機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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F96アマネセル

「リースティーア………あんた、NT-Dを使いこなせる自信、あんのかい??あんたは、射撃特化型のパイロットだ。サイコフレームが宝の持ち腐れになるんじゃないのかい??」

 

「あらあら………ジュンコさん、随分ですね。ここにいる誰よりF90タイプの扱いには慣れているし、サイコミュは射撃でも充分使えるわ」

 

 ジュンコの言葉に、リースティーアは余裕の笑みを浮かべて答える。

 

「今回の作戦は、トライバードの起動力、F90・Nタイプの長距離射撃がキモになる。ジュンコの心配は分からないでもないが、今のパイロット事情ではリースティーアに任せるのが1番だ。パイロットとしてのトータル能力も高いしな」

 

 ミリティアン・ヴァヴに搬入されていくN装備のミッションパックを与えられたF90を眺めながら、オリファーはジュンコに声をかけた。

 

「まぁ………戦闘データを見れば、能力の高さは分かるけどね………でも、実際の戦闘を見たのは前回の小競り合いの時だけだし、信用しきれないんだ。コッチも、リースティーアのフォローを命懸けでやらなきゃいけないんでね」

 

 ジュンコは別に、リースティーアに喧嘩を売るつもりは無い。

 

 ただ自分を含めたガンイージ隊は、リースティーアの長距離射撃をフォローする………つまり、守り続けなければいないのだ。

 

 命懸けで守っても、その腕がナマクラであれば、意味の無い事をしている事になってしまう。

 

「あらあら、そう言われると………そうねぇ………でも、腕を披露するのにベスパに仕掛けたら、NT-Dの持っている機体があると敵に教えるだけだわ」

 

「そうだが、運用試験もしなければならないだろ??その時にリースティーアさんの腕を確認すればいい。それと、あの機体はF90じゃないらしい。新規開発した技術は組み込まれていないが、今までのサナリィとアナハイムの技術の融合………F96・アマネセル………そう名付けられたそうだ」

 

 暗い闇に光を射す存在………ザンスカールのもたらす闇を打ち砕く力………そして、連邦とリガ・ミリティア、アナハイムとサナリィの協力………全ての幕開けに相応しい名前、アマネセル………スペイン語で夜明けを意味する名を与えられたガンダム。

 

 かつて、GP01・フルバーニアンに搭載されていたスラスターであるユニバーサル・ブースターポッドの発展型を上下左右に装備し、驚異的な可動範囲と3次元の空間移動を可能とした。

 

 そして、その制御を行うのに必要なNT-Dである。

 

「なるほどねぇ………サナリィのモビルスーツのフレームに、アナハイムの技術を融合させたって訳かい。見た目は強襲型にしか見えないんだよな………だから、リースティーアだと少し不安なのさ」

 

 F96アマネセルの背後を見つめながら、ジュンコは再び不安を口にした。

 

「あらあら………それでは、トライバードと運用試験を兼ねて戦ってみようかしら??」

 

「いや、ガンイージ隊と模擬戦してもいいんじゃないか??ミリティアン・ヴァヴには、サナリィとアナハイムの技術者達も乗り込んでくれている。模擬戦を通じて出た問題点は、移動中に改善してくれる筈だ」

 

 レジアの言葉に、オリファーが頷く。

 

「ホラズムの周囲に、ミノフスキー粒子を散布。短時間でデータをとるぞ!!」

 

 

 オリファーが号令をかけた数時間後、ガンダム2機とガンイージ6機が月基地付近の宙域で対峙していた。

 

「こうして見ると、敵の艦隊に攻撃するには少ないですね………やっぱり」

 

「クレナ、今更だぜ!!量より質ってな………まずは、新しくなったガンダムとの力試しだ。いくぜっ!!」

 

 ヘレンのガンイージが、バーニアを吹かしてガンダム2機に迫っていく。

 

「あらあら………ヘレンに連携を期待しても無駄かしら??レジア、宜しくね」

 

「了解!!手筈通りにやる!!」

 

 飛び込んで来るヘレンのガンイージに、トライバード・アサルトがビームサーベルで対応する。

 

 ガンイージの放つビームを難無く回避しながら、トライバード・アサルトがヘレン機を他のガンイージ隊から切り離していく。

 

「ったく………ヘレン、迂闊に飛び出し過ぎだよ!!」

 

「仕方ない、ガンイージ隊は編隊を崩さずに前進だ!!トライバードはヘレンに任せて、F96から仕留める。各個撃破だ」

 

 ヘレンの独断行動に呆れるマヘリアを横目に、オリファーは落ち着いて指示を出す。

 

「ヘレン、あんたはトライバードの牽制だ!!突っ込み過ぎないように………私達がF96を墜とすまで、時間を稼いでくれればいい!!」

 

「分かってます………って!!」

 

 ジュンコの通信に応じたヘレンだったが、既に防戦一方になっていた。

 

 レジアの戦闘データを元にモデファイされたトライバード・アサルトの動きは、全く隙がない。

 

 射撃が得意ではないヘレンの放つビームが躱されるのは仕方ない………しかし、接近戦でも押し負けていた。

 

 接近戦をしている筈なのに、ビームサーベルの攻撃を防いだと思ったらトライバード・アサルトの機影がモニターから消える。

 

「くそっ、出鱈目に早い!!どうなってんだ!!」

 

「このままじゃ、ヘレンがヤバイ!!私、助けに行きます!!」

 

 ヘレン機の援護に向かおうとしたマヘリア機の目の前に立ち塞がるように、一筋のビームが通り過ぎた。

 

「くっ………射撃が正確なのは相変わらずね………」

 

 ヘレンの援護に行けない………それどころか、オリファー率いる本隊ですら、F96から放たれるビームの弾幕に立ち往生させられる。

 

「これじゃあ、コッチが各個撃破されてしまう………ジュンコ、一旦君に指揮権を委譲する。全機、オレの後に続け!!」

 

 正確なビームに晒されながら、オリファー機はビームシールドを展開しながらF96に飛び込んでいった………

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