機動戦士ガンダム ダブルバード   作:くろぷり

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マイ救出作戦
太陽発電衛星ハイランド


「って段取りです。ニコルは先に、モビルスーツでタシロ艦隊に近付いている筈なので、ケイトさんはシノーペでリガ・ミリティアに戻って下さい。ニコルの援護、任せますよ」

 

 アーシィはそう言うと、合流したケイトの手を掴んでシノーペの方へ誘導する。

 

「私達を、簡単に帰していいのかよ??スパイの可能性だってあるだろ??」

 

「ふふっ、スパイをする人が、自分からスパイを名乗りますか??それに、私の母の事を本気で心配してくれた…………だから、私はケイトさんの事を信じてますよ」

 

 ケイトの疑問に、アーシィは笑顔で返す。

 

「なぁ…………あんた達も、リガ・ミリティアで私達と一緒に戦えないのか??考えてくれるなら、私がパイプ役に…………」

 

「ありがとう、ケイトさん。でも、私達はマリア主義の為に戦っている。ううん、違うわね…………マリア様やアシリア様の力を間違った方向に利用されない為に、マリア・カウンターは存在する。それは、ザンスカール帝国にいなければ出来ない事だから…………」

 

 少し悲しそうな表情をするアーシィを見て、この人は争い事が嫌いなんだろうとケイトは感じた。

 

「いずれは引越公社のように、自分達の意思を貫いて、人々から認められて、私達の行動が人々に浸透して…………そんな風になれれば、私達は争う必要が無くなるかもな……………」 

 

 ケイトは呟く。

 

 宇宙引越公社は、アーティ・ジブラルタルにあるマスドライバーを所有しており、宇宙へ移民した人達の財産を宇宙に上げている。

 

 その為、引越公社を攻撃する事は全人類を敵に回すと言われており、激しい戦いが繰り返される中、マスドライバーは破壊されなかった。

 

 ケイトは、そんな引越公社の理念に共感し、誰とでも手を取り合える世界を作りたいと思う。

 

 そして、人はそれが出来ると信じていた。

 

「そうね。人によって正しい事、間違っている事は違うけど、それでも人の事を考えて…………その人達が幸せになれるように考えられれば、きっと争いは無くなる。そんな世界が作れるように、頑張りましょ!!」

 

 アーシィはそう言うと、ケイトをシノーペの方に押す。

 

「もし、タシロがクローン計画を自分の利益だけに…………戦争を拡大させる為に使っていて、それにニコルの幼なじみが利用されるなら止めなければならない。ザンスカールの軍人として、こんなに恥ずかしい事はないから…………」

 

 シノーペに乗り込むケイトを見ながら、アーシィは決意を決めた。

 

 それでも、自分の母が犠牲になるようなら………その時、自分は今の決意を守れるのか…………そんな不安を掻き消す為に、アーシィはあえて決意を言葉にする。

 

 そしてアーシィもまた、マリアの元へと走り出した。

 

 

 太陽発電衛星ハイランド

 

 ニコルは、ハイランドに辿り着いていた。

 

「ここか…………中立地域って聞いたけど、モビルスーツで来ていい場所なのか??」

 

 Zガンダム・リファインの飛行形態……………ウェーブライダーで、ハイランドに着陸する。

 

「君がニコル君かい??話は聞いているよ」

 

 ハッチを開けると、髪が青い気の強そうな顔立ちの男性が声をかけてきた。

 

 その横には、同じく青い髪の女の子が立っている。

 

「モビルスーツの形態じゃなくて良かった。とりあえず、早く隠しましょう」

 

 褐色の肌の男性は、大きなシートを持ってきて、ウェーブライダーに被せようとしていた。

 

「手伝うよ。あなた達は、ハイランドの??」

 

「ああ、青い髪の彼はクランスキー、静かに作業しているのがイエリネス、そして私がマサリクだ。よろしくな」

 

 ウェーブライダーから飛び降りたニコルは、紹介された人達に頭を下げると、シートを被せるのを手伝う為に手を伸ばす。

 

「君は、早く奥に引っ込んでくれ。ザンスカールとか連邦にバレたら、色々と厄介だ」

 

 クランスキーと呼ばれた男性は、そんなニコルをシートから引き離すと、青い髪の女の子と奥へ行くように指示する。

 

「お兄ちゃん、こっちだよ。私はエリシャ・クランスキー。よろしくね」

 

「あ…………オレはニコル・オレスケス…………よろしく…………」

 

 予想以上に大人っぽい対応に、ニコルの方がしどろもどろになった。

 

「さて、君が誰かは知らないが、マデア君の友人なら歓迎するよ。あのZガンダムが証拠だな」

 

「マサリクさんは、あのモビルスーツを知っているんですか??」

 

 シートを被せ終わり、奥の部屋に入って来たマサリクは、ニコルの問いに頷く。

 

「この衛星は太陽発電を目的に作られたんだが、ザンスカールの新兵器開発で我々の電力が必要だと言って、何度か占領されそうになっているんだ。しかし、その度にZガンダムが我々を助けてくれているんだ。と言うより、マデア君がな」

 

「……………って、まぢかよ。そういう筋書きかよー」

 

 マデアの思惑に気付き、ニコルは頭が痛くなった。

 

 恐らく、マデアは正体を隠してハイランドを守っていたんだろう。

 

 Z-レイズの中に隠したZガンダムで…………

 

 そのZガンダムのパイロットの正体がニコルであれば、仮にマデアが疑われていても、その疑いを払拭出来る。

 

 マデアは、ザンスカール内の不正を正すと言っていた…………その活動の1つが、これなのだろう。

 

(だから、タシロって奴の戦艦に突入するまでの時間をここで待てって事かよ…………で、多分ザンスカールが攻撃仕掛けてくんじゃねーかなぁ…………そうなりゃ、ザンスカール帝国に立ち向かうヒーローの誕生ってか??)

 

 それでも、幼なじみを…………マイを助けるには、これしかない。

 

 そして、ニコルの予想通り、ハイランドにザンスカールのモビルスーツ部隊が迫っていた…………

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