機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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操られし者3

 

「少尉、所属不明機を捉えました! モビルアーマーです!」

 

「かなりのスピードで飛んでいるからな……やはり、モビルアーマーか。このまま、所属不明機の前に出られるな?」

 

 ゾロアットのコクピットで、クロノクル・アシャーは所属不明機迎撃の指揮をとっていた。

 

「はっ! カイラスギリーのかなり手前で所属不明機を捉えられる筈です!」

 

「よし……所属不明機が我々に敵対行動をとり次第、攻撃を開始する! ラングを20機も出しているんだ。戦闘機如きに、1機も墜とされるなよ!」

 

 クロノクルのゾロアットを先頭に、ラング隊がモビルアーマーを待ち受ける。

 

 モビルアーマー……ダブルバード・ガンダムのコクピットで、ニコルもザンスカールのモビルスーツの動きを把握していた。

 

「21機もモビルスーツが出てる……ラングとゾロアットね。迂回してたら、余計な時間がかかる! やれるな、ダブルバード!」

 

 ニコルはダブルバード・ガンダムのバーニアを全開にして、クロノクル率いるラング部隊に飛び込んで行く。

 

「突っ込んで来るだと! パイロットは自信過剰な奴か、自殺志願者か……リガ・ミリティアの部隊がカイラスギリーに迫っているのだ……不確定要素を戦闘宙域に入れる訳にはいかない。ラング隊、射撃を開始しろっ!」

 

 モビルアーマーから攻撃は無いが、減速する事無く突っ込んで来る機体にクロノクルは危機感を覚えた。

 

 その予感は的中し、ラング20機から放たれるビームが尽く躱されていく。

 

「相手は1機だっ! 落ち着いて狙って墜とせ!」

 

 ラングから放たれるビームに晒されながら、ダブルバード・ガンダムはエボリューション・ファンネルをパージしてモビルスーツ形態へと変形する。

 

「なっ……変形した……だと!」 

 

 ダブルバード・ガンダムを守るように展開されたエボリューション・ファンネルは、ラングのビームを3角形のバリアを張り防御していく。

 

「あれは……何だ? Iフィールドかっ!」

 

 ラングはビームが効かないと分かると、ビームサーベルを手にダブルバード・ガンダムに接近戦を仕掛ける。

 

「馬鹿なっ! 迂闊に近付くなっ! 敵の能力も分かっていないんだぞっ!」

 

 クロノクルは叫んだが、既に遅かった。

 

 ダブルバード・ガンダムに飛び込んでいったラングは、次々とエボリューション・ファンネルの餌食となる。

 

 長細いファンネルの中心部分が分離し、ファンネルの外装にビームの刃を形成すると、近付いて来たラングの頭を……手足を斬り裂いていく。

 

「あれは……ファンネル……なのか? リガ・ミリティアめ……レジスタンスでありながら、次々と新しい技術を……」

 

 所属不明でありながら、ザンスカールの部隊に攻撃を仕掛けてくる……クロノクルは、ダブルバード・ガンダムをリガ・ミリティアの機体と断定していた。

 

「ラング隊、敵モビルスーツから距離をとれっ! 仕切り直すぞっ!」

 

 陣形が乱れた状態で敵う相手ではない……クロノクルは、素早く判断し指示を出す。

 

 しかしダブルバード・ガンダムの動きは、クロノクルの予測を遥かに凌駕していた。

 

 距離をとろうとするラングに、分離していたエボリューション・ファンネルは再び合体し、フィン・ファンネルの様に折り畳まれコの字の様な形態になると、ビームを放つ。

 

 ラングの部隊は成す統べなく、次々と被弾していった。

 

「なんだと……1機で20機のモビルスーツを墜とすつもりかっ! 被弾していないラングは、私に付いて来い! そう易々と、突破される訳にはいかんっ!」

 

 まともに動けるラングは既に6機まで減っており、そのラングを従えてクロノクルのゾロアットはダブルバード・ガンダムに突っ込む。

 

「まだ来る! 相手にならないって、何で分からないのっ!」

 

 クロノクルの操るゾロアットはビーム・ストリングスを放つが、そのビームの網はビームを纏って回転するエボリューション・ファンネルに尽く斬り裂かれてしまう。

 

「くそっ! ラング隊は、白い奴にビームを集中させろっ! ファンネルが機体から離れていれば、Iフィールドは使えん筈だっ!」

 

 クロノクルの言う通りではあったが、ニコルのニュータイプ能力とダブルバード・ガンダムの機動性を合わせれば、ラングのビームなど躱す事は造作も無い。

 

 そして、ダブルバードより先行していたエボリューション・ファンネルが囲んでいたラングに次々とビームを放っていく。

 

 そしてクロノクル機には、MDUを展開したダブルバード・ガンダムが高速で迫る。

 

「速いっ! うわあぁぁぁぁ!」

 

 突然目の前のモニターにガンダムが現れたと思った瞬間には、ゾロアットの右手と頭が分離していた。

 

 そして閃光の如く、ダブルバード・ガンダムはカイラスギリーに向けて戦闘宙域を離脱していく。

 

「全機、状況を報告してくれ」

 

「全てのラング、戦闘不能にはされましたが、艦には戻れそうです」

 

 その報告を聞きながら、クロノクルはコクピットに体重を全て預けてヘルメットを外した。

 

「あれが、ガンダムだと言うのか……強すぎる……だが、その伝説を打ち破る事さえ出来れば、勝気はある……我々を殺さなかった事、後悔させてやるぞっ!」

 

 一瞬で光の点と化したダブルバード・ガンダムを見ながら、クロノクルは叫んだ……

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