その瞬間………
ニコルの声に呼応するように、メガ・ビームライフルが戦闘宙域に放たれる。
「え??」
自分の意思とは関係なしに放たれた閃光は、暗い宇宙に一筋の光の道となり、遥か先で戦闘を行うシャイターンの胸部を貫いた。
「何!!」
思わず声を漏らしたアーシィを含め、戦闘宙域にいるモビルスーツ達は一瞬戦闘を止める。
全てのパイロットに見守られる中、閃光に貫かれたシャイターンはスローモーションのように………その場の時間が止まってしまったかのように…………ゆっくり断末魔の叫びをあげる瞬間を待っていた。
「散開!!」
アーシィの声で、時間の失われた戦場に時が戻ってくる。
止まっていた全てのモビルスーツが動き出した瞬間、胸を貫かれたシャイターンは爆発した。
「なんだ??今の長距離射撃は??聞いてないぞ!!」
ザンスカールのモビルスーツ隊は、混乱に陥る。
その一方で、レジアも恐怖感に襲われていた。
(ガンスナイパーを出したのか?いくら劣勢だからって………アレは、まだニュータイプにしか扱えない機体だったはずだ………誰が乗っている?って、あの基地に今残っているメンバーでは、ニコル以外にモビルスーツを扱える奴はいないか………)
レジアはガンスナイパーが未完成品である事を知っているし、何よりパイロットも未熟なニコルが搭乗しているのだ。
そんな物から放たれる砲撃だから、味方であっても安全である筈がない。
「レジアさんっ!!」
マヘリアもこの状況に気付き、困惑と恐怖が入り乱れた声を出した。
「まぁ、ある意味場は混乱した!!マヘリアさん、この隙に後退するぞ!!」
ザンスカールの部隊はガンスナイパーが未完成である事はもちろん、パイロットが素人という事も知らない。
その事に気付かれる前にレジアは状況を有利にして、なんとか後退を試みる。
「くそっ!!リガ・ミリティアめっ!!長距離射撃が出来るモビルスーツも開発してたって訳か!!けど、こっちもシャイターンを持ち出してる以上、おめおめ引き下がる訳にはいかないんだよ!!」
後退を始めたトライバードとガンイージに、シャイターン隊が再び迫った。
「混戦に持ち込めば長距離射撃は怖くない。全機、距離を狭めて戦闘しろっ!!」
モビルスーツの距離が密着していれば、味方に当たる可能性のある長距離射撃など出来まい………アーシィはそう思っていた。
しかし………………
ドオォォォォン!!
再び、シャイターンが閃光に貫かれる。
「なっ………味方がいてもお構い無しかっ!!」
アーシィは長距離射撃を行っている機体から、感じた事のないプレッシャーを感じ始めていた。
「レグナイト隊の生き残り!!あの厄介なヤツを墜とせ!!」
重厚なシャイターンの装甲を、まるで紙のように貫くビームに戦慄を覚えたアーシィは、ガンスナイパーを強敵と認識した。
未熟で未完成のガンスナイパーとニコルのコンビに、3機のラングが迫っていく……………