機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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シュラク隊の原点

 

「これがシークレット・ワン…………いやいや、ミリティアン・ヴァヴだっけ??」

 

 ジュンコはミリティアン・ヴァヴの艦橋を見渡すと、その造りに感嘆の声を上げた。

 

「俺達、リガ・ミリティアの旗艦になる艦だ。それなりに、しっかりした物じゃないと困るだろ」

 

 オリファーも興味津々といった感じで、艦橋を眺める。

 

「あなた方が補充のパイロットですね。ニコル達のアメリア潜入任務に協力して頂いて、ありがとうございます。艦長のスフィア・ノールスです」

 

「ああ…………私はジュンコ・ジェンコ。彼はオリファー・イノエです。そんなに難しい任務でもなかったから、お気になさらさずに」

 

 差し出されたスフィアの手に、ジュンコは腕を伸ばして応じた。

 

「そして、彼らがサナリィの激戦を生き抜いたパイロット達か…………それと、レジア・アグナール……………随分と若いな」

 

 艦橋を一通り見終わったオリファーは、並んでいるパイロット達に目を向ける。

 

「オリファー・イノエだ。今日付けで、君達モビルスーツ隊の隊長になる。よろしくな」

 

 オリファーは軽く敬礼するように、額の前に手をもっていく。

 

「私達の隊長??あんたが??正直、レジア程の腕があるようには見えねぇな。命を預けるなら、信頼している奴の指示に従いたいんだが??」

 

 ヘレンは値踏みするようにオリファーを見ると、スフィアに確認するような視線を向ける。

 

「ええ、しっかり指揮出来るパイロットが加わってくれれば、更に強くなれる。モビルスーツ戦の時は、オリファー隊長の指示に従って下さい」

 

「へぇ……………って事は、私達を指揮出来る腕って事でいいんだな??」

 

 挑戦的なヘレンの言葉に、オリファーは呆れた表情で頭を掻く。

 

「確かに、サナリィでの戦いやレジスタンスとしての戦いで実績を積んでるかもしれんが…………それでも、私とジュンコの足元にも及ばないだろう。しかし、君達には可能性を感じている。リガ・ミリティアのエース部隊、シュラク隊の候補生達なのだからな」

 

「………って、黙って聞いてれば、随分ですね。私達はともかく、足元にも及ばない中にレジアも入ってるのかしら??」

 

 普段はにこやかなマヘリアの表情も険しく、腕を組みながら話すオリファーを睨む。

 

「オリファー!!あんたが言い過ぎだ。少し黙りな!!レジア・アグナールの実力は把握している。純粋なモビルスーツ戦なら強いんだろうが…………実際の戦闘は集団戦だ。そうなると、私達に分があるだろうって話だよ」

 

 ジュンコは、その紫の長い髪をかきあげると、オリファーの前に出る。

 

「あらあら…………騒がしいから来てみれば…………レジア、随分と舐められてるわね。この展開、なんか懐かしいけど」

 

「リースティーアさん!!お身体は大丈夫なんですか??」

 

 松葉杖をつきながら突然現れたリースティーアを支えるように、クレナが寄り添う。

 

「あのリファリアが認めていたリースティーアか。正直、君達がサナリィ戦で生き残れたのは、リファリアの犠牲があったからだ………いや、君達がリファリアをサポート出来ていれば、彼が死ぬ事は無かったかもしれんな……………」

 

「あらあら…………あなた達、私達と同じで恥をかく事に…………」

 

 再び口を開いたオリファーに、何かを言いかけたリースティーアの肩をレジアが叩く。

 

「リースティーアさん、無事で良かった。そして、今日はニコルがいなくて良かった。余計にややこしくなりそうだからな」

 

「あらあら、そうね…………味方同士で言い争っても仕方ないか…………」

 

 レジアが見せる穏やかな微笑みに、リースティーアの怒りは不思議と落ち着いた。

 

「それより、リファリアさんのF90を拾って来てくれたんだって??」

 

 レジアの問いに、ジュンコが頷く。

 

「あら…………隊長の機体を………それで、隊長の遺体は??」

 

「コクピット・ハッチが、恐らく落下の衝撃で開いてしまったらしくてね…………残念ながら、遺体の回収は出来なかった。けど、F90の損傷の状態なら、改修すれば使えそうだよ」

 

 正に命懸けで基地を守ったリファリアの葬儀を、遺体のある状態でしてあげたいと誰もが願っていた。

 

 それは叶わない…………それでも、遺品であるF90が使えそうというのは朗報である。

 

 特にリファリアと共に戦った経験の多いリースティーアには、涙が出る程に嬉しかった。

 

「2人とも、リファリアさんのF90を持って来てくれて、ありがとう。

 確かに、オレに指揮能力は無い。オリファーさん、宜しく頼む」

 

 握手を求めてくるレジアに、バツが悪そうに頭を掻きながらオリファーが応じる。

 

「あらあら…………レジアが従うなら仕方ないか…………F90を持ってきてくれた恩もあるし……………ねぇ??」

 

「はい…………そうですね。私は、皆さんが生き残る可能性が高くなるなら…………」

 

 リースティーアに促されたクレナも、レジアの行動を見て頷く。

 

「あーっ、もぅ!!みんな大人なんだから…………分かったわよ!!とりあえず従うわよ!!」

 

「ちっ、仕方ねぇか!!けど、糞みたいな指揮した瞬間に、私はレジアに従うぜ!!」

 

 マヘリアとヘレンも、しぶしぶ従う事を了承する。

 

「よし、まぁ人事は上層部の命令でもある。嫌でも従ってもらうしかない。ヘレン、クレナ、マヘリアは試作型のガンイージから、量産型に乗り換えてもらう。機体性能は格段に向上しているから、早めに慣れてくれ」

 

 オリファーは、量産型ガンイージのマニュアルを3人に渡す。

 

「リースティーアさんは、傷の回復が最優先だな。リファリアさんのF90は……………」

 

「勿論、長距離援護用に改修して、リースティーアに乗ってもらうわ。F90が直る前に、傷を治してよ!!」

 

 レジアの言葉を遮ったミューラの悪戯っぽい笑みに、リースティーアも笑顔を返した。

 

「まずは、1人1人の能力を把握したい!!シュミレーターを使った実戦訓練をしていくぞ!!」

 

 その後のシュミレーター使用の訓練で、オリファーがレジアに一方的にボコられたのは、言うまでもない…………

 

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