機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

182 / 240
操られし者31

 

「インコム搭載型が、高出力ビームだと? 無茶をする……そんな攻撃に当たる訳がない!」

 

 リグ・グリフが持つボレアス・キャノンから放たれたビームは、悠々とレジアに回避される。

 

 マヘリアとクレナも、余裕を持って回避した。

 

 そのぐらい、射撃精度に難がある。

 

 アネモ・ボレアス専用の武装、ボレアス・キャノンを無理矢理リグ・グリフに持たせているのだから、射撃精度が低下しても仕方がない。

 

 それでも、ボレアス・ベースと呼ばれる足場に乗って姿勢を保持出来る為、辛うじて射撃ができていた。

 

「はっ! そりゃ躱せるだろうさ! けどね、こっちが本命なのさ!」

 

 ファラの額と両耳に付けられた鈴が、コクピットに鳴り響く。

 

 その瞬間、サイコ・ウェーブが戦場を支配する。

 

「なに……これ……気持ち悪い……」

 

「ファラの奴……私達まで巻き込むなんて……どういうつもりだ?」

 

 先にサイコ・ウェーブに晒されたのは、アネモ・シリーズの2機……アーシィとティーヴァであった。

 

 次の瞬間には、リガ・ミリティアのモビル・スーツにもサイコ・ウェーブは届く。

 

「よく分からんが……新型2機の動きが止まった! マヘリアさん、クレナ! 今がチャンスだ!」

 

「了解、レジア! このチャンスは逃さない!」

 

 リガ・ミリティア側に、ニュータイプや強化人間はいない……

 

 サイコ・ウェーブに感応する者などいない……筈だった。

 

「くっ……頭が……われそう……」

 

 アネモ・ボレアスに攻撃を仕掛けようとしたガンイージのうちの1機が、動きを止める。

 

「クレナ? どうした? 動きを止めるな!」

 

「レジア! クレナは私が! 新型の1機を墜としちゃって!」

 

 動きが止まったクレナ機の前に、ビームシールドを構えたマヘリア機が立ち塞がった。

 

「頼む! ここで1機でも墜とせれば!」

 

 トライバード・アサルトの腰に固定されたヴェズバーが、静かな咆哮を上げてアネモ・ボレアスのコクピット目掛けて発射される。

 

「ソッチは大事な機体なんでね! 墜とさせはしないよ!」

 

 トライバード・アサルトとアネモ・ボレアスの間に割って入ったリグ・グリフがヴェズバーの直撃を受けて、その身体を「く」の字に曲げた。

 

 スピードを重視した為、威力は弱かったビームがリグ・グリフの身体を貫く。

 

 ……が、威力が弱かった為か、直ぐには爆発しない。

 

 リグ・グリフがヴェズバーのビームに晒される前にコクピットから抜け出ていたファラは、そのままアネモ・ボレアスのコクピットに取り付いた。

 

「なっ……ファラ! 何をやっている?」

 

「さぁね……私のモビルスーツが無くなったんで、新しいのを貰いに来たのさ!」

 

 アネモ・ボレアスのコクピット・ハッチを手動で開いたファラは無駄のない動きで、立ち上がった瞬間のティーヴァの鳩尾に拳をめり込ませる。

 

「ぐっ……はぁ……」

 

 悶絶するティーヴァの身体をアネモ・ボレアスのコクピットから放り出すと、ファラはシートに身を沈ませた。

 

「さて……ここからが本番だ。レジア・アグナール、本当の地獄ってヤツを見せてやるよ!」

 

 爆発するリグ・グリフと、その爆発に巻き込まれたであろうティーヴァの身体を横目に見つつ、ファラはアネモ・ボレアスを動かす。

 

 その動きは決して早くはなかったが、レジア達は状況が飲み込めずに好機を逸した。

 

「ザンスカールの奴らは、一体何をやっているんだ?」

 

「レジア、クレナの様子もおかしい! 一旦距離をとって! 状況を把握するわよ!」

 

 マヘリアの声に頷いたレジアは、アネモ・ボレアスから距離をとる。

 

 レジア達の視線の先で、アネモ・ボレアスがリグ・グリフのパージしたボレアス・ベースの上に降り立っていた……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。