうも話を聞くと凪が今、着ている服は紗和のオリジナルらしく、この服装を見た一刀も同じく感想を言ったらしい。そして今は色々な人に凪のオシャレデビューを見せに回ってるらしい。

 

 

「なるほどね。だが似合ってるぞ凪」

「あ、ありがとうございます……」

 

 

モジモジしながら礼を言う凪はいつもの凛々しい雰囲気とは違って実に可愛らしい。一刀も同じ事を思っていたのか俺と目があった一刀は同時に立ち上がりピシッガシッグッグッと意志疎通を試みる。

やはり女の子が可愛いのは万国共通で素晴らしい事なのだ。

 

 

「秋月さん……予算の件ですが口利きしてもよろしいですよ。ただし……」

「わかっている……任せろ」

 

 

栄華は俺に何かを訴える視線を送ってくる。その瞳はこう語っていた『予算に口利きする代わりに可愛い服を所望します』と。俺も凪の姿を見て心が洗われたよ。服屋の親父に渡すつもりだった天の国の服の案を大量放出すると今決めた。

 

 

「交渉成立だな」

「いいでしょう」

 

 

俺と栄華は先程、一刀としたのと同じようにピシッガシッグッグッと意志疎通を交わした。

一度見ただけで覚えるとは栄華、恐るべし。




『ピシッガシッグッグッ』

ジョジョの奇妙な冒険第三部で海底を潜航中の潜水艦から敵の攻撃により脱出を余儀なくされてしまう。
その際、ジョセフから水中での簡単なハンドサインを指導されたのだがポルナレフは自分もハンドサインを知っていると言うとハンドサインをやって見せる。
『手を叩く→ピースサイン→右目に親指と人指す指で作った○を当てる→額に右手をかざして遠くを眺める仕草をする』だった。 
これを見た花京院はすかさず「パン、ツー、マル、ミエ」→「パンツ丸見え」と読解。ポルナレフは花京院とタッチし、互いに意思疏通が叶った事に更なるハイタッチを行った。
それが『ピシッガシッグッグッ』である







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