機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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アメリア侵入
連邦軍との接触


「アメリアに行く??突然、何を言ってるの、ニコル??」

 

 ミューラが、驚きの声を上げる

 

 ニコルはシークレット・ワンに戻って早々、アメリア行きを皆に告げていた。

 

 マイを助けに行きたいのもあるが、敵であるザンスカール帝国を見ておきたい…………

 

 どんな人達と殺し合いをしていたのか…………

 

 ザンスカール帝国の人々は、悪魔のように極悪非道なイメージだった。

 

 いや…………頭の中で、そのようにすり替えていたのかもしれない。

 

 でも……………実際は、アーシィのような人物もいる。

 

 ザンスカール帝国の人達と触れ合ったら、もう戦えなくなるかもしれない…………

 

 それでも、ニコルは知らなくてはいけないと思った。

 

「ああ、自分達の敵を知ることはイイ事だろ??それに、マイも助けに行かなきゃいけないし。レジアみたいに有名人になったら、2度と行けなくなるだろ??そうなる前に行っとかなきゃ!!」

 

「まぁ…………そうだが、本当にザンスカールの戦艦に脱出艇は入っていったのか??」

 

 ノーマルスーツのまま、レジアはニコルに聞いた。

 

「オレが実際に見た訳じゃないけど…………連邦の人がそう言ってた」

 

「ちょっと、ニコル!!連邦の人って…………連邦軍と接触したの??」

 

 Wのミッションパックを見ながら、ミューラは不安と怒りが入り混じったような表情をする。

 

 リファリアやゲルダと必死に開発した…………いや、取り戻したミノフスキー・ドライブの技術を連邦に横取りされてはならない。

 

「まぁ…………ね。でも、その戦艦の連邦の人は、リガ・ミリティアに協力したいって言ってたぜ」

 

「もう、ウォーバードは連邦に見られたって事よね………いくらリガ・ミリティアに協力したいって言っても……………」

 

 ミューラの表情は、どんどん曇っていく。

 

「そんな顔したって、仕方ないだろ!!ニコルとF90が無事に帰って来ただけ、良しとしな!!」

 

「そうですよ………それに、ニコルの会った連邦の方々は協力すると言ってくれてるみたいだし…………」

 

 ヘレンとクレナが声をかけるが、ミューラの表情は冴えない。

 

 ミノフスキー・ドライブの技術の流出は、戦局を左右する。

 

 それだけに、ミューラやレジアの両親達は、機密を守る為に命を懸けていた。

 

 それなのに…………

 

「ミューラさん、悔やんでいても仕方ない。取り敢えず、ニコルが助けてもらった艦に接触してみよう。まだ、遠くには行っていない筈だ。リガ・ミリティアに協力したいと言うなら、話し合いに応じてくれるだろ」

 

 レジアも、ミューラと気持ちは同じだった。

 

 ダブルバード・ガンダムの設計図面を、正に命懸けで繋げた父の最後の姿が脳内をフラッシュバックする。

 

 だが今は、戦艦が無事であり、自分達が生きている事も奇跡に近い。

 

 仕方ないと、納得する…………それより今は、起こってしまった事の軌道修正する事が大切だと感じる。

 

「そうね!!予想進路、分かるかな??」

 

 マヘリアは、場の雰囲気を和らげようと、わざと明るい声を出す。

 

 シークレット・ワン艦内で、勝利の美酒に酔っている他のクルー達の気分を壊したくなかった。

 

「捉えられるだろ。ニコル、戦艦の特長を教えてくれ」

 

 操舵手のマッシュは、ニコルとライブラリのモニターを眺める。

 

「ウォーバードを捕獲した後、無償で修理してくれてるんだから、上手く接触すれば、何とかなりそうね」

 

 艦長のスフィアが、シークレット・ワンを連邦の戦艦に向けて進路をとるように指示する。

 

「そんで、ザンスカールの戦艦に捕獲されたっていう、マイちゃんはどうすんだ??アメリアに連れて行かれたかは分からないんだろ??」

 

 赤い髪を後ろで縛り直すながら、ケイトが言う。

 

「やっぱり、オレがアメリアに行くしかないでしょ??何と無く学生を装えるし…………」

 

「なら、私が一緒に行ってやるよ。アメリア出身だし、土地勘はあるからさ」

 

 ケイトの申し出に、ニコルが頷く。

 

「パイロットが2人もいなくなるの、不安じゃない??」

 

「なに、直ぐにリースティーアが復帰してくれるさ。そしたら、2人分の活躍ぐらいしてくれんだろ??」

 

 軽口を叩くヘレンを、ニコルとケイトが睨む。

 

 実際、リースティーアは重傷だ。

 

 シークレット・ワンの医務室で懸命に処置をしているが、助かるかどうかは、まだ分からない状態である。

 

「まだまだ厳しい状況が続くが、俺達レジスタンスは少数なんだ。キツくても動くしかない。オレがアメリアに行っても、顔が知られているから動けない。ニコル、すまんがマイを頼む」

 

「ああ、任せてくれ!!出来るだけ早く戻る!!」

 

 レジアとニコルの間に、蟠りがない訳じゃない。

 

 先の戦闘中に、敵のモビルスーツを助けたニコル行動は、レジアは納得出来ていなかった。

 

 それでも、今はそれを言う時ではない。

 

 レジアは、自分の気持ちを押し込める。

 

「パイロットの補充は打診しておく。ガンイージのテストパイロットをしている優秀な奴を知ってるからね」

 

 スフィアは少し微笑むと、持ち場に戻り始める。

 

「よし…………皆、疲れているとは思うが、次に向けて動き出すぞ!!」

 

 レジアの号令で、それぞれ持ち場に戻って行った。

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