サイド2コロニー[サナリィ]
サナリィ(海軍戦略研究所)の支社があり、研究施設や生産工場を保有している技術者が多く住むコロニーである。
その為このコロニーには、サナリィの技術者が多く暮らしていた。
レジアの両親もサナリィの技術者であり、同じくサイド2にあるアメリアとサナリィを行き来する生活を送っている。
宇宙世紀0147年。
ガチ党がアメリア政庁議会の第三勢力になった頃、サナリィにおいて1つの事件が起こった。
ガチ党の私設軍[イエロージャケット]による、サナリィ襲撃事件である。
その渦中に、レジアとレジアの両親の姿があった。
「なんで、軍が我々の施設を襲うんだ!!」
サナリィのモビルスーツ研究施設の1つに、イエロージャケットの軍人が流れ込んでくのを見て、レジアの父[ブレスタ・アグナール]は思わず叫んだ。
サナリィの技術者達は何が起きているか分からず、作業する手を止める。
「この施設は我らガチ党の物となった!!今後は連邦へのモビルスーツ開発ではなく、我々のモビルスーツを作ってもらう!!」
突然の出来事に、騒然とする研究所の技術者達。
元々軍の施設ではないサナリィの研究所は混乱し、イエロージャケットに次々と占拠されていく………
「そんな勝手が許されるか!!だいたい、なんの権利があって…………」
銃で脅され、混乱し何も出来ない技術者達の中で、ブレスタただ一人だけはイエロージャケットに意見を求めた。
「貴様らは、言う事を聞いてればいいんだよ!!今後は、ガチ党がアメリアの政権与党になる。いずれサナリィのコロニーも我が党の物になる。素直に我々に従った方が身の為だぞ!!」
「ガチ党が政権与党になるなど、聞いてないぞ!!そもそも政権与党になってから、正規な手続きを踏んで我々に協力を求めるのが筋だろう!!こんな無理矢理押し入ってきて、協力しろと言われても無理だ!!」
ブレスタの鬼気迫る言葉に、イエロージャケット軍人の1人[ゴズ・バール]が歩み寄り、鋭い眼光で技術者達を睨みつける。
「別に……………協力しろ、などとは言ってない。これは命令だ。使えん奴は切り捨てるのみだよ」
ゴズ・バールは冷ややかな言葉でそう言うと、持っていた小型の拳銃を薄く笑いながらブレスタの額に当てた。
「ブレスタ!!今は言うことを聞いておけ!!無駄に命を落とすんじゃない!!」
隣にいたアーシィの父である[ゲルダ・リレーン]が、ブレスタを諭すように大声を出す。
「状況をしっかり理解出来ている奴もいるな。我々としても無駄な殺生はこのまないし、有能な技術者を失いたくはない」
悔しそうに睨むブレスタを横目に、気持ちの悪い笑みを浮かべながら、ゴズ・バールは拳銃を下ろす。
「ここは、ミノフスキー・フライトの研究施設だと聞いている。我々が求めているのは、地上・宇宙でも使える量産機だ。すぐにでも開発に取り掛かってくれ!!」
ゴズ・バールが言いたい放題………理不尽な要求を続ける中、ブレスタは終始唇を噛み締め、その肩を振るわせている。
そんなブレスタの肩を、ゲルダは軽く…………優しく叩く。
「連邦だろうが、ガチ党だろうが、やる事は変わらないさ。ガチ党が勢力を伸ばしてるのは事実だし、サイド2に住んでる以上、オレ達も政治には従わなきゃならないからな」
一度大きな溜息をついた後、ゲルダは肩をすぼめながら自分の持ち場に戻っていった。
その姿を見送りながら、ブレスタは心が澱んでいくような……………負の感情が心を離れなかった…………