機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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ラゲーン侵攻5

「ブルー3の索敵範囲の外、ギリギリのポイントです! 今ならラングを射出可能です!」

 

「分かった。クレナ、行けるか?」

 

 ニーナの報告を聞いたスフィアは、ラングのコクピットが映し出されるモニターを見ながら、そこに映るクレナに話しかける。

 

「大丈夫です。ダミーバルーンの操作も問題ありません。いつでも行けます!」

 

「了解した。マッシュ、ミリティアン・ヴァヴを隕石の影に入れろ。そこでダミーバルーンに隠したラングを射出する」

 

 マッシュは頷き、隕石の姿をしたミリティアン・ヴァヴを更に大きな隕石の影に隠す。

 

「クレナ機を射出しろ! ダブルバード出撃準備! ニコル、クレナを出してダミーバルーンをパージしたら、直ぐに出撃よ!」

 

 スフィアの声が合図となり、クレナの乗るラングがミリティアン・ヴァヴから放出される。

 

「本艦のダミーバルーン、パージします! メガ粒子砲、射撃準備!」

 

 ニーナの指示で、ミリティアン・ヴァヴのダミーバルーンが四散した。

 

 そして、メガ粒子砲が隕石に扮したラングを捉える。

 

「ミリティアン・ヴァヴとの通信遮断、履歴を削除! 後は、上手く被弾しているように見せかけられれば……」

 

 クレナの乗るラングも、ダミーバルーンをパージした。

 

「クレナ機からの通信遮断、ダミーバルーンのパージを確認! メガ粒子砲、照準!」

 

「クレナ機には絶対に当てるなよ! メガ粒子砲一斉射! 射撃後、ダブルバード出撃! メガ粒子砲、てーっ!」

 

 ミリティアン・ヴァヴから放たれるビームを躱しながら、クレナはブルー3に向けて通信を試みる。

 

「ブルー3、聞こえますか? 私はカネーシャ・タイプのクローン! 潜入任務中に、トライバードのデータの奪取に成功しました! しかし、敵に気付かれて攻撃を受けています! 援護、願います!」

 

「こちらブルー3、クローンか何か知りませんが、こちらのコロニーはサナリィの技術者と木星の技術者が集まっている工業コロニーです。戦争の火種を持ち込まないで頂きたい」

 

「しかし、このままではトライバードのデータを本国に遅れません。この事がタシロ中佐の耳に入ったら、今行っている研究も中止させられるかもしれませんよ!」

 

 クレナは自分の中にある情報を必死にかき集め、相手の嫌がるであろう事をヤマを張って、切羽詰まった演技をしながら声を出す。

 

「タシロ中佐のクローン計画で生み出された個体か……アインス・リングで援護しますか?」

 

 コロニーの管制官がヘッドセットを外して振り向きながら、防衛隊長に確認をとる。

 

「シャイターンを出してもらう訳にもいかんだろう。そもそも、今マリア様がこのコロニーに来ているのは秘密の筈だ。ブルー3私設部隊のモビル・スーツ、アインス・リングで迎撃するしかあるまい。全く、厄介な時に厄介事を持ち込みよって……」

 

 ブルー3防衛隊長の命令で、アインス・リングが出撃準備に入った。

 

 アインス・リング……

 

 後に改修され、リグ・リングとしてエンジェル・ハイロゥのサポート機として運用される予定となる機体の初期型機である。

 

 リグ・リングに搭載されたエンジェル・ハイロゥのサイコウェーブを共鳴させ、増幅させる役割を持った小型のリング・サイコミュ……

 

 アインス・リングは、リング・サイコミュの試作型を装備した機体でもあった。

 

 そしてアインス・リングのパイロットは、その機体の性質上、木星のサイキッカーで固められている。

 

「アインス・リング、出撃準備完了です」

 

「よし……まだ敵の数が不明だが、リング・サイコミュのテストも兼ねるぞ。サイコウェーブにより敵を混乱、動揺を誘う。アインス・リング、出撃!」

 

 ブルー3より、3機のアインス・リングが出撃した。

 

 アインス・リングに搭載されたリング・サイコミュは、まだ小型化を進めている段階の物であり、その為にアインス・リングはモビル・アーマーの様なサイズと形をしている。

 

 小型化が進む時代に、大型のモビル・アーマー……しかし、それを補う為のリング・サイコミュとサイキッカーだ。

 

「来た……あれが、リング系の機体……頭の中のデータが更新されてるのね……私、本当に人間じゃないんだ……でも、そんな私にも出来る事があるなら……」

 

 クレナ機のモニターに、敵のマーカー……ダブルバード・ガンダムが映し出され、アラームが鳴る。

 

 ダブルバードから放たれる正確なビームが、ラングの装甲を焼いていき、タイミングを図りながらクレナは関節に取り付けられた小型爆弾を爆発させていく。

 

「ブルー3、もう持ちません! 早く援護を……」

 

 クレナが声を出した……その時、天空から一本のビームが放たれ、アインス・リングを貫いた。

 

「何が起きた?」

 

「分かりません! 高速で動く機体あり……こちらの索敵を超えるスピードで動いています!」

 

 赤いYの字を残し、その黒いモビルスーツはラングに迫る。

 

「くそっ! 作戦が台なしだ! クレナさん、バーニア全開でブルー3に突っ込め! あの機体、マデアさんなら……っ!」 

 

 ダブルバード・ガンダムもまた、光るVの字を宇宙に残して閃光となった……

 

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