「フェネクスのパーツを持って来たのか。私がブラスター・パッケージの参考にしたパーツだが、量産の目処が付いたか。アレが量産されれば、ガンイージの性能は飛躍的にアップする。それならば、この戦場に持ち込んだのは良い判断だな……ミューラ」
F96アマネセルに装備された羽を見て、リファリアは安心して頷く。
リファリアがリガ・ミリティアを離れたのも、ミューラという後継者のような人物に出会えたからだ。
考え方も近いし、ミノフスキー・ドライブにも精通している。
自分がいなくても、リガ・ミリティアはミノフスキー・ドライブの完成形を手に入れる事が出来るだろう。
量産が可能となり、研究の必要が無くなったパーツは実戦投入する……それが、いかに貴重な物であっても、そんな事は言っていられない。
そして今回の作戦には、ハイコストであっても投入する価値がある……いや、投入してでも成し遂げなければならないのだ。
地球にダメージを与え、大量の死者を出すようなビームを何回も撃たせる訳にはいかない。
それは、シュラク隊の面々も分かっている。
リファリアの視線の先では、2機のモビルスーツが翼を広げ始めていた。
「飛べ……リースティーア。お前なら出来る。今、ザンスカールに楔を打ち込まなければ、一気に飲み込まれる。頼むぞ……」
青き輝きを放ちながら翼を広げたアマネセルは、レシェフから放たれるビームを躱しながら加速する。
その動きに、シュラク隊のガンイージは付いていけない。
「リースティーア、私達の事は気にするな! そのまま突っ込んで、ビッグ・キャノンを……いや、コントロール艦を破壊しろ! 鳳凰のスピードと火力なら、やれる筈だ!」
「あら、そうね。この機体のスピードなら、スクイードに近付ける。シュラク隊が……リファリアが……レジアが……みんなが敵のモビルスーツを引き付けていてくれるから、敵艦の護衛は少ない! 今しかないわ……デストロイモード、起動!」
青き光が、更に青く……リースティーアの気持ちを乗せるように輝きを増す。
リースティーアはサイコミュの増大と共に、レジアの戦っている宙域に妙なプレッシャーを感じとる。
「あら……嫌な感じ……ニコル、感じてる?」
「ああ……レジアの事だから、何とかしてくれるとは思うケド……心配だね」
奇妙なプレッシャーが気になるリースティーアとニコル……それに気付いたジュンコの機体が、ダブルバード・ガンダムの前に出た。
「ならニコル、行って来な! レジアは何とかなっても、マヘリアとクレナは厳しいかもしれない。そのプレッシャーが何か分からないが、ニコルとダブルバードならやれるだろ?」
「姉さんの言う通りだ。ザンスカールは……ベスパは、アーシィやマデアのような軍人だけじゃない。非道な事をやる奴もいる。ニュータイプとして感じるなら、間違いだろ? ここは任せて、行ってくれ!」
ジュンコとケイトの言葉に、ニコルは迷う。
確かに、変なプレッシャーの正体は気になる。
しかし、シュラク隊がレシェフに囲まれている状況は変わっていない。
「あら、ニコル。ここにいるメンバーは、皆プロよ。それに、私が守る……誰も死なせたりしないわ」
「分かった……リースティーアさん、皆を頼む! 向こうが解決したら、直ぐに戻る!」
リースティーアの……アマネセルの背中には、信頼に値する逞しさがある。
シュラク隊は、まだレシェフの囲みの中にいるが、半数のレシェフはアマネセルを追っている為、囲みは薄くなっていた。
大丈夫……ニコルは自分に言い聞かせると、ダブルバード・ガンダムをレジア達の戦っている宙域に向けて動かし始める。
「あらあら……とりあえず、纏わり付いてくるレシェフを墜とさないと、スクイードを狙えないわね。時間制限もあるし、やらせてもらうわ!」
リースティーアは高速でアマネセルを操りながら、ビームライフルとアームド・アーマーに内蔵されているメガキャノンでレシェフを狙う。
高速で動きながらも、その射撃は正確……更にサイキッカーの先読み能力も、デストロイモードによるジャミングで使えない。
それでもレシェフのパイロット達は質が高く、回避する機体もある。
だが、少しずつ数は減っていく。
「あら……少し時間がかかったわね……でも、ようやく狙えるわ。ビームマグナムなら、戦艦だって!」
射撃の邪魔をするレシェフは、あらかた片付けた。
スクイードにビームマグナムを向けて狙いをつけるアマネセル。
その背後に、サイキッカー能力でステルス化したレシェフが迫っていた……