「ちっ、また貴様かっ! タシロと連携している訳でもあるまいに……何故オレに絡んでくる!」
「リガ・ミリティアに協力しようとするから悪いんだよー。それに、貴方とは前々から戦ってみたかったのよ……マデア少佐っ!」
両肩に生えた腕を隠そうともせず、その4本の腕にビーム・ソードを握らせてザンスバインに迫る。
「その腕は、もう隠さないのか? まったく、とんだじゃじゃ馬だな……」
飛び込んでくるタイタニア・リッテンフリッカをザンスバインはビームサーベルで往なすと、至近距離でバルカンを斉射した。
「くそっ! 遊んでるの? 真剣に勝負してよねっ! 少佐っ!」
「お前と遊べる程、暇じゃないんだよ! リファリア、どうする?」
再びレシェフと交戦状態に入っていたマグナ・マーレイ・ツヴァイは、放たれるビームをビームシールドを駆使して躱す。
その動きの中で、自然とザンスバインの方へ機体を寄せた。
「リファリア……コイツら、ふざけているようで結構強い! だが、ここで足止めされていては……」
「ああ……白い機体もそうだが、レシェフも固い。リガ・ミリティアの方から、寄って来てもらうしかないな……コイツらを、タシロのスクイード1の方へ押し込む……」
リファリアはそう言うと、マグナ・マーレイ・ツヴァイをレシェフの前に仁王立ちさせ、弾幕を張る。
「スクイード1を巻き込める宙域で戦えば、タシロ艦隊から出たモビルスーツは護衛に戻る……か。リガ・ミリティアがコチラの動きに連動出来るかだが……カイラスギリーを叩く為には、リガ・ミリティアのモビルスーツの協力は必要だ。その可能性に賭けるしかない!」
マデアはMDUのパーツを1つ外すと、圧縮したミノフスキー粒子を解放した。
「まずは、隊長機の貴様を吹っ飛ばす! そうすれば、自然と戦場がタシロの艦の近くに移る筈だ!」
解放されたミノフスキー粒子は、タイタニア・リッテンフリッカを捉える。
「この武装、リッテンフリッカじゃないと防ぎきれないっ!」
タイタニア・リッテンフリッカは全てのビーム・ソードを防御に回し、ビームファンから放たれた一撃を辛うじて受け止め……そして、バーニアを全開にして衝撃を後方に受け流す。
「おいおい……結局、あの2機は味方なのか敵なのか……少なくとも、あの黒いバタフライは、兵装は違うがザンスカールの機体だろ?」
「そして、戦っているのは謎の部隊だ……こう戦局が混乱していると……危険だな」
オリファーとジュンコは、アネモ・ボレアスから放たれるビームを躱しながら、その前方で行われている戦闘が気になっていた。
「あの白い機体と黄色の機体は、ビッグキャノンを守っているようにも見える……ケイトさん、ザンスカールには2つの軍隊があると言っていたな?」
「ベスパとマリア・カウンターって言ってたな……だが、こうも正面きって仲間割れするかな? 確かにアーシィさんは、タシロってベスパの指揮官とは馬が合わないって言っていたが……」
タシロと馬が合わない……だが、先程戦っていたのはアーシィだ……
レジアは考えながら、牽制のビームを放つ。
少なくとも、アーシィはタシロ艦隊から出撃している……だとしたら……
「あらあら……どうでもイイけど、やる事は一つでしょ? あの巨大な砲台からビームを撃たせない……私達が考えるのは、それだけ……」
「そうね……リースティーアの言う通りだわ! あの巨大な殺戮兵器を破壊する為に戦うだけよ!」
マヘリアのガンイージが前に出て、アネモ・ボレアスにビームを浴びせる。
「そんな単純な問題では無い気がするが……確かに、迷いは隙を生む。よし……敵のワンオフ機には、オレが対応する! あれにアーシィや強化人間が乗っていたら、アマネセルのデストロイ・モードが発動してしまう。アマネセルはビッグキャノンへ! ガンイージは、その為の道を作ってくれっ!」
先行するマヘリアのガンイージを追い抜き、トライバード・アサルトがアネモ・ボレアスに接近した。
「分かった……だが、マヘリアとクレナは置いていくよ! いくらレジアでも、未知数なモビルスーツ2機相手に1機では危険だ!」
「いや……ニコルがダブルバードを受領し、コチラに向かって来ているらしい……ダブルバードが来るまで、その2機を足止めするだけだから、1人でいい!」
ジュンコとレジアの指示の違いに迷いを見せるクレアのガンイージの肩を、マヘリア機のマニピュレーターが掴む。
「クレナ、私達はレジアを守るわよ! 姉さん、行って下さい!」
「マヘリア、レジアを頼むよ! そいつは、私達の希望なんだ……」
ジュンコはマヘリアに応えた後、トライバード・アサルトをモニターに捉えて小声で言った。
が……
「あらあら……ジュンコさんは、レジアの事が好きなのかしら?」
「なんだと! その話、戦闘が終わったら詳しく聞かせてもらうぞ!」
マヘリアに応えていた時に、リースティーアのアマネセルとオリファーのガンイージが、ジュンコ機の両肩に手を乗せていた。
その為、最後の言葉は2人に筒抜けである。
「は? 何を言ってるんだい! さっさと行くよ!」
ジュンコは少し顔を赤く染めながら、大きな声を出す。
そして、アマネセルにワンオフ機が近付けないようにガンイージ隊が守りながら、ビッグキャノンに向けてバーニアを全開にして動き出した。
その動きを守る為に動いたレジア達だが、アネモ・シリーズの2機は動かない。
「2人とも、警戒を怠るな! この戦場……何か、嫌な雰囲気だ……」
クレナとマヘリアのガンイージを守るように前に出たレジアのトライバード・アサルト……
その姿を見て、ティーヴァの口元が少し緩んだ……