「へぇ…………なかなか、やるじゃないさ。シノーペのパイロット」
ガンイージ・プロトタイプのコクピットで、ジュンコ・ジェンコは感嘆の声を上げた。
「ニュータイプが乗ってるんだろ??このぐらい、余裕でやってもらわんとな…………しかし、シノーペ如きに当てられないと思われるのも癪に障る」
同じく、8番目のガンイージに乗るオリファー・イノエは、眼鏡の位置をを指で直しながら、照準を絞る。
「オリファー、調子にのって墜とすんじゃないよ!!」
「分かってるさ。しかし…………当てずに追い詰める演技をするのも、なかなか大変だな」
2機のガンイージは、ビームを放ちながらシノーペを追っていく。
追われている様に見せかけているシノーペのコクピットでは、ニコルが必死に機を操っていた。
「おいおい…………まぢで当てるつもりじゃないだろうな…………ビームの照準がシビアになってきてるぞ、おい!!」
「仕方ないだろ!!ザンスカールにバレないように潜入するには、これしかない。本気で追ってるように見せないと、敵を欺けない!!」
ケイトの声を聞きながらもニコルは神経を研ぎ澄ませ、シノーペを操る。
「ニコル、視認出来た!!あれが、アメリア・コロニーだっ!!」
「よし……………もうちょい!!もう少し進んだら、バーニアに被弾させる!!」
アメリア・コロニーを見ながら、ニコルは目視で距離を感じていく。
「そろそろだ!!ケイトさんっ、衝撃に備えて!!」
ニコルはモニターに映る情報と自分の感覚を研ぎ澄ませ、ビームにシノーペを近付ける。
「おいおい、そっちが合わせるのかよ!!普通、ビームを撃っている方が合わせるだろ!!」
オリファーはビームに擦り寄っていくシノーペに、文句の一つも言いたくなった。
普通に飛んでいる機体にビームを当てる方が、何倍も楽なのは誰にでも分かるだろう。
それを…………危険極まりない動きで、ビームに当たろうとしてくる。
「ちっ…………ガキみたいなパイロットだね…………オリファー、まともに当てにいくとタイミングがズレる可能性がある。こちらが少しズラすんだ!!」
「まったく…………素直に真っ直ぐ飛んでろよ!!」
2機のガンイージは、シノーペに当たらないように、少しズラしてビームを放っていく。
そのビームの射線を掠めるように、シノーペのバーニア部分が入ってくる。
「うわあぁぁぁ!!」
「うわっ!!結構な衝撃じゃないかっ!!」
ニコルとケイトは、悲鳴を上げた。
シノーペのバーニアは白煙…………いや、灰色の煙を上げながら、蛇行するような航行になる。
「自らビームに当たりにいって、上手くバーニアだけにビームを掠めた。ニュータイプ…………案外、本物なのかもね」
「ジュンコ、本気か??確かにメチャクチャな動きは、ニュータイプっポイ感じだったけど…………いや、まさかな…………」
オリファーはジュンコの言葉に首を横に振ると、アメリアに向けて蛇行するシノーペを見つめた。
「オリファー、こっちは離脱しないと、ザンスカールの部隊に捕獲される!!」
「分かった!!さっさと逃げますか!!」
2機のガンイージはアメリアを背にすると、バーニアを全開にする。
「ガンイージは、上手く逃げたようだ………絶妙の距離感で離脱した………かなり腕のいいパイロットだね」
ガンイージの離脱を確認したケイトはヘルメットを外すと、ポニーテールを横に揺らす。
ふんわりと爽やかな良い香りがコクピットを包み、ニコルは少し顔が赤くなる。
「さて、ここからが本番だよ!!ニコル、あんたは私の弟って事になるから、しっかり演技しな!!」
シノーペはゆっくりと、アメリア・コロニーに近付いていた…………