機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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操られし者12

「撃ってきた! コロニーの中で平気でビーム兵器を使うって事は、リースティーアか?」

 

「ああ……射撃のエース。それに、あのF90はL型のミッションパックを装備している。距離を詰めないと、一方的に叩かれるぞ!」

 

 リゼル改とリファリアのF90は、エネルギーを絶妙にコントロールされたビームを辛くも躱し、距離を詰めようとする……が……

 

「今度は、ミサイルかよ!」

 

「S型のクルージング・ミサイルだ! くそっ、やはりフォルブリエも一緒かっ!」

 

 モビルスーツの形態情報を認識し誘導してくるミサイルは、破壊しない限り追ってくる。

 

「ちっ、どうにもならねぇ! とりあえず、迎撃するぞっ!」

 

 プロシュエールは、リゼル改を向かってくるクルージング・ミサイルに向け、ビームを放つ。

 

「ダメだっ! L型から視線を離したら……」

 

 リファリアの言葉が終わらぬうちに、ビーム・キャノンを内蔵するシールドを装備した左腕が落とされた。

 

 F90Lタイプのロングレンジ・ライフルから放たれたビームが、リゼル改の左肩を貫通し、破壊したのだ。

 

「なんて奴だっ! こうもピンポイントに、ビームが当てれるモノなのか!」

 

「くっ……どうであっても、前に進むしかない! L型に背中を向けたら、背後から貫かれる……」

 

 リファリアは、後退する危険を感じとっていた。

 

 下がったところで、加速性能も相手の方が上……

 

 ロングレンジ・ライフルの射程外に出るまでに、確実にビームの餌食になってしまう。

 

「あら……後退しないのね。意外と頭の良い連中なのかも……蜂の巣に出来ると思ったのに……」

 

「確かに……下がってくれりゃ、楽だったんだがな……」

 

 そこまで言って、フォルブリエは首を傾げた。

 

「いや……だがよ……このまま戦えば、確実に俺達が勝つ。奴らが、命懸けでザンスカールだかベスパの為に戦うかね?」

 

「あら、そうね。最初から機体性能のハンデがある上に、腕も差がある。私達と戦うのに、性能の劣ってる機体で、数も同数で戦うなんて不思議ね……」

 

 サナリィのテスト・パイロットの中で、リースティーアとフォルブリエを知らない者はいない。

 

 それぞれ射撃とサポートはトップクラスの腕を持っているが、総合値でも他のテスト・パイロット達を圧倒していた。

 

 同じテスト・パイロットと言っても、リースティーアとフォルブリエは新兵器を使う側、他のテスト・パイロットは、その兵器で倒される側……

 

 その為、リースティーアとフォルブリエは、他のテスト・パイロット達の事はよく知らない。

 

 だからこそ、疑問に思った。

 

 普段から2対10ぐらいで戦っていても勝てない相手に、2機で勝てる筈もない。

 

「捕まえて、話でも聞いてみるか? 俺達の知らない情報を持ってるかもれんし……」

 

「あら、そうね。でも、罠の可能性もある。慎重にいきましょう」

 

 リースティーアはロングレンジ・ライフルの弾をペイント弾に変更すると、突っ込んでくる2機のメイン・カメラに照準を合わせる。

 

「じゃあ、やりますか。慎重に……な!」

 

 フォルブリエは2連ミサイルポッドから2発のミサイルを発射すると、そのままバーニアを吹かす。

 

 クルージング・ミサイルではないが、先程の記憶が過ぎったリファリアとプロシュエールは、回避行動が大きくなる。

 

「あら……固まっててくれれば、楽なのに……まぁ、いいわ」

 

 回避行動をとって隙の出来た2機に対し、F90Lタイプから放たれたペイント弾が、それぞれのメイン・カメラに直撃した。

 

「くっ! ペイント弾だとっ!」

 

「プロシュエール、パニックになるなっ! 寧ろ、話し合いが出来る場を与えられたのだからな……」

 

 この状況でのペイント弾……リファリアは助かったと感じていたが、プロシュエールは焦る。

 

 得体の知れない女性を、コクピットに乗せているのだから……

 

 その女性は、プロシュエールの目を見て頷く。

 

「リースティーアとフォルブリエが、話の分かる奴なら良いんだがな……それと、リファリアっ野郎も信用出来ない。あの時、クローンの顔を見られていたら……」

 

 しかし、最早どうにもならない。

 

 メイン・カメラを潰されて、画質の落ちたサブ・カメラで戦う事は困難である。

 

「あんた、名前は?」

 

「私……私達クローンは、名前はありません。感情を持った私だけがオリジナル・カネーシャと呼ばれていましたが、後はカネーシャ・タイプと……」

 

 それを聞いたプロシュエールは、ロケット・ペンダントの中の写真を思わず見ていた。

 

「クレナ……クレナの名前を貰ってやってくれないか? 宇宙海賊をやっていた頃、生き別れになった恋人の名前なんだ……今は、それしか思いつかん。名前が無いと、余計に怪しまれるしな……」

 

「クレナ……クレナ・カネーシャですか……良いのですか、そんな大切な人の名前を頂いても……」

 

 プロシュエールは何も言わずに頷き、F90Sタイプの放った電子ネットにリゼル改を委ねた……

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