機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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ラゲーン侵攻2

「ピピニーデン大尉、地球侵攻の指揮を任せる。ラゲーン基地を占領してから地球に降り、東欧地方を速やかに占拠しろ」

 

「はっ! いや、しかし……良いのですか? 確か、地球侵攻にはファラ中佐が指揮をとる事になっていた筈……何か問題でも?」

 

 タシロはモニター越しに映るズガン艦隊を忌々しい表情で睨むと、一度そのモニターを叩く。

 

「ファラはズガンに持っていかれたよ。今回の作戦には、エットとノルを使う。だが……エットは戦闘用、ノルは指揮官用にするように指示をされた。ラゲーンを占拠したら、ノルが指揮をとる事になる。しかし、ノルは感情のコントロールが……」

 

「そうでしたね。グリフォン・タイプの初期型……指揮させるには、少し無理があるかもしれません。ファラ中佐は、やはり先の一件で?」

 

 タシロは頷くと、湯気が立つ珈琲を一口啜った。

 

「そうだ。ズガンの奴……上手く言ったもんだ。だが、ファラは返してもらう。それ相応の対価を払ってもらってな。その為にも、策を一つ弄する必要がある」

 

「策……ですか。しかし何をやるにしても、まずは地球降下作戦を成功させなければいけませんね。私が裏でノルに指示を出せば良いですか?」

 

「地球降下作戦など、失敗する要素が無い。連邦軍は形骸化しているし、リガ・ミリティアにトライバードもレジアもない。邪魔になりそうなのは、マデアとザンスパインもどき……だが、一機で出来る事などあまりない。まして、大気圏に囚われる危険のある宙域ではな……」

 

 タシロは、窓から自らの艦隊を見る。

 

 暗い宇宙の中に、多くの戦艦の灯を見るのは壮観だ。

 

「ザンスパインもどき……それに、ガンダムか……裏切り者やレジスタンスに、尽く先を行かれている。手段を選んでいる余裕など無い筈なのに、木星帰りの奴らは甘すぎる。ミノフスキー・ドライブの開発で後手を取られているのだ……だからこそ、ファラの力が必要だろうが……」

 

 タシロは呟くと、珈琲を喉の奥に流し込む。

 

 ラゲーン基地への侵攻作戦は、刻一刻と迫っていた……

 

 

「ブルー3と地球……どちらを取る? 戦力的に、ラゲーンを占領されるのは目に見えているが……」

 

「なら答は出てるだろ? 地球降下作戦は阻止出来ない。たったの2機で、穴も無く防衛するのは不可能だ。防衛戦は、奇襲に向いていない。だとすれば、天使の輪計画を潰しておいた方がいい。マリアに会える可能性もあるしな……」

 

 マデアはザンスバインのコクピットから顔を出し、仮面の男……リファリアの問いに返答した。

 

 サイド2にあるブルー3コロニーには、後にエンジェル・ハイロゥと呼ばれる兵器の建設基地がある。

 

 マデア達はこのブルー3コロニーに攻撃を仕掛け、エンジェル・ハイロゥによる地球への攻撃を遅らせる為に戦おうとしていた。

 

「そうか……だが、スポンサー様は地球降下作戦を阻止するように言ってきているぞ。ラゲーン基地が占領されたら、我々への資金提供を凍結するとな……そうなったら、我々は物資の補給も出来なければ、機体の修理も出来なくなる」

 

「テングラシーも、必死だろうな……一応、マリア・カウンターへの資金提供としているが、我々の活動資金を工面していたと知られれば、確実に殺される。リガ・ミリティアの部隊もラゲーンから撤退しているみたいだしな……」

 

 マデアはザンスバインのシートに深く腰掛けると、システム系のチェックを再開する。

 

「まずブルー3の拠点を叩く。そのまま地球降下部隊の背後に回り、出来る限り降下部隊の数を減らす……これしか無いだろうな……」 

 

「一応、頑張りましたアピールはするという事か……移動距離も長いし、連戦になる。かなり厳しい戦いになるぞ。ミノフスキー・ドライブなら可能かもしれんが、身体的負担はかなりのモノになる。それに、私の機体では追い付けないから、タシロの部隊とは1人で戦う事になる……」

 

 無機質な言葉の中に、自分への気遣いを感じる……不眠不休でザンスバインの調整を続けてくれているリファリアに、マデアは感謝していた。

 

「厳しくても、やるしかない。少なくとも、マリアに間違った道を歩ませたくないんだ……天使の輪によるサイコ・ウェーブの照射……人類から表面上は争う感情が消えても、それは強制的に仕向けているに過ぎない。そんな事をしたら、いずれマリアは自分を責める事になる。ザンスカールからマリアを取ったら、ただの殺人集団になってしまう。それだけは避けなければ……」

 

「分かった。ザンスバインは、万全な状態にしてみせる。だが、前回みたいな無茶な事はするなよ。本体は無事でも、武器の方がもたない」

 

 マデアは頷くと、ザンスバインのシステムを調整するために端末を叩く。

 

 最後の戦いになるかもしれない……そんな思いが、マデアの脳裏に過ぎっていた……

 

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