真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第九話

 

 

 

 

街に入ろうとする黄巾の連中をかめはめ波で一時的に黙らせたが、そう長くは続かないだろう。門は他にも三ヶ所、東西南北とあるので全てを守らねばならない。

 

 

「ちょっ……お兄さん何者や!?」

「んー……」

 

 

先程の女の子が俺に詰め寄る。まあ、突然現れてあんな事、すりゃ当然か。つーか、この娘……ヤバい……何がヤバいって……ああ、イカンイカン……視線を落としたらガン見してしまう。

 

 

「俺は偶々、この街にいた者だ。あの連中が気にくわないから戦いに参戦した……じゃ理由にならないか?」

「なんやお兄さん、正義の味方のつもりかいな」

 

 

俺の言葉に女の子は胡散臭げに俺をジロジロと見る。俺が正義の味方なら変身してから戦うよ。

 

 

「ほら、話してないで防柵を作ってくれ」

「あ、ああ……ほな、後で話聞かせてな!」

 

 

俺がポンと背を叩くと女の子は我に返り、慌てて防柵作りに戻る。さて、俺はもう一発、かめはめ波をお見舞いしてやろうかと思ったが……なんか黄巾の連中の数がさっきの倍近い。

これはヤバいかも。

 

 

「おい、お主!」 

「あ、はいはい……どちら様?」

 

 

ヤバいなぁ……なんて思っていたら後ろから声を掛けられ、振り向くと青い服に身を包んだ美人とお団子三つ編みの女の子が居た。

 

 

「我が名は夏侯淵。此方は許褚だ。先程の気弾はお主の物か?」

「俺は秋月純一。質問の答えなら気弾を放ったのは俺だ」

 

 

名乗られて質問をされたのでこっちも自己紹介して質問に答える。すると美人は笑みを浮かべた。

 

 

「そうか。私が他の門の所へ行っている間に南の門が突破されそうになったと聞いて焦ったのだが、お主の気弾で状況を変えてくれた感謝する」

「ありがとねー!」

 

 

深々と謝罪する夏侯淵と明るく礼を言う許褚。アンバランスな組み合わせな二人だな。ん……夏侯淵と許褚?

 

 

「つかぬ事をお聞きするが……まさか曹操の所の?」

「なんだ知っていたのか?」

「そだよー」

 

 

OH……やっぱりだよ。夏侯淵と許褚って言えば曹操の軍の中でもトップクラスの武将の筈。まさか、こんな所で会う事になるとは……

 

 

「いや……噂で聞いていた程度のもんだよ。それに荀彧……知り合いが曹操の所へ仕官したんでな気になってたんだ」

「ほぅ……ではお主が「あの馬鹿」か」

 

 

俺の発言に夏侯淵はクスリと笑みを浮かべた。それに「あの馬鹿」とは何ぞや?

 

 

「桂花と話しているとな時おり、「あの馬鹿」の話になるのだよ。名は教えてはくれなんだがお主の事で間違えなさそうだ」

「いつもツンツンした態度で「あの馬鹿」さんの話をしてるよ」

 

 

楽しそうに話す夏侯淵と許褚。許褚さんよ、「あの馬鹿」を名前みたいに呼ばないで。

 

 

「さて、秋月……街には我々曹操軍の先遣隊が守りを固めて、街の義勇軍も加わった事でなんとか黄巾の大軍を防ぐ事が出来ている……だが腕の立つ者が加わってくれれば更に助かるのだが……」

「そう言われちゃ断れないし……まあ、元々断る気はねーよ」

 

 

そう言って俺と夏侯淵と許褚は街に入ろうとする黄巾の連中を睨んだ。

 

 

「ふ……ならば頼むぞ。そして死ぬなよ桂花との話を聞かせてもらうのは面白くなりそうだからな」

「いきなり戦意を削ぐ話をしないでくれ……」

 

 

静かに笑みを浮かべる夏侯淵とケラケラと笑う許褚。なんか勝っても録な結果にはなりそうに無い気がする。

その後だが俺は夏侯淵と許褚の曹操軍、楽進・李典・于禁率いる義勇軍で街に立て籠り、二つの部隊が連携し、街の防衛をする事となった。

そんな中で夏侯淵と許褚、楽進・李典・于禁は真名交換までしていた。いや、俺とはしてないんだけどさ。

因みに楽進は体に傷を持ち、髪を長い三つ編みにしている娘で于禁は眼鏡を付けて、愛らしい声と口調の娘だ。そして先程、俺と話した関西弁の娘が李典だった。

マジで男の武将はいないのか、この世界。しかも楽進・李典・于禁って魏の武将やんけ!勢揃いか!

それはさておき、俺は街の防衛と時おり、纏めて敵を吹っ飛ばす為のかめはめ波係りとなった。いや、頼りにされるのはいいんだが『かめはめ波係り』って何よ!?鉄砲隊の扱いか!?

なんてツッコミ入れても、この世界の住人には通じないしなぁ……悲しいわ

 

 

「夏侯淵様!西側の大通り、三つ目の防柵まで破られました!」

「……ふむ、防柵はあと二つか。どのくらい保ちそうだ?李典」

「せやなぁ……応急で作ったもんやし、あと一刻保つかどうかって所やないかな?」

 

 

一刻って確か30分位だったっけ?つーか、今までよく保った方なんだよな。

 

 

「微妙なところだな。姉者達が間に合えばいいのだが……」

「しかし、夏侯淵様が居なければ、我々だけではここまで耐えることはできませんでした。ありがとうございます」

 

 

悔しそうにだが冷静に戦力分析をする夏侯淵。クールだねぇ……楽進も似たタイプだな。

 

 

「それは我々も同じ事。貴公ら義勇軍がいなければ、連中の数に押されて敗走していたところだ」

「いえ、それも夏侯淵様の指揮があってのこと。いざとなれば、後の事はお任せいたします。自分が討って出て……」

「おいおい……それは……」

 

 

夏侯淵との話の中で楽進は玉砕覚悟の特攻をしようとしている。俺が止めようとしたら許褚が楽進の前に立った。

 

 

「そんなのダメだよっ!」

「っ!」

 

 

楽進の玉砕覚悟の発言に、許褚が声を上げてそれを否定した。そんな許褚の声にその場に居た全員の視線が許褚に集中している。

 

 

「そういう考えじゃ………ダメだよ。今日は絶対春蘭様達が助けに来てくれるんだから、最後まで頑張って守りきらないと!今日、百人の助けるために死んじゃったら、その先助けられる何万もの民を見捨てることになるんだよ!」

 

 

見事な口上だ。こんな小さな子がこれだけの事を言えるとは……

 

 

「………肝に銘じておきます」

「………ふふっ」

 

 

楽進は自分の未熟さを感じたのか楽進は大人しくなり、夏侯淵が何故か笑った。

 

 

「な、何がおかしいんですか、秋蘭様ー!」

「いや、昨日あれだけ華林さまや北郷に叱られていたお前が、一人前に諭しているのが……おかしくてな」

 

 

抗議する許褚に夏侯淵は静かに笑う。なるほど受け売りだった訳ね。

 

「あー!「あの馬鹿」さんまで笑ってる!」

「いや……それ、名前じゃないからね。そろそろ止めてマジで」

 

 

ムーっと怒る許褚。だから名前じゃないから、その呼び名は止めなさい。泣きたくなるから。

そんな話をしていたら于禁が慌てて走ってきた。

 

 

「夏侯淵様ー!東側の防柵が破られたのー。向こうの防柵は、あと一つしかないの!」

「アカン!東側の最後の防柵って、材料足りひんかったからかなり脆いで、すぐ破られてまう!」

 

 

于禁と李典の会話にその場がピリッとなる。ここからが本格的にヤバくなりそうだ。なら……俺の次の行動は決まったな。

 

 

「わかってる。ここが正念場だ、気合を入れていけ!」

「東側には俺が行こう。俺の技なら纏めて吹っ飛ばせるからな」

 

 

夏侯淵の叫びに俺は東側に向けて歩き出す。一人でも多く居た方が良いからな。

 

 

「秋月……もうすぐ我等の増援が来る……時間稼ぎで十分だからな」

「ああ……わかってるよ」

 

 

俺はタバコに火を灯しながら東側の門へと歩き出す。そこで立ち止まり、夏侯淵達の方に振り向く。

 

 

「時間を稼ぐのはいいが……別に全部、倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

俺は笑いながら冗談染みた言い方をした。俺は今、笑えているだろうか。今回の戦いは俺の初陣となった。

正直、テンション上げたりして誤魔化していたけど俺の胃に込み上げる物がある。買い食いなんかするんじゃなかったよチクショウ

歴とした戦争を体験している俺はこうやって自分を誤魔化さないと膝が震えるくらいだ。さっきは覚悟を決めたつもりだったが……体は正直なものだ。

等と思いながら東側の門へ行こうとした時、銅鑼の音が鳴り響いた。








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