「皆、脱出艇に乗り込んで!!この艦は破棄します!!」
Gキャノンに囲まれていく中、ミューラの決断は早かった。
もとより戦闘力のないコロンブスⅢは、敵に囲まれたら何も出来ない。
その為、生き残る策として考えたのが、高速の脱出艇での敵陣強行突破である。
しかし脱出艇の戦闘力も、モビルスーツと戦える程ではない。
大人数の犠牲の中、少人数を活かす為の策である事は、誰もが分かっていた。
だが、何もしなければ、誰も助からない。
(レジアさん…………ニコル…………皆を護って!!)
マイは祈るように手を結び、脱出艇のシートで目を瞑る。
コロンブスⅢの外では、激しいモビルスーツ戦が繰り広げられていた。
マヘリアのガンイージが、Gキャノン隊相手に善戦し、辛うじてコロンブスⅢの撃沈までの時間を引き延ばす。
コロンブスⅢの射線上にガンイージを入れて、Gキャノンの肩に装備されたビームキャノンから繰り出されるビームを懸命にビームシールドで防ぎ続けながら、マヘリアは隙を見てはビームライフルで牽制する。
縋るように見るモニターに、味方機の姿は映らない。
「このままじゃ、どうにもならない!!ニコル!!早く来て!!」
「って言われても、コッチも厳しいんですけど!!」
ニコルのガンスナイパーも、かなりの数のラングに囲まれていた。
トップファイター、ボトムファイターに分離し、既に10機近くのラングを墜としているが、一向に減る気配がない。
トップファイターのメガ・ビームライフルでマヘリアの援護を何回か試みるが、その度にラングに邪魔されて射撃する事すら出来なかった。
コロンブスⅢから離れていく光………… 脱出艇のテールノズルから生み出される光を確認しながらも、ニコルは何の援護も出来ないでいる自分に歯痒さを感じる。
その気持ちは、マヘリアも同じだった。
しかし……………
「さすがに、もうダメ!!」
マヘリアの疲労は、既に限界だった。
旧式のGキャノンであっても、宇宙空間ならではの全周囲から襲いかかられたら、いかに新型のガンイージであっても単機で艦を守りながら戦うのは、最大の集中力を維持し続けなければならない。
集中力が、一瞬だけ途切れた瞬間……………
ガンイージの横をビームがすり抜け、コロンブスⅢの脱出口から出たばかりの脱出艇に直撃し、爆発した…………
「今の脱出艇…………誰が乗ってたの…………?」
マヘリアは頭が真っ白になり、ガンイージは棒立ち。
その横を次々とビームが通り過ぎ、コロンブスⅢに突き刺さっていく。
脱出艇は続々と艦を離れていくが、Gキャノンはその脱出艇にも狙いをつける。
Gキャノンから放たれたビームが、ミューラやマイの乗る脱出艇に迫っていく。
そのビームに、コロニー側から放たれたビームが交錯して強く輝き、そしてビームの粒子が消失する。
「そこのイージ!!何ボーっとしてるんだ!!お前が守るんだろ!!」
脱出艇を守ったビームを放ったガンイージ………………そのコクピットで、燃えるように赤いショートカットの女性は、男のような口調でマヘリアを叱咤激励した……………