真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
<< 前の話 次の話 >>

93 / 192
第九十三話

 

 

 

 

◆◇side桂花◆◇

 

 

数え役満姉妹の催しから数日。私は華琳様から命じられた仕事をこなしていた。そして、少し息抜きと城の中を散歩していたのだけど……

 

 

「どうした秋月!あんぱんちとやらを放って見せろ!」

「見切られると分かってる技を出すと思ったか?食らうが良い、太陽け……って熱っ!?」

 

 

中庭で華雄と模擬戦をしている秋月が居た。先日とは違う技を華雄に使おうとしたらしいが技を放とうとした瞬間、顔を押さえて踞る。

 

 

「くおぉぉぉぉぉぉぉぉ……顔が熱い!?」

「何をしようとしたんだ秋月?顔に向かって気を放てば当然だろう?」

 

 

華雄の発言から秋月は顔に気を集中しようとしたらしいけど、あれって完璧な自滅よね?

 

 

「こ、この技は太陽拳と言ってな……瞬間的に気を集中させて光を放って相手の目を眩ませる技なんだが……」

「それでか……ほら、大丈夫か?」

 

 

苦しんでいる秋月に華雄は用意していたのか、濡らした手拭いで秋月の顔を拭いていた。なんか……この間から距離が近いわよね。

 

 

 

◆◇

 

 

「純一さん、お茶をどうぞ」

「おお、ありがとう月」

 

 

月の淹れたお茶を嬉しそうに飲む秋月。月の顔が赤いのはアイツを意識してるからよね……

 

 

◆◇

 

 

「副長の言うてた頑丈な棍棒ってこんなんか?」

「お、流石だな」

 

 

秋月と真桜は新しい素材で作った棍棒の固さを確かめていた。

 

 

「でも、なんで棍棒なん?」

「警備隊の武装としては此方の方が適切かと思ってな。まあ、試作だし俺が試しに使ってみるか」

 

 

並んで武具の確認をする二人。

 

 

「ウチとしては……副長の下の棍棒を確かめたいんやけど」

「女の子がそんな事を口にするんじゃありません」

 

 

秋月は手にした棍棒で真桜の頭を叩く。叩かれた真桜も笑ってる。軽口で話し合えるのは通じ合ってるからって気がした。

 

 

◆◇

 

 

「うーむ……やっぱ勝てないか」

「ふふん、ねねに勝とうなんて10年早いのです!」

 

 

今度はねねを相手に囲碁をしてる。ねねは秋月の相手をしてやってるなんて、言ってたけど逆よね?秋月がねねの相手をしてる感じよね間違いなく。

 

 

◆◇

 

 

「秋月……買い物に出たら服屋の店主さんから『副長さんから頼まれた、服や衣装が出来ましたとお伝えください。その中の『あの服』なら貴女に似合いそうだ。もしかして貴女に着せる為に考案した服なんじゃないですか?』って言われたんだけど?」

「親父さんめ……でも確かに『アレ』は詠に似合いそうだ。服が届いたら着てくれないか?」

 

 

秋月は仁王立ちして睨んでいる詠にサラッと答える。

 

 

「ふ、ふーん。着て欲しいんだ……だったら僕の前で土下座でも……」

「お願いします」

「即座に実行するな!止めてってば……ああ、もう!頭を上げて!」

 

 

詠の強がった言葉に即座に土下座をした秋月。そんなに着て欲しい服とかあるのね……詠も悩む事無く土下座をした秋月に却って焦ってるわね。

 

 

◆◇

 

 

ここ数日、なんとなくアイツを見てたけど……仕事の合間に女の子と絡みすぎじゃないかしら……しかも私には何もしない癖に……

私は書庫で苛つきを抑えながら仕事をしていた。なんで私、こんなにイライラしてるのかしら……

 

 

「え、副長さんに?」

「そうなんですー。相談したら親身に相談に乗ってくれて……」

「流石、優しいわね」

 

 

書庫で仕事をしている文官達の話し声が聞こえる。そう……文官達にも手を出してるのね…。

私は不機嫌なまま、書庫から出る。イライラして仕事にならないわね。少し早いけど夕飯にしようかしら。

 

私が食堂に向かっていると向こうの通りに秋月が書類を抱えていた。私のこのイライラの全てをぶつけてやろうかと思ってアイツの所へ行こうとしたら死角になって気づかなかったけどアイツの隣に歩いてる人物が目に入る。

それは最近、魏に入った顔良だった。袁紹の所から離れてから生き生きとしてるのよね……ま、まさか秋月と…………

 

 

「斗詩も魏に慣れてきたみたいだな」

「はい、秋月さんのお陰ですよ」

 

 

いつの間に真名の交換したのよ……私はその事を問いただそうと歩み寄ろうとした。その瞬間だった。

 

 

「あ、あの……今晩、お食事ご一緒しませんか?」

 

 

え……?

 

 

「その……あんまり美味しくないかもしれないですけど……料理は得意な方なんです。だから……どうでしょう?」

「まあ、今日の夕飯も決めてなかったし……ご馳走になろうかな」

 

 

顔良の言葉に秋月は悩むそぶりを見せた後に承諾していた……

 

 

「やったぁ!じゃあ行きましょう!」

「おっと……焦らなくても良いって……」

 

 

顔良は秋月の答えが嬉しかったのか秋月の腕に抱き付いて共に歩いていく……もう、なによ!なによ!

私は文句の一つでも言ってやろうかと思ったけど……先程まであった苛つきは消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「なんで……こんな……」

 

 

 

 

 

私は胸を抑えてその場に座り込んでしまう。

なんでこんなに苦しくて……寂しいのよ……




『太陽拳』
独特のポーズで頭部から気を放ち相手の目をくらませる。サングラス越しなら直視しても問題ない程度の光量と思われるが、逆に目で物を見る相手であれば相当の格上にも通用する地味に強力な技。 
使い勝手良いらしくコツを掴めば誰でも使用可能で天津飯以外にも複数の技の使い手が存在する。







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。