機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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カイラスギリー防衛戦2

「クレナ、もう出撃だよっ!!ボーッとしないっ!!」

 

 嫌な気配を感じてノーマル・スーツに着替える手を止めていたクレナに、マヘリアが後ろから声をかけた。

 

「あ………すいません。何か嫌な感じがして………でも、気のせいですね」

 

「もー、止めてよ~。これから結構無謀な作戦に出撃しようって時に、そういう事言うのー」

 

 言っている内容とは逆に笑っているマヘリアを見て、クレナも少し笑顔を見せる。

 

「こんな無謀な作戦を前に、嫌な感じがしない奴なんていないぜ!!気分がいいのは、ある意味新型を与えられたリースティーアぐらいのモンだろ」

 

「あらあら、随分と………新型を任されるって、結構プレッシャーなんですケド………F96アマネセルで、長距離援護を1人でやるんだから………でも、やるしかないわね」

 

 嫌味を言うヘレンを横目に、リースティーアはクレナの肩を優しく叩く。

 

「もうベスパのモビルスーツ隊は、ビッグキャノンの前に布陣しているんだ。無駄話をしている暇はないよ!!」

 

 真っ先にノーマル・スーツを着たジュンコが、モビルスーツ・デッキに向かって壁を蹴る。

 

 話をしていたシュラク隊の面々も、ジュンコの後を追ってモビルスーツ・デッキに入った。

 

 

「シュラク隊、全機出撃!!続いてトライバード・アサルト、出撃どうぞ!!」

 

「了解。トライバード・アサルト、レジア・アグナール出る!!」

 

 カイラスギリー前面に布陣するゾロアット隊の前で対峙する、シュラク隊のガンイージ。

 

 レジアの操るトライバード・アサルトはミリティアン・ヴァヴから出撃すると、その更に前に出る。

 

「リースティーアさん、F96アマネセル出撃準備OKです!!後方支援、よろしくお願いします!!」

 

「あらあら、了解です。メカニックさん達が徹夜で調整してくれた機体なんだから、必ずやれるわ!!」

 

 管制官のニーナの言葉に、リースティーアはF96アマネセルを起動しながら答えた。

 

「敵のニュータイプ専用機も確認している。的確な長距離射撃が来れば、必ず襲い掛かってくる筈だ。アマネセルのNT-Dなら、ニュータイプ相手でも見劣りはしない。だが、身体への負担は多い。無理するなと言いたいトコだが………」

 

「あらあら………艦長、今日は無理しなければいけない日でしょ??大丈夫、アマネセルならやれるわ………F96アマネセル、リースティーア出る!!」

 

 スフィアの心配そうな言葉に、リースティーアは笑顔を返すとF96アマネセルを出撃させる。

 

 カイラスギリー前方の宇宙空間には既に火球が見えており、戦闘が始まっている事をモニターが伝えてきた。

 

「あらあら………もう始まっているわね。じゃあ早速………」

 

 F96アマネセルはメガ・ビームライフルを構えると、白いモビルスーツを照準に入れる。

 

「あら………リファリアとフォルブリエの仇が出てるじゃない。戦闘指揮もとってるみたいだし………まずはバタフライから墜とす!!」

 

 メガ・ビームライフルから放たれた閃光が、アーシィのマグナ・マーレイに向けて一直線に迫っていく。

 

「高出力のビームがくる。ニコルなの??いや、ニコルのプレッシャーじゃない!!」

 

 ゾロアットを巻き込みながら迫ってくる高出力のビームを、アーシィは間一髪躱した。

 

 残留したメガ粒子が、Iフィールドに触れて消失していく。

 

「ガンダム・タイプ………やはり真っ先に墜とさなければいけないのは、奴らだ。ゾロアット隊の数機は私に続け!!長距離ビームを持つ、ガンダム・タイプを墜とす!!」

 

 動き出そうとしたマグナ・マーレイの前に飛び込んできた白と鮮やかな青がカラーリングされたモビルスーツが、その行く手を阻む。

 

「リースティーアには、近付けさせん!!ゲルダさんの娘だろうが、ここで墜とす!!あんたがいるから、ニコルも迷うんだっ!!」

 

「このプレッシャー………レジア・アグナールかっ!!」

 

 トライバード・アサルトとマグナ・マーレイのビームサーベルが交錯する。

 

 鍔迫り合いをする2機の脇を、メガ・ビームライフルから放たれた高出力ビームが通り過ぎた。

 

 そのビームにゾロアットが何機か巻き込まれて消失し、そのスペースにガンイージが侵入してくる。

 

「あのビームを止めないと、カイラスギリーまで行かれてしまう!!私がやらなければっ!!」

 

 焦るアーシィだったが、レジアの駆るトライバード・アサルトは強い。

 

 そして、被害は増える一方………

 

「カネーシャ・タイプ………使うしかないのか………」

 

 クローンを物のように使うタシロと、同じような事をしなければいけないのか………

 

 アーシィは悩みながらも、その指示を出す決意をしていた。


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