転生ですか?   作:灰の虚像

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転生ですか?会いました。

 護堂達が目的地に着いたときには雷雨は弱まり始めた頃だった。

 それは二柱の戦いの終結を示していた。

 建御雷之男神(タケミカヅチ)と経津主神(ふつぬしのかみ)どちらが勝ち残ったのかは、ここからでは分からない。

 

「塩土老翁神、戦いは終わったようだけど、俺が今から行く必要はあるのか?」

 

「当たり前じゃ、あの二人は軍神としても崇められている。日ノ本に生まれた神殺しに挑まぬとは限らぬからな、本来なら、戦いの前にわしが仲裁に入る予定だったのじゃがな。」

 

 それって、戦いが避けれないって事ではないかと、護堂は理解してしまった。

 忘れてはいけないが護堂自身は戦いが好きではない、同じカンピオーネのどこぞの戦闘狂ではない。避けれる戦いはしたくないのが本音である。

 今回は、塩土老翁神と言うストッパーが二柱の間に入って仲裁する際のそばで睨みを利かせればいい等と簡単に考えていた。

 戦いが起きる可能性は、たしかに考えていた。と言うか、中身が違うとも、この体は、この物語の主人公、逃げられないのは中国で認めてしまっている。

 しかし、万理谷から聞かせられた塩土老翁神を含む、三柱の関係を聞いたとき内心戦いが起こらないほうが高いのではないかと安心するが、自身の胸に去来する不安感が高まるのも感じていた。

 実際蓋を開けてみれば、二柱の戦いには間に合わず、一柱が消え残った一柱と戦うのが半場決まりかけてしまう。

 だが、このとき護堂の頭の中で考えが纏まってしまう。

 

『しょうがない』

 

 この考えに行き着いてしまう。

 これは生まれてから今まで、カンピオーネにならないように立ち回ってきたが、結局、神殺しに成功してしまった己の最終的に行き着いた思考である。

 それは、諦め。

 しかし、護堂の『しょうがない』は同時に覚悟を決める言葉ともなっている。

 

「行くしかないか」

 

「天から降り落ちる雷、大木を裂き焼き切る雷の剣の神格。そして、弱いですが、刀剣で物が断ち切られる様を表し、刀剣の威力を神格。それから導き出されるのはこの先で待っているまつろわぬ神は建御雷之男神(タケミカヅチ)様です」

 

 いつの間にかに、万理谷の媛巫女としての力である霊視を行っていたのか、この先に待ち構える神の名を告げる。

 

「女子よ。ほんに良き目を持っているの。しかし、建御雷之男神が残ったか」

 

「何か悪い事でもあるのか?」

 

「それはじゃな―――――」

 

 

   ・  ・  ・

 

 その後、少し話し合いをして護堂と塩土老翁神は呪力の中心に向かっていってしまう。

 残ったのは、戦いには参加できない甘粕と万理谷の二人だけである。

 

「行ってしまいましたね草薙王は。しかし、この日本に神殺しが生まれていたとは」

 

 甘粕は隣に立つ媛巫女万理谷に視線を向ける。

 実際、この日本で神殺しに成功して『カンピオーネ』に至った者は一人としていなかった。だがあえて言おう、この日本の異常性を、歴史を紐解けば伝承、昔話等で神殺しを成功した者の多さに、ある者は、何の変哲もない刀で切り殺したり、挙句の果てには、素手で殴り殺した話まである。

 しかし、その多くの者は、逆に神格化され、いつの間にかに信仰の対象となっていた。

 だが、今まで至った者のいなかった存在に、背を見せて歩いて行く青年、草薙護堂は至ったのだ、その異常性も認識している。

 一瞬、自国の神を殺してでは至らないのでは?等と思考する。

 だが、その考えは間違った認識なのも理解している。

 

「はい、護堂さんと塩土老翁神様をこの目で見るまでは、私にはこの日本で神殺しを成功させた人がいること自体知りませんでした。」

 

「知らなかった?万理谷さんの霊視でも草薙王が殺した神が分からなかったのですか?」

 

「はい、初めて会ったのは今日が初めてでした。その時霊視が働いたのですが、霧のようなものに阻まれ何か分かりませんでした」

 

「では、草薙王の倒した神の名前は分からないのですか?」

 

 その問いに、万理谷は首を横に振り、小さくなった護堂の背中に視線を向けながら護堂の倒した神の名を明かす。

 

「蚩尤」

 

 

 

     ・   ・   ・

 

 

「久しいな建御雷之男神、最後にあったのは諸国を平定した後に塩竈(宮城県塩竈市)で別れたとき以来かの」

 

「久しいな塩土老翁、久しい顔を見たわ。たしかに、最後にあったのは塩竈であっているぞ」

 

 鋭い気を放つ男に、警戒する事無く塩土老翁神は声をかけ、二人は久しぶりに会った挨拶を交わす。

 

「しかし建御雷之男神よ。現界したと思ったらすぐに暴れよって、お主しかいないこととその手に持つ 布都御魂(ふつのみたま)を見るに、神格が戻ったということかの?」

 

「神格が戻った?」

 

「神殺しよ。しかり、わしは経津主神と同じ神格として混合されることがある。つまり、この布都御魂の神格が戻った今の状態が、わしの姿というわけだ」

 

 護堂は疑問を口に出すが、しっかりとした答えを返される。

 少し意外な感じがするが、まだ気が抜けないのが現状だと理解している。

 そんな護堂を尻目に二柱は昔話に花を咲かせる。

 高天原から地上に降った鹿島神武甕槌神と香取神経津主神の二神が、塩土老翁神に先導されて諸国を平定した話等、価値にできないほどの貴重な内容を語り合う。もしここに、呪術師、もしくは、歴史学者がいたら卒倒したようなものも含まれたのを、護堂は何となく理解した。

 

「昔話もこんなもんかの。建御雷之男神、お主の現界の理由を聞こうかの」

 

「ふん、知れたこと。この日ノ本に初の神殺しが生まれたのだ、軍神として戦いたいと思って参ったのだ」

 

 護堂は諦める。

 今の言葉で戦うことは確定してしまった。

 

「お主、まさかとは思うたが、ほんにそんな理由で現界したのか?」

 

 塩土老翁神が呆れたのか、うむ、等と返事を返す。武甕槌神に溜息を吐く。

 だが、間違いなく、今現在本当に溜息を吐きたいのは護堂自身だった。

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