「ペギーさん! フォローに入ります!」
ツインテール・パーツをパージしたペギーのガンイージは、ゾロアットをあっさり破壊した後にダブルバード・ガンダムに近寄る。
「モデファイされたガンイージ……調子良さそうですね」
「ツインテール・システムの負荷がかかっているが、それでも前よりマシだな。それより、仲間との久々の再開とはいえ、長く喋り過ぎじゃないか? ファンネルで敵の陣形を乱してはいたが、それでも1機で戦うには骨が折れる数は残ってる」
少し苛立った口調で喋るペギーに、ニコルは少し顔を引き攣らせた。
「ははは……ペギーさんなら、問題ない数だと思って……カリーン基地のエースなら、天道虫ぐらい余裕でしょ?」
「なるほど……随分と評価してくれているんだな……なら、エースは高みの見物と洒落込むかな。ミリティアン・ヴァヴに迫ってくる敵を殲滅したら、ニコルはシュラク隊の援護に迎え!」
ペギーが叫んだ瞬間、モニターにビーム・ライフルを構えたゾロアットが映る……そして、2機の間に撃ち込まれたビームを分散しながらあっさりと回避する。
「ゆっくり話ている暇は無いな……だが、実力不足だっ!」
ペギーのガンイージが、ビームを撃ってきたゾロアットを簡単に仕留めた。
「ヒュー! 流石はペギーさん! って……オレもしっかりしないと、またペギーさんにドヤされる」
ダブルバード・ガンダムは、エネルギーをチャージしたエボリューション・ファンネルを展開する。
エボリューション・ファンネルは、中央から分離すると倍の12本に増え、ビームを纏って回転を始めた。
「残ってる天道虫は12機! なら、これで全機墜とす!」
エボリューション・ファンネルは、ゾロアットの手足……頭を斬り落としていく。
「これで懲りたら、もう二度と出てくんなよ!」
胴体だけになったゾロアットは、バーニアを吹かして後退する。
「ニコル……あんたの戦いに文句を言うつもりは無いが、私が止めを刺すとか考えないのかしら?」
「いや、別にオレのポリシーを押し付けるつもりはないよ。戦争をしてるんだ……でも、オレは殺したくない……それだけさ」
エボリューション・ファンネルは役目を終えると、ダブルバード・ガンダムの背中に戻って来た。
そんなダブルバード・ガンダムとガンイージの勇姿を見て、ミリティアン・ヴァヴの艦橋でクルー全員から歓喜の叫び声が上がる。
「我々の苦戦が……死ぬような思いが、馬鹿みたいに感じますね……」
「ああ……だが、あれが我々のエース機の力だ。普通の援軍では、本艦は墜ちていたかもしれん。リガ・ミリティアの資金と知識と人脈と……その全ての結晶……そして、パイロットは奇跡的にレジスタンスに参加したニュータイプ……限りなくゼロに近い可能性が紡がれて生まれた機体だ。だからこそ、我々は助かった……」
スフィアはダブルバード・ガンダムが映るモニターを見ながら、マッシュに答えた。
奇跡……思えば、全てが奇跡だったのかもしれない。
ザンスカールがサナリィを接収した時に、ミノフスキー・ドライブの図面とミリティアン・ヴァヴを守れた事。
サナリィでの激戦で、ミリティアン・ヴァヴが墜とされなかった事。
連邦軍のバグレ隊が協力してくれた事。
そしてアナハイム・エレクトロニクスが、サナリィの技術者と連携してくれた事。
リガ・ミリティアの力だけでは、ミノフスキー・ドライブ搭載型の開発など、資金も人手も技術も足りなかっただろう。
それでも奇跡を信じて……奇跡を起こせない限り、強大な敵に対抗出来ないと考え、奇跡を起こす為に必死に戦った人達がいる。
まだまだ、絶望的な状況に変わりは無い。
圧倒的な物量、世論に立ち向かわなければならないが、何とかなる……今のリガ・ミリティアには、そう思わせる程の勢いがある。
今だって、絶望的な窮地を脱する事が出来たのだから……
「ニコル……連戦になって悪いが、レジア達の援護に向かってくれ! あの凶悪なビームを、二度も撃たせる訳には行かない! だが戦力差があり過ぎて、流石のレジア達も苦戦している。ペギーさんは、一度ミリティアン・ヴァヴで補給を受けてくれ」
スフィアはニコルとペギーに感謝しながらも、口を開いて命令する。
まだ、戦いは終わっていない。
「了解! あんな大量虐殺兵器を、そう何度も撃たせない! 艦長、任せてくれ!」
ダブルバード・ガンダムはモビル・アーマー形態となって、悲劇が渦巻く戦場へと向けて動き出した……