護堂がそんなやり取りをしているとき、茨城県鹿嶋市で強い雷雲が発生強い雨とともに速い速度で移動を始めていた。
また、それにあわせるように、千葉県では、草木が急に色芽吹く異常が見え始めた。
そして、そんな異常に即座に反応したのが、日本の呪術師の集まりでもあった。
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よれたスーツを着こなした男は目の前に座る上司に、かるく愚痴を言うかのように手元の資料に目を向けつつ報告をいう。その表情はかなり疲れを見せていたが、この男は優秀な男なので、ここまで顔に出す今の状態がどれだけ切羽詰った状態なのかを見て取れた。
「馨さん、やはり茨城県で発生した呪力の固まりは惹かれあうあうように、千葉県へ向かっているようですね」
「やあ、甘粕さん。とんだ災難とはこんなことを言うのかな?」
その男甘粕に答えたのは、美少年とも取れる男装の麗人だった。
「やはり、茨城県鹿嶋市近で発生して向かっている方向が千葉県となれば、かの神様で間違いがなさそうですね」
いやはやとは言うが、その背には冷や汗が浮かんでいる。
「一応、救援という形で外国のカンピオーネに頼むのも考えたが、どう予測を考えてもこの呪力がぶつかり合うほうが早い、後はできるだけ付近から人を非難させるかにかかっているかだな」
「それは実質、触らぬ神に祟り無しと言うことですかね」
「それしかない状態だね。現存するカンピオーネ以外の誰かが倒してくれないかね」
「現存する?馨さんが、見ていた資料には気になることでも、書かれていたのですか?」
見てみるかいと渡されたのは二枚の報告書、一枚目はイタリアのサルデーニャ島付近の情報、二柱の神であるウルスラグナとメルカルトの被害と結果が書かれた報告書、この報告書自体はイタリアの名門、《赤銅黒十字》の大騎士であるエリカ・ブランデッリとルクレチア・ゾラの二人からの報告ではっきりしているのだが、もう一枚のほうの報告書、中国冀州市であった呪力を振りまく霧と、何かが暴れたとしか形容できない証拠写真である。
「見ての通り、先月イタリアのサルデーニャ島で二柱がぶつかり合う丁度同じくして中国にまつろわぬ神が限界していたと見られる報告書だよ」
「では、中国のカンピオーネがこれを倒したのですか」
「いや、かの女傑ではないと分かっている。だが、ここでは戦闘が行われ、一柱ないし二柱が居たのが分かっている。現地の魔術師が霊視を調べた結果、霧に包まれたように何も見えない、だそうだ」
「何か気になることでも。」
「いや、近くのホテルで東洋人が血の着いた衣類を捨ててるところを見たという従業員の証言があってね。その東洋人がいつの間にかに霧のように消えていたなんて、警察に通報があったのだけど実際衣類は無く従業員の見間違いで済ましたなんて報告があるんだ。」
確かに、怪しいとは言えるが、それだけではなんとも言えない。
「誰でもいいから、何とかしてくれないかな」
そんな、上司の呟きを聞かなかったことにして、人の誘導等を各部署に指示していくのだった。
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今護堂は非常事態に遭遇していた。
帰るのが遅くなるとは妹に伝えて、ぶらり散歩気分で考え事をしていたのだが、いつの間にかに気分が高揚し始めて戦闘の準備が完了してしまう。
(まじか、何でまつろわぬ神がいるんだよ)
現在護堂のいる場所は、実家近くの商店街のど真ん中、相手はだんだん近づいて来ているのだ。
こんな場所で戦いになったら被害だけで大変なことになってしまう。
(せめて話の分かる神様であってくれ。)
その思考からすぐに、相手が現れる。
格好自体は古びた衣類を着込み手には杖を持った老人、まさに仙人の様ないでだちをしていた。
最初に見て分かった違和感は、自分しか老人を認識していないことだ。
「御主が、神殺しで相違ないか」
どこか、威厳の含んだやわらかい声で、その神は語りかけてくる。
「間違いない、あんたはまつろわぬ神で間違いないか」
「相違なし、しかし、何と本当にこの日ノ本から神殺しが生まれたか」
どこか、うんうん頷く神から殺気や戦う気配が見て取れない。
「で、あんたは戦いにでも来たのか?」
一応すぐにでも体が動くように気を張り巡らせる。
「おぉ、そうじゃった。神殺しである御主に頼みがあっての。こうして幽界から降りてきたのじゃ」
「頼み?」
「そうじゃ、わしの古い知り合いが暴れそうなので、その仲裁を頼みたくての」
そう言って神は頭を下げ、その姿を見た護堂は自分だけでは対処できないと、万理谷のいる七雄神社に足を向けるのだった。