「まさか、トライバード・バスターも間に合わせてくれるとは……メカニック部門は本気だな……」
「艦長、パイロット達が命懸けで戦ってくれているのです。私達も、出来る限りサポートしないと」
ミリティアン・ヴァヴに搬入される白いモビルスーツを見ながら、艦長のスフィアとミューラが言葉を掛け合う。
トライバード・バスター……レジアの為にロールアウトされた、レジアの為の機体。
サナリィで大破したトライバードはアサルト・パーツで装甲を補っている為、強度の面で不安が残る。
いつレジアの操縦に耐え切れなくなるか分からない……だからこそ、ダブルバードの組み立てと並行して行っていたトライバード・バスターの開発。
オーバーハングパックの試作機として開発されたトライバード・バスターは、メガ・ビーム・キャノンとスプレー・ビーム・ポットを装備し、メガ・ビームシールドを持つ。
バスター・パーツは、いずれはマルチプル・システムによる脱着可能な兵器にする予定だが、現状では機体からエネルギーを供給する必要があり、脱着は不可能になっている。
しかし、ハードポイントによりアサルト・パーツの脱着は可能としていた。
ミリティアン・ヴァヴの生存が確認出来たカリーン基地が、急遽宇宙に上げた機体……
「レジア・アグナールか……不安定な機体でも戦場を駆ける力を持つ……そして、皆の希望になれる……噂には聞いていたが、つくづく凄い男だな」
「それは……そうですよ! レジアさんがいなかったら、私達はサナリィで終わっていたかもしれない……どんなに絶望的な状況でも、レジアさんがいれば大丈夫だって……そう、思わせてもらってましたから。そして、それはサナリィから地球や月に行った技術者さん達も同じ気持ちだと思います」
ニーナの言葉に微笑んだペギーは、カールボブの金髪を掻き上げる。
確かに、カリーン基地の技術者達の熱量は凄かった。
ダブルバード・ガンダムが組み上がった後、休む事なくトライバード・バスターの組み立てに入っていた状況をペギーは思い出す。
レジアに届ける事さえ出来れば、何とかしてくれる……その言葉が合言葉のように……
「で、コイツをレジアに届ければいいんだな。しかし、責任重大だわ」
「ペギー、カリーン基地のエースにお使いみたいな事を頼んでしまって悪いわね。でも、レジアが敵の新型と交戦中って情報が入ってる。トライバード・アサルトがやられる前に届けないと……」
「任せて……最速で届けてやるさ。カリーン基地の……リガ・ミリティアの希望が詰まっているのだからな」
そう言って外に目を向けたペギーの瞳に、一筋の光が飛び込んでくる。
「あれは……タブルバード? 損傷した機体を持ってる! 誰のガンイージだ?」
ペギーとミューラは、慌ててモビルスーツ・デッキに向かって飛び出した。
「ジュンコさん、身体中の傷が酷い! 話なら、後で聞くから!」
「いや……ニコル、聞いてくれ。リースティーアは、自分の命で……命よりビッグ・キャノンの破壊を優先して、そして破壊してくれた。だがリースティーアは、これからのリガ・ミリティアに必要なパイロットだった。だから……レジアの事は頼む。これ以上、失う訳にはいかない……」
「ジュンコさん、任せてくれ! レジアもマヘリアさんも、オリファーさん達だって、全員連れて帰って来る! だから……安心して待っていてくれ!」
ボロボロになったジュンコの身体をガンイージのコクピットから出すと、ニコルは用意されていたストレッチャーに乗せた。
「私は……もっと強くなる……仲間を守れる強さを……」
医務室へと向かうストレッチャーの上で、ジュンコは自分自身に誓う。
「リースティーア……あんたとの約束、必ず守る。子供に大量破壊兵器を撃たせる訳にはいかない。もし……あんたの言葉が予言なら、私が背負うさ……それで戦争が終わるなら……」
独り言のように呟いたジュンコの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた……